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百三十一話 誓い
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閉ざされた鳥籠の中で私は
海を眺める。
「姫様。本日の職務は以上に
なります。お疲れ様でした。」
「ばーや。ちょっと行ってきてもいい?」
私を自分の子供のように育ててくれた
ばーやは、はぁとため息をつく。
「たまには......ね?」
「はぁ......決して他の者に見られぬよう、
十分にお気をつけなさいませ。」
「はい。」
ばーやが私の部屋を後にすると
私は高鳴る鼓動を抑えながら、
鍵を取り、貝殻でできた棚を開ける。
棚から取り出したのは、王家に
代々受け継がれてきた魔法の秘薬。
それを何粒か取って、部屋を出る。
そして部屋の外に控えている従者に
見つからぬように、こっそりと泳いで
城を出た。
今日は運が良かった。誰にも
見つからずに、海底洞窟の入り口まで
来れた。
「......」
私は部屋から取ってきた秘薬を一粒口に
含む。
「......!」
陸上で生活するには不向きな
私の下半身が、二足歩行へと変身した。
「......よし......」
私は今から秘密の場所に行くのだ。
誰も知らない秘密の場所に。
海底洞窟は一見、一本道の洞窟だけど
実は壁のとある場所を押すと、その
壁が扉のように開く。
このことは私の母上から聞いたこと。
開かれたそこには、
誰も知らない小さな海がある。
よく母上もここで王室で疲れた体を
癒してたらしい。
私はその小さな海を見ると
すぐに、我慢していた気持ちが
抑えきれなくなって海に飛び込んだ。
ザブンッ!
海に飛び込むと私の下半身は二足歩行
からもとに戻る。
「ふぅ......気持ちいい......」
誰もいない。静かな場所で、
現実を忘れてこうやってはねを伸ばすの
が、私の唯一の楽しみだった。
ガチャンッ!
すると、後ろで何か物が落ちたような
音がした。
慎重に海から顔を出す。
そこにいたのは彼だった。
まだ幼い、足を情けなく震わせ
私に怯えている人の子だった。
海を眺める。
「姫様。本日の職務は以上に
なります。お疲れ様でした。」
「ばーや。ちょっと行ってきてもいい?」
私を自分の子供のように育ててくれた
ばーやは、はぁとため息をつく。
「たまには......ね?」
「はぁ......決して他の者に見られぬよう、
十分にお気をつけなさいませ。」
「はい。」
ばーやが私の部屋を後にすると
私は高鳴る鼓動を抑えながら、
鍵を取り、貝殻でできた棚を開ける。
棚から取り出したのは、王家に
代々受け継がれてきた魔法の秘薬。
それを何粒か取って、部屋を出る。
そして部屋の外に控えている従者に
見つからぬように、こっそりと泳いで
城を出た。
今日は運が良かった。誰にも
見つからずに、海底洞窟の入り口まで
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「......」
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「......!」
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「......よし......」
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誰も知らない秘密の場所に。
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すぐに、我慢していた気持ちが
抑えきれなくなって海に飛び込んだ。
ザブンッ!
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「ふぅ......気持ちいい......」
誰もいない。静かな場所で、
現実を忘れてこうやってはねを伸ばすの
が、私の唯一の楽しみだった。
ガチャンッ!
すると、後ろで何か物が落ちたような
音がした。
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私に怯えている人の子だった。
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