80 / 100
第二章ドラゴニア帝国編
釣り人であり、餌
しおりを挟む
もきゅもきゅと咀嚼中のノアさんを一旦放置し、目の前のお茶を一口飲んで口の中を潤す。美味しい。なんだろ?お茶の銘柄に詳しくないからよく分からないんだけど、フルーティーな香りが鼻を駆け抜けていくんだけど。
「それで父上、クラーケン退治のお手伝いは何をしたら良いのでしょう?」
「うむ。クラーケンは活きの良い人間もしくは魔力を多量に含んだ物を捕食するのだが、こちらの領民達には無理をさせるわけにもいかず、活きが良く、魔力も高い儂が餌兼狩人として頑張ったんだが…」
「上手くいかなかったと」
「む」
「ではミゲランヘル殿をクラーケンを討つ者として誰が餌役をするかですね…」
スヴェンさんがすかさず結論を言い、それに悔しそうに返答するミゲランヘルさん。
カイルさんが役割分担の配置を考えだした。活きが良いって言ったらファンティーヌさんだけど、彼女は番持ちだからあまり無理はさせたくないし、無論他の面々にも危険を犯して欲しくない。
だとすると私が出たら良いんだよね。幸い私の魔力量はこの中で高いのだから喜んで食いつくだろう。でも、食いつかれたとして私はどうやって逃げるべきか。そこが問題だ。
ノアさんみたいにドラゴンの姿をとれれば簡単なんだけどな、と思ってチラッとノアさんの様子を見てみるとまだ、もきゅもきゅしてた。どんだけ噛むのかな?
「では俺が」
手を挙げたのはエレンさんだった。いやいやいや、貴方は番持ちな上に王族でしょうが!
ファンティーヌさんの愛竜クロかノアさんにやはり飛んでもらうしかないか?
でも物は試しと言うからこう、ノアさんがドラゴンになるようにとイメージしながらうんうん唸る。
「やはり儂がどちらも遣るべきだろう。ファンティーヌ達には補助を頼むとしよう」
イメージ、イメージ。出来れば顔とか手足じゃなくて翔ぶ為の翼。I can flyなのだ。
すると私の中の魔力が活発に動きだし、体を循環するように巡る。巡った魔力は私のイメージ通りに肩甲骨へ、肩甲骨から伸びる翼をイメージする。
「いつもはどうしてるんすか?船を出すとか、もしかくはそのまま素潜りっすか?」
何年経ってもスヴェンさんの敬語は完成しないんだね。もう、諦めたら良いのに。
そう心の中だけで呟き、頭だけは今だにイメージに基づき魔力を巡らす。
メキメキっと音がしたような気がするけど、なんの音だろうか。木が倒れる音かとも思ったけど綺麗に整えた庭園でそれは有り得ない。気のせいだと気持ちを切り替えて一人集中し、唸る。
「それで父上、クラーケン退治のお手伝いは何をしたら良いのでしょう?」
「うむ。クラーケンは活きの良い人間もしくは魔力を多量に含んだ物を捕食するのだが、こちらの領民達には無理をさせるわけにもいかず、活きが良く、魔力も高い儂が餌兼狩人として頑張ったんだが…」
「上手くいかなかったと」
「む」
「ではミゲランヘル殿をクラーケンを討つ者として誰が餌役をするかですね…」
スヴェンさんがすかさず結論を言い、それに悔しそうに返答するミゲランヘルさん。
カイルさんが役割分担の配置を考えだした。活きが良いって言ったらファンティーヌさんだけど、彼女は番持ちだからあまり無理はさせたくないし、無論他の面々にも危険を犯して欲しくない。
だとすると私が出たら良いんだよね。幸い私の魔力量はこの中で高いのだから喜んで食いつくだろう。でも、食いつかれたとして私はどうやって逃げるべきか。そこが問題だ。
ノアさんみたいにドラゴンの姿をとれれば簡単なんだけどな、と思ってチラッとノアさんの様子を見てみるとまだ、もきゅもきゅしてた。どんだけ噛むのかな?
「では俺が」
手を挙げたのはエレンさんだった。いやいやいや、貴方は番持ちな上に王族でしょうが!
