138 / 351
百三十八話 三日月島3
しおりを挟む
「では隼人はずっと一人で戦ってきた
のだな。」
「いや、でも最初の頃は仲間を
作ったり、協力もしたりしてたよ。
ただ、どうせ別れがくるんだから
......無意味な関係なんてもう作る必要
なんてない。」
「無意味だなんて、そんなこと──」
「無意味だったよ。
その世界から消えてしまえば、
俺はあの人達と二度と会うこと
ができない。そんなの、死んだのと
一緒だ。」
「隼人......」
「......悪い。変なこと言ったな。忘れてくれ。」
別にこれを話すつもりなど、更々
なかったのに、
ついしゃべりすぎてしまった。
俺の話にタチアナが悲しそうな
表情をしている。
「これからも、君はそうやって
生きていくのか?」
「......かもな。」
「君と共に一緒に戦ってくれる
者はいないのか? そう、君と
同じ転生者とか。居るのだろう?
隼人と同じように世界の危機を救う
転生者が。」
「まあ......いるには......いる。」
「ならば、その者達と共に行動すれ
ばいい。そうしたら、君は孤独から
解放される。」
「いや......別に俺は孤独が嫌とか──」
「いいや、隼人。君は疲れた目を
している。ずっと一人で何もかも
背負って、疲れはてた、そんな目だ。」
「......」
「違うか?」
俺は反論できなかった。
タチアナの言葉に。
これが図星っていうもんなんだろうか。
別に自分は孤独が辛いとか
思っていない。
......たぶん......
けれど、タチアナの言葉が自分の
胸にずきずき刺さる。
まるでいままで、自分を騙してきた
物が、一つ一つ壊されている、
そんな訳のわからない感覚だった。
のだな。」
「いや、でも最初の頃は仲間を
作ったり、協力もしたりしてたよ。
ただ、どうせ別れがくるんだから
......無意味な関係なんてもう作る必要
なんてない。」
「無意味だなんて、そんなこと──」
「無意味だったよ。
その世界から消えてしまえば、
俺はあの人達と二度と会うこと
ができない。そんなの、死んだのと
一緒だ。」
「隼人......」
「......悪い。変なこと言ったな。忘れてくれ。」
別にこれを話すつもりなど、更々
なかったのに、
ついしゃべりすぎてしまった。
俺の話にタチアナが悲しそうな
表情をしている。
「これからも、君はそうやって
生きていくのか?」
「......かもな。」
「君と共に一緒に戦ってくれる
者はいないのか? そう、君と
同じ転生者とか。居るのだろう?
隼人と同じように世界の危機を救う
転生者が。」
「まあ......いるには......いる。」
「ならば、その者達と共に行動すれ
ばいい。そうしたら、君は孤独から
解放される。」
「いや......別に俺は孤独が嫌とか──」
「いいや、隼人。君は疲れた目を
している。ずっと一人で何もかも
背負って、疲れはてた、そんな目だ。」
「......」
「違うか?」
俺は反論できなかった。
タチアナの言葉に。
これが図星っていうもんなんだろうか。
別に自分は孤独が辛いとか
思っていない。
......たぶん......
けれど、タチアナの言葉が自分の
胸にずきずき刺さる。
まるでいままで、自分を騙してきた
物が、一つ一つ壊されている、
そんな訳のわからない感覚だった。
10
お気に入りに追加
131
あなたにおすすめの小説

転生した体のスペックがチート
モカ・ナト
ファンタジー
とある高校生が不注意でトラックに轢かれ死んでしまう。
目覚めたら自称神様がいてどうやら異世界に転生させてくれるらしい
このサイトでは10話まで投稿しています。
続きは小説投稿サイト「小説家になろう」で連載していますので、是非見に来てください!

器用貧乏の底辺冒険者~俺だけ使える『ステータスボード』で最強になる!~
夢・風魔
ファンタジー
*タイトル少し変更しました。
全ての能力が平均的で、これと言って突出したところもない主人公。
適正職も見つからず、未だに見習いから職業を決められずにいる。
パーティーでは荷物持ち兼、交代要員。
全ての見習い職業の「初期スキル」を使えるがそれだけ。
ある日、新しく発見されたダンジョンにパーティーメンバーと潜るとモンスターハウスに遭遇してパーティー決壊の危機に。
パーティーリーダーの裏切りによって囮にされたロイドは、仲間たちにも見捨てられひとりダンジョン内を必死に逃げ惑う。
突然地面が陥没し、そこでロイドは『ステータスボード』を手に入れた。
ロイドのステータスはオール25。
彼にはユニークスキルが備わっていた。
ステータスが強制的に平均化される、ユニークスキルが……。
ステータスボードを手に入れてからロイドの人生は一変する。
LVUPで付与されるポイントを使ってステータスUP、スキル獲得。
不器用大富豪と蔑まれてきたロイドは、ひとりで前衛後衛支援の全てをこなす
最強の冒険者として称えられるようになる・・・かも?
【過度なざまぁはありませんが、結果的にはそうなる・・みたいな?】

日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。
禁忌地(アビス)に追放された僕はスキル【ビルダー】を使って荒野から建国するまでの物語。
黒猫
ファンタジー
青年マギルは18才になり、国王の前に立っていた。
「成人の儀」が執り行われようとしていた。
この国の王家に属する者は必ずこの儀式を受けないといけない…
そう……特別なスキルを覚醒させるために祭壇に登るマギルは女神と出会う。
そして、スキル【ビルダー】を女神から授かると膨大な情報を取り込んだことで気絶してしまった。
王はマギルのスキルが使えないと判断し、処分を下す。
気を失っている間に僕は地位も名誉もそして…家族も失っていた。
追放先は魔性が満ちた【禁忌地】だった。
マギルは世界を巻き込んだ大改革をやり遂げて最高の国を建国するまでの物語。

最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

「破滅フラグ確定の悪役貴族、転生スキルで「睡眠無双」した結果、国の英雄になりました」
ソコニ
ファンタジー
過労死したIT企業のシステムエンジニア・佐藤一郎(27歳)が目を覚ますと、ファルミア王国の悪名高い貴族エドガー・フォン・リヒターに転生していた。前の持ち主は王女を侮辱し、平民を虐げる最悪の人物。すでに破滅フラグが立ちまくり、国王の謁見を明日に控えていた。
絶望する一郎だが、彼には「いつでもどこでも眠れる」という特殊なスキルが備わっていた。緊張するとスイッチが入り、彼は立ったまま眠りに落ちる。目覚めると周囲の状況が思わぬ方向へ好転しているのだ。

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~
いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。
他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。
「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。
しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。
1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化!
自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働!
「転移者が世界を良くする?」
「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」
追放された少年の第2の人生が、始まる――!
※本作品は他サイト様でも掲載中です。

家の庭にレアドロップダンジョンが生えた~神話級のアイテムを使って普通のダンジョンで無双します~
芦屋貴緒
ファンタジー
売れないイラストレーターである里見司(さとみつかさ)の家にダンジョンが生えた。
駆除業者も呼ぶことができない金欠ぶりに「ダンジョンで手に入れたものを売ればいいのでは?」と考え潜り始める。
だがそのダンジョンで手に入るアイテムは全て他人に譲渡できないものだったのだ。
彼が財宝を鑑定すると驚愕の事実が判明する。
経験値も金にもならないこのダンジョン。
しかし手に入るものは全て高ランクのダンジョンでも入手困難なレアアイテムばかり。
――じゃあ、アイテムの力で強くなって普通のダンジョンで稼げばよくない?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる