3521回目の異世界転生 〜無双人生にも飽き飽きしてきたので目立たぬように生きていきます〜

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二百四十八話 フリーズランド8

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ペルーと五羽の鳥たちは互いに
氷のブレスを掛け合い、空を
縦横無尽に飛び回る。
俺とタチアナがそれに見いっていると


「隼人。 他にもいるぞ。」


タチアナが指差した方の
空から何十羽もの鳥たちが
ペルーの元に飛んでくる。


「ピュルルル!!」


もはや多すぎてペルーが
どこにいるのかわからないが
その鳥の群れは鳴き声を
上げ、美しく螺旋を
描きながら空を飛び回る。


「綺麗......」


俺の側にいるタチアナは思わず
そう言った。



なるほど。
俺が読んだ歴史書にどうして
ペルーの種名がファミリーバード
と命名されていたのか今わかった。
おそらく昔の調査員はただ単に
親と共に子が島から島へ渡っていく
という習性があるからそう
名付けたんじゃない。
きっとこれを見てファミリー
バードと名付けたのだろう。


互いに氷のブレスを掛け合い、
決して衝突することなく
一羽一羽が仲間のことを気に
かけながら飛んでいるこの姿を
見れば、家族の絆を連想してしまう。
昔の調査員もこれを見て、今の
俺たちと同じ気持ちになったに
違いない。


俺は目を凝らしながら


「ペルーどこだ?」


と、その中からペルーの
姿を探していると


「あそこだ。隼人。」


タチアナが丁寧に指差してくれた
お陰で、段々俺たちから遠ざかって
いく鳥の群れの中から、必死に群れに
ついていくペルーの姿をちらっと
だけ確認できた。


「行ってしまったな......」


そして、その群れは俺たちの
視界から見えなくなるほど
遠くに飛び立ってしまった。
残されたタチアナは少し
寂しそうに言う。



「あっという間だったな。」


「こんなもんさ。別れなんて。」


そう。別れなんてあっという間。
ほんと......呆気ないほどに
別れとはあっという間なのだ。
いちいち悲しんでいては
心が持たない。


「よし! 行くか! タチアナ。」


「も、もう行くのか!?」


「ああ。俺たちには時間がないんだろ?」


おそらくタチアナはこの余韻にもう
しばらく浸っていたいのだろう。
だが、この余韻に浸れば浸るほど
今の寂しさは逆に膨れるだけだ。
ぱっと気持ちを切り替えるしかない。


「......そうだな......兄様との約束だ。
我々も向かうとしよう。」


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