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第二章ドラゴニア帝国編

色々なお店を見て回ろう

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 店内に入る前にエレンさんが下ろしてくれたので好きに店の中を見て回る。

「う」

 効能によって金額と色が違うのが面白い。緑色が体力、青色が魔力、金色が何に使うのかよく分からない男性回復薬。

 ぽてぽてと商品を眺めながら歩いていると今度は薬草なども置かれていた。

 店の奥では店主らしきお爺さんが転た寝をしていた。大丈夫?勝手に持ってっちゃう人とかいない?

 気になりながらも店を後にして、次に剣などを取り扱う武器屋さんの前に差し掛かるとファンティーヌさんが瞳をキラキラと輝かせ、ソワソワしてる。護衛をしなきゃいけないけど武器も見たいと言う葛藤がありありと伝わる。

「フィーしゃん、エレンしゃんと一緒にいりゅから行っちぇ来ちぇ良いよ」

 と、それを聞いた瞬間に駆け出した。その場にファンティーヌさんの残した砂塵と共に残されるエレンさんと私は呆然。

「エレンしゃんも剣見ちゃかっちゃ?」

「大丈夫ですよ」

 怖ず怖ずとエレンさんを見上げて問うとエレンさんがニッコリと笑った。特に武器に興味は無いみたい。

 エレンさんのズボンを掴んで町を行き交う人を見るのに夢中になっていると獣人を見かけた。珍しいなと思い目で追っていると時折人にぶつかっては怒られて、謝っているのを繰り返している。

 どうも不審に思い、更に注意深く見ているとどうやらこの混雑ぶりを逆手にとって掏摸すりをしているらしい。

「エレンしゃん」

 エレンさんを呼びながらズボンをくいくいと引っ張るけど気付いてくれない。どうやら周りを警戒しているようで私の動向に対応している余裕はなさそう。

 直ぐに見切りをつけてぽてぽてと窃盗犯に近付いていき、ズボンをくいくいしてみる。

「なんだ?このガキ」

 見上げると真っ白な髪に黒いメッシュと少し丸みのある猫耳の先端が黒い。ゆらゆら揺れる縞模様の尻尾を生やした綺麗な少年だった。私、美形遭遇率高い気がするのは気のせいか。



「人の盗っちゃ、メッ!」

 怒ってますって顔をしている筈なんだけど窃盗犯はポカンとしてる。

 けど、直ぐにニヤリと笑うと私をガシッと捕まえ、小脇に抱えた。待って。私、鞄じゃないんですけど!

 そのまま窃盗犯は人混みをするり、するりと抜ける。多分、誘拐されてるんだろうけどあまりの身のこなしにほぉと感心してしまった。最後は楽しくてキャッキャッと笑ってしまった。

「変なガキだな」

 これには窃盗犯兼誘拐犯も困惑気味。普通だったら泣き喚くんだろうけどね。私、危機感が薄いんだよね。分かってるなら改善するべきなんだろうけど、周りの人達が過保護で今まで治せなかったんだよ。

 そうこうしている間にドンドンとエレンさん達から離れていく。あ、これ後で怒られるヤツだ。
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