3521回目の異世界転生 〜無双人生にも飽き飽きしてきたので目立たぬように生きていきます〜

I.G

文字の大きさ
上 下
53 / 351

五十三話 選抜試験12

しおりを挟む
あ!?


と流石に俺は鼠やろうに
切れそうになったが


「それはできません。」


とアルナさんの言葉で
なんとか思いとどまる。


「隼人さんは先程、
自分自身で決闘に勝利し、
バッチを手に入れました。
この三つあるバッチの一つは
紛れもなく、彼のものです。
もし、私が負けてバッチが
二つになったとしても、
合格すべきなのは
勝利した隼人さんと牛喜さん
です。」



「そんなことになったらわいが
合格できんやないか!」



鼠が自分勝手なことを
言っていると、
別の班から一人、
こちらに向かってきた。
そして


「この班に決闘を申し込む。」



堂々とその男は言ったのだった。



「ドッペさん。」


アルナさんもまるで彼が
決闘を申し込んで来るのが
分かっていたかのように
真っ直ぐ彼をみる。



俺達以外にバッチを三個所持していた
班の中に、以前ヘルドラ討伐
で見かけた彼がいたのだった。


「アルナ、お前が戦うのか?」


「受けるな! 考え直せ!
ここでリスクを犯さなくても、
この回復魔法士を落とせばええんや!
どうせこんなよわっちい男には
なんもできやしない!
もしも、この男がわいらに
怒ってもわいが魔法で
どうにかする!
それでええやろ! な?  な? なあ!」



あまりの彼の身勝手な言葉に
周りが静まり返る。
自分が受かればそれでいい。
このゴミ鼠には
それしか頭にないようだった。


「本当に、救いようのない人ですね。
なぜ、あなたはそんなにも彼を、
いえ、回復魔法士を下に見るのですか。
理解できません。
彼らにどれだけ私達が
救われているのか
考えたこともないのでしょうね。」



「な、なんやと!」



「はっきり言います。
もし、この中で一人を落とすの
だとすれば、先程決闘に
負けたあなただと思います。」



誰もが思っていたことを彼女は
言ってくれた。すがすがしいほどに。
そんな言葉を聞いて、
痛いところを突かれた鼠は
何か言い返そうと口をもごもごして
いる。



「ですが...誰かを蹴落として、
自分が合格したとしても
あの人は喜んでくれません。
誇ってくれません。
それに、私はあの人の
団員の一人です。
あの人の顔に泥を塗るようなこと
もできません。」


アルナさんは″あの人″のいる
場所を見上げて言った。


「ですから私は戦います。
戦ってドッペさんに
勝って、魔王討伐軍の船に
あの人と一緒に船に乗ります!」


「それは私の申し出を
受けてくれるととっていいのだな?
アルナ。」


「はい!」


俺は力強く返事を
する彼女の人格に
感服する他なかった。

しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

レベルが上がらない【無駄骨】スキルのせいで両親に殺されかけたむっつりスケベがスキルを奪って世界を救う話。

玉ねぎサーモン
ファンタジー
絶望スキル× 害悪スキル=限界突破のユニークスキル…!? 成長できない主人公と存在するだけで周りを傷つける美少女が出会ったら、激レアユニークスキルに! 故郷を魔王に滅ぼされたむっつりスケベな主人公。 この世界ではおよそ1000人に1人がスキルを覚醒する。 持てるスキルは人によって決まっており、1つから最大5つまで。 主人公のロックは世界最高5つのスキルを持てるため将来を期待されたが、覚醒したのはハズレスキルばかり。レベルアップ時のステータス上昇値が半減する「成長抑制」を覚えたかと思えば、その次には経験値が一切入らなくなる「無駄骨」…。 期待を裏切ったため育ての親に殺されかける。 その後最高レア度のユニークスキル「スキルスナッチ」スキルを覚醒。 仲間と出会いさらに強力なユニークスキルを手に入れて世界最強へ…!? 美少女たちと冒険する主人公は、仇をとり、故郷を取り戻すことができるのか。 この作品はカクヨム・小説家になろう・Youtubeにも掲載しています。

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

家の庭にレアドロップダンジョンが生えた~神話級のアイテムを使って普通のダンジョンで無双します~

芦屋貴緒
ファンタジー
売れないイラストレーターである里見司(さとみつかさ)の家にダンジョンが生えた。 駆除業者も呼ぶことができない金欠ぶりに「ダンジョンで手に入れたものを売ればいいのでは?」と考え潜り始める。 だがそのダンジョンで手に入るアイテムは全て他人に譲渡できないものだったのだ。 彼が財宝を鑑定すると驚愕の事実が判明する。 経験値も金にもならないこのダンジョン。 しかし手に入るものは全て高ランクのダンジョンでも入手困難なレアアイテムばかり。 ――じゃあ、アイテムの力で強くなって普通のダンジョンで稼げばよくない?

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

転生した体のスペックがチート

モカ・ナト
ファンタジー
とある高校生が不注意でトラックに轢かれ死んでしまう。 目覚めたら自称神様がいてどうやら異世界に転生させてくれるらしい このサイトでは10話まで投稿しています。 続きは小説投稿サイト「小説家になろう」で連載していますので、是非見に来てください!

鬼神転生記~勇者として異世界転移したのに、呆気なく死にました。~

月見酒
ファンタジー
高校に入ってから距離を置いていた幼馴染4人と3年ぶりに下校することになった主人公、朝霧和也たち5人は、突然異世界へと転移してしまった。 目が覚め、目の前に立つ王女が泣きながら頼み込んできた。 「どうか、この世界を救ってください、勇者様!」 突然のことに混乱するなか、正義感の強い和也の幼馴染4人は勇者として魔王を倒すことに。 和也も言い返せないまま、勇者として頑張ることに。 訓練でゴブリン討伐していた勇者たちだったがアクシデントが起き幼馴染をかばった和也は命を落としてしまう。 「俺の人生も……これで終わり……か。せめて……エルフとダークエルフに会ってみたかったな……」 だが気がつけば、和也は転生していた。元いた世界で大人気だったゲームのアバターの姿で!? ================================================ 一巻発売中です。

アラフォーおっさんの週末ダンジョン探検記

ぽっちゃりおっさん
ファンタジー
 ある日、全世界の至る所にダンジョンと呼ばれる異空間が出現した。  そこには人外異形の生命体【魔物】が存在していた。  【魔物】を倒すと魔石を落とす。  魔石には膨大なエネルギーが秘められており、第五次産業革命が起こるほどの衝撃であった。  世は埋蔵金ならぬ、魔石を求めて日々各地のダンジョンを開発していった。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

処理中です...