転生したので好きに生きよう！

第二章ドラゴニア帝国編

出航準備

　結局褌ふんどし姿になったのはミゲランヘルさんとスヴェンさんだけだった。他のメンバーは通常通りの姿。これ早急に水着を開発した方が良くね？って思う。女子だって薄着して水に入りたいだろうしね。

　港に着くと辺りは真っ暗で人の気配もあまりない。所で私、幼児だよね。今の時間帯寝ててもおかしくないんだけどその辺は誰か注意と言うか配慮したりとかしてくれないんですね。はい。わかってました。

　灯りを持った執事さんに着いていくと一隻の大きな船に案内された。その船だけ人が忙しそうに荷を運び入れている。

　ビークヘッドが船首から飛び出し、船縁のそり返りのカーブが大きいのが特徴的でマストの数は3～4本立っている。船尾形状が切り落としたように四角くなっているのが外見上の大きな特徴的な所謂ガレオン船と言う奴だ。

　ガレオン船は比較的高速で海の上を進むので今回にはうってつけだろうけど、その反面転覆しやすいと言うデメリットがあるのでそこがちょっと不安。クラーケンとの戦闘になって海が荒れだしたりしたら大変だろうな。船員さんが。私は揺れる船の上とは無縁の空を飛び回るからね。

　船員さんが忙しく荷運びしている脇を通り過ぎて無事船上に到着。私はカイルさんに抱っこされてるから船上と言えるのだろうか。

「姫様、船上へようこそ」

　船上が戦場に聞こえる。多分わざとだよね。だって、普通船の名前か甲板とか言うでしょ。いや、突っ込んだら敗けだ。多分。

「まだ準備中ですが、直ぐに出航しますのでもうしばらく御待ちください」

　そう言ってミゲランヘルさんは船員さんの中でも身形の良い格好をした髭面のおじさんと話し始めた。多分、この船の船長さんだろう。某映画に出てきそう。あ、あれは海賊か。

　カイルさんに下ろして貰って船の中を探検する。あまり皆と離れると心配したファンティーヌさんが飛んでくるのでなるべく皆の目が届く範囲だけにする。

　船の上だけあってゆらゆらと波に揺られ、その度におっとっととバランスを崩す。あっちへこっちへとだんだんと面白くなってきた頃、出航の準備が整ったので今からクラーケン退治へと出航すると船長さんが高らかに宣言した。

「我々には今回、頼もしい助っ人が駆け付けてくれた」

　いや、なかば無理矢理だったけどね。ファンティーヌさんが嬉々として参加するってなったからこっちはそれに巻き込まれた形なんだけど、船員さん達にはそこら辺は関係無いか。

「助っ人？あのちっこいのもか？」

　ちっこくて悪かったな。こちとら幼児なんだよ。ちっこくて当たり前なんだよ。

「それにしても美形集団だな」

　そうなんだよ。うちの子達皆美形なんだよ。なんでだろ？顔で守護者とか選んでないんだけど。