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12.次は……

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「今度のマーケットで軍服を買おうかな。鬼軍曹と部下っていう設定も面白そうじゃない?」

 すっかり汚れてしまったメイド服をクリーニング袋に詰め込みながらそう言った。
 マーケットで密かに開店しているというアダルトショップについて、フレディに教えて貰ったのだ。コスプレ衣装の他にも、大人の玩具などが売っているらしい。今までその店の存在を知らなかったことが悔やまれる。

「お願いだから、変な方向にのめり込むのはやめてくれよ」

 ルカは、オレが妙な趣味を見つけてしまったことに困惑しているようだ。

「分かってるよ。こういうのは、たまにするから面白いんだよ」
「それならいいけど……。参考までに聞くけど、どっちが鬼軍曹でどっちが部下なんだ?」
「オレが鬼軍曹に決まってるじゃん」
 オレの返事にルカはがっくりと肩を落として、

「あー。なんとなく設定内容が想像できてしまう自分が嫌だ」

 とぼやいた。ルカが何を想像しているのかは分からないが、きっとオレが考えていることに近いだろう。
 オレは案外Sっけが強い。
 やるならとことん、本格的なSMをしてみたい。

「マーケットに紫色のテント小屋があって、コスプレ衣装や、大人のおもちゃが売ってるんだって。今度一緒に行こうね」

 ウィルフレッドの言葉にルカは、
「君が楽しんでいるなら俺も楽しいからいいよ」 
 と諦めたように溜息をついた。なんだかんだ言いつつ、まんざらでもなさそうだ。

「うん。ルカと一緒なら楽しいよ。――オレ、他のアルファとセックスするの、止められるように頑張る」
「え? 何を頑張るって? 今なんて言ったんだ?」

 オレの言葉を理解できずにいるルカの側に近寄ると、彼の首に腕を回した。

「これからは、二人だけで楽しもう?」

 耳元で囁いた。

 ――たとえ、どんなことがあっても、俺はずっと君と一緒にいる。

 小説の台詞を借りたルカの告白。
 オレは、彼の言葉を信じていけるように、自分も頑張ることを決めた。
 だから、これは決して自暴自棄になってやっている行為なんかじゃない。
 これからも、二人で一緒に楽しむための行為なのだ。
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