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第3章 ルカSide

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 結局あれからウィルフレッドの体力は回復せず、もう一度することは諦めた。
 薬のせいで湧き起こる性欲のせいだとはいえ、欲望のままにしていたら、躰を壊しかねない。
 ウィルフレッドが風呂で汗と精液だらけになってしまった躰を流している間に、シーツを新しいものに取り替えた。
 出てきたウィルフレッドと入れ違いに風呂に入って出てくると、ウィルフレッドはベッドに腰をかけながら、うとうとと眠たそうに舟を漕いでいた。
 隣に座ると、ウィルフレッドは両目を瞬かせながら、俺の肩口に頭を乗せる。

「あのさ、ユーリちゃんの言葉にひらめいて、きゅうきょ図書館で調べたってゆっただろ?」

 少々呂律が回っていない。

「うん」
「あれ、嘘なんだ。薬の効果は、買ったときから知ってた」
「え?!」

 驚いたが、今思えば、思い当たる節はいくつもあった。
 ウィルフレッドらしい告白に、怒る気にもなれなかった。

「でも不能になるっていうのは知らなかったんだよ。単純にあの薬を飲んでキスしたらルカはちゃんと反応してくれるのかなって思って。でもいざキスしようとしたら緊張しちゃって。ルカに何も起こらなかったらオレたち一緒に居られなくなるんだなぁって薬を盛ってから気がついて……、だから……」

 一本調子に喋り続けていたウィルフレッドの言葉がふと途切れる。

「ウィル?」

 顔を覗き込めば、目を閉じて寝息を立てていた。
 ウィルフレッドの体を抱き上げて、ベッドの上に横たえる。
 大きなあくびをすると、俺もウィルフレッドの横に寝そべり、目を閉じた。

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