ファンティーヌさんの愛竜クロかノアさんにやはり飛んでもらうしかないか?
でも物は試しと言うからこう、ノアさんがドラゴンになるようにとイメージしながらうんうん唸る。
「やはり儂がどちらも遣るべきだろう。ファンティーヌ達には補助を頼むとしよう」
イメージ、イメージ。出来れば顔とか手足じゃなくて翔ぶ為の翼。I can flyなのだ。
すると私の中の魔力が活発に動きだし、体を循環するように巡る。巡った魔力は私のイメージ通りに肩甲骨へ、肩甲骨から伸びる翼をイメージする。
「いつもはどうしてるんすか?船を出すとか、もしかくはそのまま素潜りっすか?」
何年経ってもスヴェンさんの敬語は完成しないんだね。もう、諦めたら良いのに。
そう心の中だけで呟き、頭だけは今だにイメージに基づき魔力を巡らす。
メキメキっと音がしたような気がするけど、なんの音だろうか。木が倒れる音かとも思ったけど綺麗に整えた庭園でそれは有り得ない。気のせいだと気持ちを切り替えて一人集中し、唸る。
21
お気に入りに追加
428
あなたにおすすめの小説
積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!
ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。
悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。
迷い人と当たり人〜伝説の国の魔道具で気ままに快適冒険者ライフを目指します〜
青空ばらみ
ファンタジー
一歳で両親を亡くし母方の伯父マークがいる辺境伯領に連れて来られたパール。 伯父と一緒に暮らすお許しを辺境伯様に乞うため訪れていた辺境伯邸で、たまたま出くわした侯爵令嬢の無知な善意により 六歳で見習い冒険者になることが決定してしまった! 運良く? 『前世の記憶』を思い出し『スマッホ』のチェリーちゃんにも協力してもらいながら 立派な冒険者になるために 前世使えなかった魔法も喜んで覚え、なんだか百年に一人現れるかどうかの伝説の国に迷いこんだ『迷い人』にもなってしまって、その恩恵を受けようとする『当たり人』と呼ばれる人たちに貢がれたり…… ぜんぜん理想の田舎でまったりスローライフは送れないけど、しょうがないから伝説の国の魔道具を駆使して 気ままに快適冒険者を目指しながら 周りのみんなを無自覚でハッピーライフに巻き込んで? 楽しく生きていこうかな! ゆる〜いスローペースのご都合ファンタジーです。
小説家になろう様でも投稿をしております。
水しか操れない無能と言われて虐げられてきた令嬢に転生していたようです。ところで皆さん。人体の殆どが水分から出来ているって知ってました?
ラララキヲ
ファンタジー
わたくしは出来損ない。
誰もが5属性の魔力を持って生まれてくるこの世界で、水の魔力だけしか持っていなかった欠陥品。
それでも、そんなわたくしでも侯爵家の血と伯爵家の血を引いている『血だけは価値のある女』。
水の魔力しかないわたくしは皆から無能と呼ばれた。平民さえもわたくしの事を馬鹿にする。
そんなわたくしでも期待されている事がある。
それは『子を生むこと』。
血は良いのだから次はまともな者が生まれてくるだろう、と期待されている。わたくしにはそれしか価値がないから……
政略結婚で決められた婚約者。
そんな婚約者と親しくする御令嬢。二人が愛し合っているのならわたくしはむしろ邪魔だと思い、わたくしは父に相談した。
婚約者の為にもわたくしが身を引くべきではないかと……
しかし……──
そんなわたくしはある日突然……本当に突然、前世の記憶を思い出した。
前世の記憶、前世の知識……
わたくしの頭は霧が晴れたかのように世界が突然広がった……
水魔法しか使えない出来損ない……
でも水は使える……
水……水分……液体…………
あら? なんだかなんでもできる気がするわ……?
そしてわたくしは、前世の雑な知識でわたくしを虐げた人たちに仕返しを始める……──
【※女性蔑視な発言が多々出てきますので嫌な方は注意して下さい】
【※知識の無い者がフワッとした知識で書いてますので『これは違う!』が許せない人は読まない方が良いです】
【※ファンタジーに現実を引き合いに出してあれこれ考えてしまう人にも合わないと思います】
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇ご都合展開。矛盾もあるよ!
