転生したので好きに生きよう!

ゆっけ

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第一章ヒューマニ王国編

とんでもないステータス(sideマイルズ)

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 僕はクリフ達が出ていったばかりの扉をぼんやりと見遣り、はっと我に返ると滞っていた作業を再開した。クリフ達に言っていたように僕は非常に忙しいのだ。

 今、僕が取り組んでいるプロジェクトはどうにかして意図的に異世界の人間を招けないかという試みだった。突発的に異世界人が渡って来る事があったけれど、それは数百年に一度の割合だ。

 彼等の世界からもたらされる情報はとても進歩的でこの世界の繁栄に還元してしかるべき情報なのだ。

 空飛ぶ鉄の乗り物や大地を縦横無尽に走る鉄の乗り物、その場にいない人や遠くの情報を映し出す箱などの情報を元に再現を試みてみるが、如何せん迷いこんだ異世界人の知識は偏りがあり、それがどういった構造でどういう原理で動いているのか、その道の専門家でないと答えられない内容だった。

 故に僕が研究するプロジェクトによってある程度条件を絞って、知りたい情報を持った個人を召喚しようというのだ。

 このプロジェクトには莫大な資金と労力を注ぎ込んでいるけど今だ完成に至っていない。参照とする異世界人のパターンの登録が出来ないからだ。

 既に異世界人は久しくこの世界に訪れず、また迷いこんだ異世界人も儚くなって久しい。

 思考の海に沈んだ僕にクリフ達を案内してきたキイナ嬢が声をかけた。

「先程のニア様ですが」

「うん?」

「私でも把握できないスキルによって鑑定スキルの干渉を撥ね除けられました」

 その言葉に話し半分に聞いていた僕はハッキリと興味を持った。宮廷魔術師の中で特に鑑定スキルを得手とするキイナ嬢の鑑定が弾かれたのだ。それも赤ん坊であるニアによって、これは異常な事だ。

 彼女の魔力量は僕の半分程だが、鑑定スキルだけは僕以上の精度を誇る。

 尚且つ、ニアは僕の魔力では満足しなかった。この時点でニアの魔力量は僕以上であり、特定できないスキルを保持しているということになる。

「あの赤ん坊は何者なんだろう。ニアの性別以外には読み取れた情報はないの?」

 鑑定スキルで確認できるステータスは多岐に渡る。初級レベルの鑑定スキルだと名前や性別、年齢などという大まかな事柄が読み取れる。中級レベルになると更に細かい事柄が含まれてくる。HPやMP、両親の名前や既往歴などだ。
 上級レベルにまでなると嗜好や性癖、真名などの人には決して知られたくない事柄を本人の同意なしに術者に曝す事になる。
 因みにキイナ嬢は上級レベルにまでスキルを鍛えている為、彼女に分からない事はない。

「名前は空欄でした。それもクリフ様方に名前をつけられた事で“ニア”となり、性別は女の子と種族が竜人としか表示されませんでした。他の項目は全て“アンノウン”としか…」

 ざわっと背筋の産毛が総毛立つように感じ、未知のスキルとニアの潜在能力の高さから来る期待感で僕の中の感情が最高潮までに高まっていく。

 竜人の子をそのまま放置するわけもないから王宮で保護するだろうから、また会う事とあるだろう。

 ニアの感情豊かなアメジストを思い出し、僕の頬は自然と緩んだ。僕のこの抑える事が出来ない感情はきっと歓喜だ。

 さあ、これからどうやって遊んであげようか、ニア?

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