転生したので好きに生きよう!

ゆっけ

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第一章ヒューマニ王国編

お目覚め

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 目が覚めるか覚めないかの夢と現実の境目にいた私は、グンッと沈み込むような錯覚に驚いて目を覚ました。

 いやに動悸が激しくて、何か悪い夢でも見たのかじっとりと嫌な汗もかいている。

 今、私は知らない空間にいて否応なしに激しく脈打つ心臓に頭は恐怖でいっぱいになる。此処は何処で、私は誰なのかと目まぐるしく目をさ迷わせる。

 そんな恐慌状態一歩手前の私が寝ている部屋に入って来た人物がいた。

 艶やかな黒い髪と青い瞳の褐色の肌の少女ファンティーヌさんだった。

 部屋へと静かに入室してきたファンティーヌさんは目を覚ましたばかりの私を目に止めると大きく目を見開くとその場に固まった。

 混乱中だった頭がファンティーヌさんの混乱中らしい行動に落ち着いてきた。あれだね、パニック中に自分以上にパニックになっている人を見ると急に冷静になる現象。

「う」

 どうしたの?という意味で語り掛けるとファンティーヌさんの体がビクッと震え、次に大きな瞳には涙が浮かび出した。

「ひ゛ぃぃぃぃめ゛ぇぇぇぇぇざぁぁぁぁぁぁぁま゛ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

 そう叫びながら私の方へと駆けて来たファンティーヌさんは私に抱き付くと力の限り絞め出した。まあ、痛くないけどさ。

 流石にわんわん泣きながら自分よりも大きな大人が抱き付いてくるとかちょっとした恐怖なんだけどな。なすがままになる私だったけど、ファンティーヌさんの涙は止まらずに私の服がびちょびちょになりだした。冷たいし、肌に貼り付くしで、ちょっと不快なんですけど。 

 どれ位そうしていたのか分からないけど、私の安定の無我の境地を発動して耐えているとファンティーヌさんが嗚咽を溢しながらも次第に落ち着き出した。

 そんなタイミングに今度はノアさん、カイルさん、スヴェンさんと最後に知らない人が入室してきてファンティーヌさんの凶行に顰めっ面になり、私が目を覚ましたのを見て安堵した表情へと変わった。

「姫様、あのまま死んでしまうかと思いましたよ」

 アイスランドブルーの瞳には不安そうな色が浮かび、ファンティーヌさんが私の頬に頬擦りをし始めた。ちょっと湿ってるんだけど。

「ニア、本当に心配しましたよ」

 カイルさんが大分暗い表情をしている。何があったのかよく覚えてないんだけど?

「起きているニアに会うのは、初めましてかな?寝ている君には何度も会ってるんだけどね。私はドラゴニア帝国竜帝ジュールだよ。君に何があったのかを今から説明するけど良いかな?」

 なんで此処に竜帝がいるのか、何で皆が勢揃いしているのかとか、既に私が話しを理解している事を前提に話をしている事とか、疑問しか浮かばないんだけど。

「う」

 取り敢えず、現状は話を聞いて情報整理するしかないと感じたので、素直に返事する。するとジュールさんは優しそうなシトロンイエローの瞳を細めてふわっと笑った。

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