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第一章ヒューマニ王国編
もう一人の守護者①(sideファンティーヌ)
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ボクには幼い頃からの夢があった。それは竜帝の守護者になり、竜帝を護る。というものだった。ボクがこの話しをする度に両親や兄達は「なれると良いね」、「フィーならなれる」などと微笑ましそうにしていたけど、ボクは本気だった。
宣誓してからは兄達に混じり、剣術や棒術、体術と悉く修得していった。
たゆまぬ鍛練に流石に家族達はボクが本気だと信じる気になったらしい。
そうやって十年過ごした頃にボクにとって契機が遣って来た。
女神からの神託が下り、次代様が選ばれたのだ。この時ボクの心は高揚した。新たな竜帝を護る守護者になれるかもしれない。
直ぐに守護者選抜のトーナメントが組まれた。ボクもエントリーした。他の兄弟達は既に今代の竜帝に仕えている一番上の兄であるギデオンは出場する事はない。ギデオン兄上以外は騎士団に所属しているけど、ボクよりは弱い。
今、ボクに勝てるのは国内だと『剣聖』であるギデオン兄上だけだと自負できる。
案の定、危なげ無くボクは優勝した。他の出場者も強かったけれど、ボクほどの気概は無かったみたい。
守護者の一人になれたのは良いけれど、まだ次代様は来ないし、他の守護者の選定がまだだ。どうやって決めるのだろう?
出来れば頭の良い人が良いな。どちらかというとボクは考えるよりも動く事の方が好きだから。
暫くは待機という事で王城にある一室に間借り中。する事もないから騎士団の訓練に参加してみたり、魔物討伐してみたりと過ごしていると竜帝本人がもう一人の守護者を連れて来てくれた。
今、ボクの目の前にいるのは嘗ての神の使いである神獣様。グラデーションの髪はさらさらと風に靡き、伏せられた長い睫毛の奥の金の瞳は穏やかだ。
ドラゴンにして竜人、竜人にしてドラゴン。女神に最初に生み出された生命であり、女神の知己。
驚いて固まっていると目の前の人物が不思議そうにこてりと首を傾げた。可愛い仕草にきゅんと胸が鳴った。なんだろう、この可愛い人は。綺麗な容姿のわりに仕草がとても、可愛らしい。
「吾…」
「ノア」
「私はノア。貴女と同じ守護者となった。宜しく」
桃色の唇から低くもなく高くもない声が紡がれた。ノア殿の後ろで竜帝ジュール様が苦笑しているのを見付けて我に返った。
「初めまして、ボクはファンティーヌと言います。名前が長いので宜しければフィーと御呼び下さい」
「そんなに畏まらなくて良い。同じ仲間だ」
「分かった。宜しくノア殿」
にぱぁと笑うとノア殿は目を細めてから手を差し出してきた。それを握り返すと嬉しそうに笑った。
胸が高鳴るほどに美しい微笑みに一瞬、ボクの意識が彼方へと飛んでいた。
それを元に戻してくれたのはギデオン兄上だった。優しく頭を撫でながら耳元で「訓練倍増」と囁いた事でまた我に返った。
宣誓してからは兄達に混じり、剣術や棒術、体術と悉く修得していった。
たゆまぬ鍛練に流石に家族達はボクが本気だと信じる気になったらしい。
そうやって十年過ごした頃にボクにとって契機が遣って来た。
女神からの神託が下り、次代様が選ばれたのだ。この時ボクの心は高揚した。新たな竜帝を護る守護者になれるかもしれない。
直ぐに守護者選抜のトーナメントが組まれた。ボクもエントリーした。他の兄弟達は既に今代の竜帝に仕えている一番上の兄であるギデオンは出場する事はない。ギデオン兄上以外は騎士団に所属しているけど、ボクよりは弱い。
今、ボクに勝てるのは国内だと『剣聖』であるギデオン兄上だけだと自負できる。
案の定、危なげ無くボクは優勝した。他の出場者も強かったけれど、ボクほどの気概は無かったみたい。
守護者の一人になれたのは良いけれど、まだ次代様は来ないし、他の守護者の選定がまだだ。どうやって決めるのだろう?
出来れば頭の良い人が良いな。どちらかというとボクは考えるよりも動く事の方が好きだから。
暫くは待機という事で王城にある一室に間借り中。する事もないから騎士団の訓練に参加してみたり、魔物討伐してみたりと過ごしていると竜帝本人がもう一人の守護者を連れて来てくれた。
今、ボクの目の前にいるのは嘗ての神の使いである神獣様。グラデーションの髪はさらさらと風に靡き、伏せられた長い睫毛の奥の金の瞳は穏やかだ。
ドラゴンにして竜人、竜人にしてドラゴン。女神に最初に生み出された生命であり、女神の知己。
驚いて固まっていると目の前の人物が不思議そうにこてりと首を傾げた。可愛い仕草にきゅんと胸が鳴った。なんだろう、この可愛い人は。綺麗な容姿のわりに仕草がとても、可愛らしい。
「吾…」
「ノア」
「私はノア。貴女と同じ守護者となった。宜しく」
桃色の唇から低くもなく高くもない声が紡がれた。ノア殿の後ろで竜帝ジュール様が苦笑しているのを見付けて我に返った。
「初めまして、ボクはファンティーヌと言います。名前が長いので宜しければフィーと御呼び下さい」
「そんなに畏まらなくて良い。同じ仲間だ」
「分かった。宜しくノア殿」
にぱぁと笑うとノア殿は目を細めてから手を差し出してきた。それを握り返すと嬉しそうに笑った。
胸が高鳴るほどに美しい微笑みに一瞬、ボクの意識が彼方へと飛んでいた。
それを元に戻してくれたのはギデオン兄上だった。優しく頭を撫でながら耳元で「訓練倍増」と囁いた事でまた我に返った。
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