転生したので好きに生きよう!

ゆっけ

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第二章ドラゴニア帝国編

和むわぁ~と思ったけど…

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 全く喋らないので心配になって振り返ると普通に着いて来ていた。疲れて喋るのも億劫と言うわけでも無さそう。祖父と孫の遣り取りを空気読んで黙ってるだけかな?誰が祖父と孫か、というツッコミは受け付けないよ。

 背後に向けていた視線を元に戻し、ミゲランヘルさんの肩の上から町中を眺めながらお屋敷を目指すと、見事に整えられた前庭に待機していた侍女さんらしき人や執事さん、年配の女性が出迎えてくれた。

「お帰りなさい」

「お帰りなさいませ、旦那様」

 おっとり微笑んで私を担ぐミゲランヘルさんへと近付いて来たのは、こちらも灰色の髪にシトリンの瞳の女性だった。

「カトレア、ただいま。此方がニア様だ。可愛らしいだろう」

「まあまあ、ようこそいらっしゃいました!旦那様の事を怖がらないだなんて良い子なのですね」

 私とミゲランヘルさんを見上げながら両手をポンッと合わせて可愛らしく微笑む。とっても可愛らしいおばあちゃまだな。

「一応、次代様なのだから…その良い子と言うのは…」

「そうです?もし宜しければ私も抱っこしてみたいのですが」

 目をキラキラさせ、ウズウズしている様は買って貰ったばかりの玩具で遊びたくて仕方がない子供みたいだな、と思った。

「いかがですか?」

 ミゲランヘルさんが私へと問い掛ける。でもね、カトレアさんが早く早くとせっつく視線が痛いのだけど?これ断ったらどうなるの?目に見えて落ち込む姿が容易に想像できるんだけど。

「…あい」

 良いよ、と許可を出すとミゲランヘルさんが腕を持ち上げて私を肩から降ろし、カトレアさんに抱っこさせる。

「まあまあまあ、なんて可愛いんでしょう。それにとっても大人しいのですね」

「うむ。姫様に比べると我が息子と娘はやんちゃだったな。まあ、それが当たり前なのだがな」

 チラッとファンティーヌさんの様子を伺うと恥ずかしそうに踞っている。小さい頃の話をされるのってなんか恥ずかしいよね。分かるよ。

「儂の体の古傷の大半が子供達によるものだからな。いやぁ~、当時は手が焼けたものだ」

 ちょっ!マジかっ!!その言葉で勢い良くバッとファンティーヌさんを見ると此方も勢い良く目を逸らした。君達兄妹は何やってるの。ちょっとした家庭内暴力じゃね?

 当時は大変だっただろうに。今では笑っていられるのだから、これが親の包容力なのか。

「血がたくさん出て、子供達は阿鼻叫喚でしたわね。血を見て興奮したり、真っ青な顔したり、呆然としたり、失神したりとちょっと面白かったですわね」

 今度はカトレアさんが凄い事言ってる。のほほんとした口調で喋られると「あれ?そんなに大事おおごとじゃ、なくね?」って思えてくるから不思議だわ。

 多分、当時もこの空気で乗りきったんだろうね。家族の絆半端ないッス。

「母上が一番取り乱していたと思うのですが…」

 そりゃね。最愛の人が目の前で血塗れだったら取り乱すのは当たり前だね。きっと心配してオロオロしてたんだろうね。

「興奮して、山一つ吹き飛ばしてましたよね」

 おっと…カトレアさん、ヤバイ人だった。流石アイゼンハワー一族だけあるよ。普段はこののほほんとしているんだろうけど、状況によっては鬼神になるんだと肝に命じておきます。
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