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第3章 ルカSide

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「ねえ、こんなのが楽しいわけ?」

 立て続けに三回やって、ようやく俺の状態も落ち着いてきた。
 だからといって、完全に治まったわけではない。
 薬の効果でまだまだ高揚しているが、体力の方がついていけててない状態だった。
 このまま続けたら死んでしまう。
 だから、俺の体力が回復するまで、ウィルフレッドには自慰を見せて欲しいと頼んだ。
 こんなことを頼むのは、何でもしてくれると言った今しかチャンスはない。
 ウィルフレッドも嫌な顔をしたが、何でもすると言った手前、拒みはしなかった。
 両足を大きく開いて自身を掴み、軽く扱いた。散々精を吐き出したそれは、潤滑油など必要ない。

「すごく楽しいよ。福眼だね」
「変態」

 罵りながらも、先端から少々白濁した先走りを溢れさせている。
 後孔はひくつき、俺が吐き出した精液が溢れ出ている。

「こっちもちゃんと塞いであげないと、溢れちゃうよ」

 後孔に触れると、ウィルフレッドは激しく頭を振った。

「や……っ、触るなって」
「じゃあ、自分で指を入れて弄って」
「うぅ……」

 唸って俺を睨み付けたが、諦めたように溜息を吐いた。左中指を自分の中に挿入していく。
 俺に散々慣らされたそこは、すんなりと指を受け入れる。

「ん……っ、あぁ……はぁ……」

 右手で自身を扱きながら、左手で孔を抜き差しする。淫猥な水音が部屋中に響き渡る。
 耳まで真っ赤にしたウィルフレッドは、悩ましげに眉を顰め、とろけた顔つきで俺のことを見つめている。
 その光景に、疲れを忘れて下半身が熱くなるのを感じた。

「両手が塞がっているから、こっちは構ってあげられないね」
「やぁ……っ」

 ルウィルフレッドのツンと立ち上がった乳首に舌を這わせると、もどかしそうに身を捩った。

「ね、挿れて。オレ、もう、イきたい……っ」

 自分の指では良いところに届かないらしい。いつの間にか、指は二本に増え、激しく挿入を繰り返している。

「凄いね。自分がどんな風になってるか分かってる?」
「知らない……、知りたくない……っ」

 ウィルフレッドは激しく頭を振った。

「今まで君を抱いてきた男達は卒倒しちゃうかもね」
「……っ」

 耳元でささやくと、さらに顔を赤らめて目を伏せた。目元に涙がにじんでいる。
 あまり虐めると、仕返しが怖い。これ以上は止めておこう。

「挿れてあげるから、自分で広げて見せて」
「ん……」

 指を引き抜くと、足をさらに広げて、両手の指で後孔を広げた。

「ルカぁ……、いれて……」

 普段から想像も付かない、舌っ足らずな声で名前を呼ばれて、思わず生唾を飲み込んだ。
 ウィルフレッドの潤んだ瞳から、涙が零れ落ちる。

「他の男も、こうやって誘うの?」
「ちが……っ、こんなこと……しない……っ」
「俺が初めて?」

 大きく何度も頷いたウィルフレッドに、それは嘘だと分かっていたが、彼の痴態を見られただけでも満足だ。
 ウィルフレッドの腰を掴み、ひくつく後孔に、己の先端をあてがう。
 そして、ゆっくりと腰を押し進めていく。

「あ、あぁ……、イイ……っ」

 ウィルフレッドは、ぶるぶると躰を震わせながら、快楽に顔を歪ませた。

「ん……、あ、あぁっ」

 さらに奥深くまで挿入すると、ウィルフレッドの躰がびくりと跳ねて弓なりにしなる。

「君の良いところに当たったかな」
「あ、あぁ……、あぅ、そこっ、もっと、潰してっ、ぐりぐりってして……っ」

 奥のしこりを押し潰すように突くと、内側を強く締め付けてくる。快感に持って行かれそうになり、俺は顔を顰めた。

「いっぱい潰してあげるよ」

 そう言って腰を激しく打ち付けながら、ウィルフレッドのペニスに手を伸ばした。可哀想なくらいに張り詰め、溢れ出した先走りでしとどに濡れている。

「あ、あ、あぁ……っ、いい……っ」
「おちんちん、気持ちいい?」
「おちんちん、きもちいいっ、もっと、おちんちん弄って……っ」

 ウィルフレッドは、口を半開きにしたまま嬌声を漏らし続けている。
 思考が飛んでしまったようで、普段はあまり言いたがらない隠語まで連発する始末だ。
 シーツを強く握っていた両手を、俺に向かって伸ばした。キスを求めているのだと気がつき、彼の唇に唇を重ね、舌を吸う。

