3521回目の異世界転生 〜無双人生にも飽き飽きしてきたので目立たぬように生きていきます〜

I.G

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百十四話 一方地上では

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「おーーい!! タチアナ!!」


木々が生い茂る森の中で男の声が
響き渡る。


「くそ! どこ行っちまったんだ!」 


すると、大声を出していた男の隣に
木の上からすたっと女が
着地する。


「どうだったのだよ?」


「......森、多すぎて......よく......わか
んない。」


「まだこの島の幹部は空にいたか?」


「......いた。地上に墜落した......やつは
わかんない。」


「先程は前触れもなく俺たちを
襲ってきたのに、今度はこのうるさい
やつがばか騒ぎしていても、襲ってこない
のは、一体どういうことなのだよ。」


「おい。」


「......きっと......耳障りだから。」


「おい! そのうるさいやつってのは──」


「お前なのだよ。」



バーゼンはきっぱりカクバに言った。



そして、行方不明の二人を捜索してから
何も得られぬまま、日が落ちてきた。



「......いない......」


「今日はここで休んでおくのだよ。」


「......」


「そう落ち込むなって! ホーズキ。
ほら! このトカゲみてぇなやつの
しっぽ分けてやるからよ!」


「......いらない。」


「とりあえず、明日は船に戻って
さらに人を増やすのだよ。」


「......嫌。」 


「これは長老たちと交わした約束
なのだよ。」


「......そんな暇があったら......
 はやく......タチアナ......見つける。」


「はぁ......」


断固として意思を変えない鬼灯に、
バーゼンはため息をつく。


ならば、とバーゼンは鬼灯にこっそり
耳打ちをした。


「明日船に戻ったら、タチアナが
いつも愛用している抱き枕を部屋から
こっそり持ってこようと思うのだが──」


「いる!」


「お前らな......」



いつも退屈な目をしている鬼灯の
目が眩いほどに光輝くのだった。
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