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二百六十二話 フリーズランド22
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しまった......あの白い女に
あんな魔法があったとは......
迂闊だった。
俺は消えたタチアナを
探すべく辺りを捜索していたが、
タチアナどころか白い女すら
見当たらない。
タチアナを信じていない訳ではないが、
あの白い女がどれほど強いのかすら
不明なままだ。
正直不安になってしまう。
「一度戻るか......」
これ以上闇雲に探しても
意味がないと判断し、
俺はタチアナが消えた場所に
戻ってきた。
ピカッ!!
すると、いきなり目の前が
眩い光で照らされる。
「!?」
俺がその異様な光に困惑していると、
その謎の光が現れた空間に
ひびが入り、バリッ!! と
ガラスが割れる音がする。
「あああっ!!!」
俺はその悲鳴の主を確認するため、
光が眩しくて閉じたまぶたを
開けてみると、目の前には
あの白い女と
「隼人!」
タチアナがいた。
空間の割れ目から出てきた二人は
四方八方に飛ばされ、俺は素早く
タチアナの着地地点に先回りし、
彼女を受け止める。
「おい、どこにいたんだ!」
「異次元だ。」
「い、異次元!?」
タチアナによると、
どうやらあの吹雪姫によって先程まで
異次元に飛ばされていたらしい。
その異次元からどうにか
脱出するために、奮闘したようだが
最後に選んだ手段とは
「次元ごと、空間を破壊した。」
だそうだ。
「ライジング・スラッシュを
あの次元に放ったんだ。
そしたら、空間にひびが入って
私とそこで伸びている
吹雪姫はその中に吸い込まれた。」
「次元ごと破壊って......無茶なこと
するな......」
「ははは......まあ、こうなる確信
があったからな。以前、城の図書館で
読んだ本の中にこんなことが
書いてあった。
今いる次元と異次元は密接に
繋がっている、とな。
だから、あの異次元を破壊すれば
この次元に戻って来れると
思ったのだ。」
「......勉強の賜物だな。」
俺はタチアナが立ち上がるのを
補助しながら、吹雪姫に目を移す。
「しかし......どうするか......あの女。」
「彼女は悪い者ではないさ。
気絶しているようだし、今のうちに
木を伐採しに行くとしよう。
彼女には悪いが......」
「悪い? 何で?」
「それはこの島に生えている木は
全て──」
「......許さぬ......」
と、ここで突然白い女が目を覚まし、
俺たちは即座に身構える。
「......この力には頼りたくなかった
んじゃが......」
白い女は白い蒸気をしゅーっと体中
から放出させながら、
ぎろりと不気味な目でこちらを見る。
そして、ぼんやりとだが体には
まるで刺青のような模様が浮かび
上がっているのが確認できた。
「もう......手加減はなしじゃ......
貴様ら二人ともここで......!」
うっすらと浮かび上がっていた
その模様がはっきりと見えるように
なったと同時に、吹雪姫は獣のように
俺たちに突っ込んで来る。
「タチアナ、下がってろ。」
俺はタチアナが再び異次元に
連れていかれるのを
防ぐため、彼女の前に立つが、
あの白い女は全く臆することなく
俺に突撃してくる。
そして、その白い手が俺に触れそうに
なった、その時
「ピイイイイイィィィ!!!」
あんな魔法があったとは......
迂闊だった。
俺は消えたタチアナを
探すべく辺りを捜索していたが、
タチアナどころか白い女すら
見当たらない。
タチアナを信じていない訳ではないが、
あの白い女がどれほど強いのかすら
不明なままだ。
正直不安になってしまう。
「一度戻るか......」
これ以上闇雲に探しても
意味がないと判断し、
俺はタチアナが消えた場所に
戻ってきた。
ピカッ!!
すると、いきなり目の前が
眩い光で照らされる。
「!?」
俺がその異様な光に困惑していると、
その謎の光が現れた空間に
ひびが入り、バリッ!! と
ガラスが割れる音がする。
「あああっ!!!」
俺はその悲鳴の主を確認するため、
光が眩しくて閉じたまぶたを
開けてみると、目の前には
あの白い女と
「隼人!」
タチアナがいた。
空間の割れ目から出てきた二人は
四方八方に飛ばされ、俺は素早く
タチアナの着地地点に先回りし、
彼女を受け止める。
「おい、どこにいたんだ!」
「異次元だ。」
「い、異次元!?」
タチアナによると、
どうやらあの吹雪姫によって先程まで
異次元に飛ばされていたらしい。
その異次元からどうにか
脱出するために、奮闘したようだが
最後に選んだ手段とは
「次元ごと、空間を破壊した。」
だそうだ。
「ライジング・スラッシュを
あの次元に放ったんだ。
そしたら、空間にひびが入って
私とそこで伸びている
吹雪姫はその中に吸い込まれた。」
「次元ごと破壊って......無茶なこと
するな......」
「ははは......まあ、こうなる確信
があったからな。以前、城の図書館で
読んだ本の中にこんなことが
書いてあった。
今いる次元と異次元は密接に
繋がっている、とな。
だから、あの異次元を破壊すれば
この次元に戻って来れると
思ったのだ。」
「......勉強の賜物だな。」
俺はタチアナが立ち上がるのを
補助しながら、吹雪姫に目を移す。
「しかし......どうするか......あの女。」
「彼女は悪い者ではないさ。
気絶しているようだし、今のうちに
木を伐採しに行くとしよう。
彼女には悪いが......」
「悪い? 何で?」
「それはこの島に生えている木は
全て──」
「......許さぬ......」
と、ここで突然白い女が目を覚まし、
俺たちは即座に身構える。
「......この力には頼りたくなかった
んじゃが......」
白い女は白い蒸気をしゅーっと体中
から放出させながら、
ぎろりと不気味な目でこちらを見る。
そして、ぼんやりとだが体には
まるで刺青のような模様が浮かび
上がっているのが確認できた。
「もう......手加減はなしじゃ......
貴様ら二人ともここで......!」
うっすらと浮かび上がっていた
その模様がはっきりと見えるように
なったと同時に、吹雪姫は獣のように
俺たちに突っ込んで来る。
「タチアナ、下がってろ。」
俺はタチアナが再び異次元に
連れていかれるのを
防ぐため、彼女の前に立つが、
あの白い女は全く臆することなく
俺に突撃してくる。
そして、その白い手が俺に触れそうに
なった、その時
「ピイイイイイィィィ!!!」
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