「ん、んぅ、……んふ……っ」

 ウィルフレッドはルカの深いキスに応えながら、彼の背中に抱きついた。

「も、いくっ、いきたい……っ」
「良いよ。俺もいきそう」

 腰を最奥まで打ち付けると、ウィルフレッドの中へと欲望を吐き出した。
 しばらく二人は抱き合ったまま、息を整える。ウィルフレッドは放心状態で、大きく胸を上下させている。腹には、ウィルフレッドの吐き出したものが飛び散っていた。
 体中、汗や精液でべとべとだった。だが不思議と不快感はない。汗の臭いと精液の青臭さに、性欲がさらに掻き立てられる。
 薬の効果は驚異的である。

「こんなに出してるのに、まだしたいって思うなんて、あの催淫剤やばくない? 俺、君の上で腹上死なんて嫌なんだけど」

 俺は呆れたように溜息を吐いた。

「じゃあ、オレが上に乗ろうか?」

 まだぼんやりとしているウィルフレッドは、少々舌っ足らずな口調で、恐ろしいことを言う。
 彼に主導権を握らせたら、大変なことになる。

「いやいや。そういう問題じゃ……。あ、だったら後背位でしたいな」
「え?」

 一瞬戸惑いの色を見せたウィルフレッドだったが、「いいよ」と頷いた。

「じゃあ、一旦抜くよ」
「ん……っ」

 一旦ウィルフレッドの中から引き抜くと、溢れた精液がベッドのシーツを汚した。

「ああ。この後処理をするのが大変だ……」

 ウィルフレッドがぼやく。だが、どうせ処理をするのは俺の仕事だ。
 四つん這いになったウィルフレッドが尻を上げる。恥ずかしそうに顔を枕に埋めている。
 やはり、この恰好が一番好きだ、と思った。背中から尻にかけたラインがたまらない。
丸 見え状態のアナルがひくりと収縮する。俺が吐き出した精が、とろりと落ちて、シーツにさらにシミを作った。
 背中にキスを落とす。肩をふるわせたウィルフレッドが、ちらりと後ろを見た。

「いつまでこんな恰好をさせておく気?」
「ごめんごめん。今、挿れるから」

 ウィルフレッドの細い腰を掴んで、ゆっくりと挿入していく。

「あ……っ」

 ウィルフレッドは小さく喘いで、枕に顔を押しつけた。いつもは自分から積極的に動く彼も、後ろからとなると固まったように動かなくなってしまう。
 ウィルフレッドを落ち着かせるように、彼のペニスに手を伸ばして優しく扱いてやる。何度も精を吐き出したそこは、硬さを失っていた。
 ゆるゆると腰を前後に動かした。

「ん、ん……っ」
「ウィル、大丈夫?」

 耳元で優しくささやいて、耳たぶを軽く食んだ。

「ん……、へいき……っ」
「あともう少しだけ付き合ってね」
「ん……」

 ウィルフレッドが小さく頷いたのを見届けて腰の動きを早めていく。さすがに五度目となると、すぐにはイくことができない。腰を打ち付けたまま、背中に吸い付いて、いくつもの痕を付けていく。

「あ、あぁ……っ、ルカ……、ルカ……ッ、いくっ」

 ウィルフレッドは、精を吐き出すことなく達したようだった。
 搾り取るように締め付けられて、俺は顔を顰めた。

「っく……、ウィル……、ウィル……っ」
 ウィルフレッドの名前を何度も呼ぶと、彼の最奥に熱い精を迸らせた。
 息を整えながら、ウィルフレッドの背中に覆い被さり、彼の耳たぶを軽く食む。

「くすぐったい」

 ウィルフレッドは笑って顔を背けた。

「ウィル。好きだよ」

 耳元で囁くと、ウィルフレッドはぎくりと躰を強ばらせた。真面目な告白は、ウィルフレッドが最も苦手としていることだった。

「オ、オレは……」

 どう返事をして良いのか分からず、戸惑っているウィルフレッドに、俺は微笑んで見せた。
 愛することも愛されることも理解できずに育ったウィルフレッドは、愛情というものに対して懐疑的だ。すぐに理解させるのは無理だろう。徐々に理解してもらうしかない。
 躰を繋げることだけが全てではないと、いつかはウィルフレッドに理解して貰いたいと思っている。

「無理しなくていいよ」
「……ん」

 ウィルフレッドは小さく頷いた。

「ということで、もう一度しようか」
「え?! も、もう、オレ、無理……」

 珍しく音を上げるウィルフレッドに、つい笑ってしまう。
 俺はと言うと、珍しく弱音を吐くウィルフレッドを見ているうちに元気になってしまった。

「俺はまだ全然いけるけど」
「嘘?! マジで死ぬよ?!」
「君が盛った薬のせいだろ?」
「無理無理! オレ、もう無理だから!」
「じゃあ、もう少し休んでから、もう一度。ね?」

 ニコリと微笑んだ俺に、ウィルフレッドは顔を青くしたのだった。
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