◇なろうにも上げてます。
【完結】魔力がないと見下されていた私は仮面で素顔を隠した伯爵と結婚することになりました〜さらに魔力石まで作り出せなんて、冗談じゃない〜
光城 朱純
ファンタジー
魔力が強いはずの見た目に生まれた王女リーゼロッテ。
それにも拘わらず、魔力の片鱗すらみえないリーゼロッテは家族中から疎まれ、ある日辺境伯との結婚を決められる。
自分のあざを隠す為に仮面をつけて生活する辺境伯は、龍を操ることができると噂の伯爵。
隣に魔獣の出る森を持ち、雪深い辺境地での冷たい辺境伯との新婚生活は、身も心も凍えそう。
それでも国の端でひっそり生きていくから、もう放っておいて下さい。
私のことは私で何とかします。
ですから、国のことは国王が何とかすればいいのです。
魔力が使えない私に、魔力石を作り出せだなんて、そんなの無茶です。
もし作り出すことができたとしても、やすやすと渡したりしませんよ?
これまで虐げられた分、ちゃんと返して下さいね。
表紙はPhoto AC様よりお借りしております。
ぼっちな幼女は異世界で愛し愛され幸せになりたい
珂里
ファンタジー
ある日、仲の良かった友達が突然いなくなってしまった。
本当に、急に、目の前から消えてしまった友達には、二度と会えなかった。
…………私も消えることができるかな。
私が消えても、きっと、誰も何とも思わない。
私は、邪魔な子だから。
私は、いらない子だから。
だからきっと、誰も悲しまない。
どこかに、私を必要としてくれる人がいないかな。
そんな人がいたら、絶対に側を離れないのに……。
異世界に迷い込んだ少女と、孤独な獣人の少年が徐々に心を通わせ成長していく物語。
☆「神隠し令嬢は騎士様と幸せになりたいんです」と同じ世界です。
彩菜が神隠しに遭う時に、公園で一緒に遊んでいた「ゆうちゃん」こと優香の、もう一つの神隠し物語です。
0歳児に戻った私。今度は少し口を出したいと思います。
アズやっこ
恋愛
❈ 追記 長編に変更します。
16歳の時、私は第一王子と婚姻した。
いとこの第一王子の事は好き。でもこの好きはお兄様を思う好きと同じ。だから第二王子の事も好き。
私の好きは家族愛として。
第一王子と婚約し婚姻し家族愛とはいえ愛はある。だから何とかなる、そう思った。
でも人の心は何とかならなかった。
この国はもう終わる…
兄弟の対立、公爵の裏切り、まるでボタンの掛け違い。
だから歪み取り返しのつかない事になった。
そして私は暗殺され…
次に目が覚めた時0歳児に戻っていた。
❈ 作者独自の世界観です。
❈ 作者独自の設定です。こういう設定だとご了承頂けると幸いです。
リリゼットの学園生活 〜 聖魔法?我が家では誰でも使えますよ?
あくの
ファンタジー
15になって領地の修道院から王立ディアーヌ学園、通称『学園』に通うことになったリリゼット。
加護細工の家系のドルバック伯爵家の娘として他家の令嬢達と交流開始するも世間知らずのリリゼットは令嬢との会話についていけない。
また姉と婚約者の破天荒な行動からリリゼットも同じなのかと学園の男子生徒が近寄ってくる。
長女気質のダンテス公爵家の長女リーゼはそんなリリゼットの危うさを危惧しており…。
リリゼットは楽しい学園生活を全うできるのか?!
妹に全てを奪われた令嬢は第二の人生を満喫することにしました。
バナナマヨネーズ
恋愛
四大公爵家の一つ。アックァーノ公爵家に生まれたイシュミールは双子の妹であるイシュタルに慕われていたが、何故か両親と使用人たちに冷遇されていた。
瓜二つである妹のイシュタルは、それに比べて大切にされていた。
そんなある日、イシュミールは第三王子との婚約が決まった。
その時から、イシュミールの人生は最高の瞬間を経て、最悪な結末へと緩やかに向かうことになった。
そして……。
本編全79話
番外編全34話
※小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる