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二百五十六話 フリーズランド16
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「まあ、俺は侍じゃなくてただの
学生だったけどな。」
「ガクセイ?」
「なんていうか、いろんな事を学ぶ
のが仕事というか、とにかく教育を
受けてたな。」
「ほう。ならば、隼人は
貴族の出なのか?」
「違う、違う。俺の国の人は
皆、十五才になるまで義務として
教育を受けるんだよ。」
「何!? それは本当なのか!?
なんと素晴らしい!
身分関係なく全ての子供が教育を
受けられるのか。」
「そう、そう。」
タチアナはおーっと感動している。
そうだよな......
俺もいろんな異世界を旅してきた
けど、子供達が誰これ構わず教育
を受けれる世界なんてまずなかった。
そう考えれば俺は恵まれていたの
かもしれない。
「他には!?」
「えっと......他には......」
それから俺はタチアナに
多くのことを教えた。
日本にあった乗り物のこと。
食べ物のこと。
スマホやゲーム機なんかは
説明が難しくてあまり伝わら
なかったが、タチアナは俺の話しに
ずっと興味深々だった。
中でも一番驚いていたのが
「空の上には宇宙という
世界があるのか!?」
「ああ。まあ人間が行ったら死ぬ
けどな。」
「それはなぜだ?」
「空気がないんだよ。真空だ。」
「空気が......ない?」
「そう。空気が無いとその中に
含まれてる酸素っていうのも
なくなる。俺たち人間が生きる
ためにはその酸素ってのが絶対に
必要なんだ。」
「サンソ?」
「えっと......俺たちは呼吸をするだろ?
それは空気中に含まれてる酸素を
取り入れてるんだ。まあ、肉眼では
酸素は見えないけどな。」
「??? 目に見えないのに
なぜ隼人はそのサンソの存在を
知ってるんだ?」
「そりゃあ、そう習ったからだよ。
多分昔の研究者達が発見したんだと
思う。」
「その昔の研究者達はどうやっ──」
と、まあこんな感じで俺は
タチアナが聞き飽きるまで
宇宙のことを話してやった。
「なんと興味深い。
それほどの知識を日本という
ところでは誰でも身につけることが
できるのか。」
タチアナは羨ましそうな
顔をして、焚き火に目を移す。
真面目で知的欲求が盛んなタチアナから
すれば、俺が今まで学んできた
事は、とても眩しく思えるのだろう。
なのに、学生の頃の俺は
そういうのを学んでも
ふーん、意味不じゃん。
ぐらいしか考えてなかったな......
もっと真面目に学んどけばよかった......
と、俺が少々後悔してると
「あ......私だけ質問しすぎたな。
隼人。今度は君が質問する番だ。
何か聞きたいことがあったのだろ?」
「お、そうだった。ちょっと
聞きたいことがあるんだけどさ......」
タチアナは下を向いていた
俺の顔を覗いてくる。
すると、俺が少し深刻そうな
顔をしているのを見て、さっきまで
楽しそうな様子だったタチアナは
不安げな表情になった。
「どうしたのだ。そんな顔して......」
「......」
俺は正直困惑している。
それに、これを聞いたらタチアナは、
また前みたいになってしまうかも
しれない。
しかし、これを聞かずして俺は
先に進めない。
だから、俺は意を決して
口を開いた。
「タチアナ......お前......
五年前に呪覆島で保護されたって
本当か?」
学生だったけどな。」
「ガクセイ?」
「なんていうか、いろんな事を学ぶ
のが仕事というか、とにかく教育を
受けてたな。」
「ほう。ならば、隼人は
貴族の出なのか?」
「違う、違う。俺の国の人は
皆、十五才になるまで義務として
教育を受けるんだよ。」
「何!? それは本当なのか!?
なんと素晴らしい!
身分関係なく全ての子供が教育を
受けられるのか。」
「そう、そう。」
タチアナはおーっと感動している。
そうだよな......
俺もいろんな異世界を旅してきた
けど、子供達が誰これ構わず教育
を受けれる世界なんてまずなかった。
そう考えれば俺は恵まれていたの
かもしれない。
「他には!?」
「えっと......他には......」
それから俺はタチアナに
多くのことを教えた。
日本にあった乗り物のこと。
食べ物のこと。
スマホやゲーム機なんかは
説明が難しくてあまり伝わら
なかったが、タチアナは俺の話しに
ずっと興味深々だった。
中でも一番驚いていたのが
「空の上には宇宙という
世界があるのか!?」
「ああ。まあ人間が行ったら死ぬ
けどな。」
「それはなぜだ?」
「空気がないんだよ。真空だ。」
「空気が......ない?」
「そう。空気が無いとその中に
含まれてる酸素っていうのも
なくなる。俺たち人間が生きる
ためにはその酸素ってのが絶対に
必要なんだ。」
「サンソ?」
「えっと......俺たちは呼吸をするだろ?
それは空気中に含まれてる酸素を
取り入れてるんだ。まあ、肉眼では
酸素は見えないけどな。」
「??? 目に見えないのに
なぜ隼人はそのサンソの存在を
知ってるんだ?」
「そりゃあ、そう習ったからだよ。
多分昔の研究者達が発見したんだと
思う。」
「その昔の研究者達はどうやっ──」
と、まあこんな感じで俺は
タチアナが聞き飽きるまで
宇宙のことを話してやった。
「なんと興味深い。
それほどの知識を日本という
ところでは誰でも身につけることが
できるのか。」
タチアナは羨ましそうな
顔をして、焚き火に目を移す。
真面目で知的欲求が盛んなタチアナから
すれば、俺が今まで学んできた
事は、とても眩しく思えるのだろう。
なのに、学生の頃の俺は
そういうのを学んでも
ふーん、意味不じゃん。
ぐらいしか考えてなかったな......
もっと真面目に学んどけばよかった......
と、俺が少々後悔してると
「あ......私だけ質問しすぎたな。
隼人。今度は君が質問する番だ。
何か聞きたいことがあったのだろ?」
「お、そうだった。ちょっと
聞きたいことがあるんだけどさ......」
タチアナは下を向いていた
俺の顔を覗いてくる。
すると、俺が少し深刻そうな
顔をしているのを見て、さっきまで
楽しそうな様子だったタチアナは
不安げな表情になった。
「どうしたのだ。そんな顔して......」
「......」
俺は正直困惑している。
それに、これを聞いたらタチアナは、
また前みたいになってしまうかも
しれない。
しかし、これを聞かずして俺は
先に進めない。
だから、俺は意を決して
口を開いた。
「タチアナ......お前......
五年前に呪覆島で保護されたって
本当か?」
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