転生したので好きに生きよう!

ゆっけ

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第二章ドラゴニア帝国編

餌役抜擢

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「ヒットアンドアウェイって何ですか?」

 何故か聞きなれないだろう言葉に食いついたのはエレンさんだった。

「ひっちょあんどあうえいは、攻撃ちて直ぐに離れる行為の事でしゅ」

「へぇ、そんな戦法があるんですね」

 此方の世界では騎士の戦い方が主流だもんね。もしかしてストリートファイトみたいなのは無いのかな?

「常識じゃないか?」

「え?」

「え?」

 直ぐ否定したのはスヴェンさん。スヴェンさんとカイルさんは元々孤児院出身だと言っていたから、町の喧嘩なんかを目撃してたんだろうね。もしかして、参加とかもしちゃったり?

「ヒューマニ王国の良家の子息なんかは王道の騎士道を学び、平民なんかは喧嘩などが日常茶飯事だ」

「へぇ、ドラゴニアでは基本的になんでも使えと教わりますよ。手元に武器がない場合は手近な物で代用して戦闘します。だから片手で剣を振りながらもう片方の手で相手に殴りかかったりしますよ」

 おう。なんでもありのバトル・ロワイアルですか。流石に戦闘能力が高い竜人は戦闘スタイルに特に拘りはないんだね。

 逆にヒューマニは儀礼的な剣しか教わらないから弱いのでは?と、思うのは私だけ?

「あれ?なんでこんな話になったんだ?」

 ロウさんが、もっともな意見を述べる。そこで竜人と人間以外の種族がいる事に改めて気付いたのかミゲランヘルさんが話に乗っかる。

「獣人はどうなのだ?」

「え?はぁ、そうですね。竜人のスタイルに近いですね。武器はなんでも使うのは共通してますけど、戦闘で血が騒ぐと獣の姿に変わってそのまま己の牙や爪で…と、いうのも、ありますよ」

「その土地、その土地の習慣などが現れるのか。なかなか興味深い」

 眼鏡クイッて上げて「実に面白い」とか言いださないかとちょっと期待した。でも、ノアさんは眼鏡してない。残念。いや、何に対しての残念なんだろう?

「話が逸れていってますわよ。軌道修正なさいませ」

 朗らかに笑いながらお茶を飲んでいるカトレアさん。

「…そうだな。では儂と姫がメインで君達には補助を頼もう。何、船は出してもらえるから安心しろ」

「メインが父上と補助は納得しますが、姫が囮役なのは納得できかねます」

「う?」

「そうです。ニアでなくても良いではないですか。私がやります」

「駄目だ」

「なんでっすか?」

「この中で姫より魔力が高いのは誰だ?」

「…………」

「いないだろう。クラーケンは魔力の高いものを襲う。これまでは偶々儂が一番魔力が高かった為、海上で戦闘できていたが、今回は姫がいる。姫が陸上にいればクラーケンは陸上を目指して町を襲うだろう。逆に海上にいた場合は姫がいる船が襲われる。ならば姫が逃げ回っている隙にクラーケンを倒すしかあるまい」

 はい。以前はエレンさん位の魔力量だったけど体が成長するのに合わせて魔力の器が大きくなり、今ではリュシエル様に近いノアさんの魔力量より高い。それもう魔力量実質無尽蔵じゃね?って思ったのは私だけだろうか。
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