転生したので好きに生きよう!

ゆっけ

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第一章ヒューマニ王国編

王妃と王子

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「先ずは玉体を保護する為にも準備いたしますので、私はこれで失礼いたします」

 宰相っぽい人が謁見の間から退室していくのを見送る面々。完全に宰相っぽい人が居なくなったのを確認した国王様とクリフさんの雰囲気が一気に緩んだ。

「クリフ、よりによって玉体を連れてくる奴があるか」

「仕方無いだろう。死活問題なんだぞ」

 気安く話し出す二人に驚くのと同時に私が知らないだけで以前からの旧知の仲なのかもしれない。カイルさんとスヴェンさんが口を挟む事なく二人の遣り取りを見ている。

「死活問題?」

「エーブラム、お前も竜人が魔力を食事とするのは知っているか?」

「ああ、無論だ。以前の玉体が両親から魔力を貰っているのを見た事がある。己の魔力量に近い、もしくは近しい血縁者からの魔力が一番口に合うらしいと聞いた覚えがある」

「ニアは筆頭宮廷魔術師であるマイルズの魔力でも口に合わなかったんだ。あれ以上の魔力となると王妃や王子の魔力が望ましいのだ」

「成る程な。ベネッタとエレンは庭で二人で茶会をしているから今から行くか。どうせロナルドは玉体を迎える準備で忙しくて戻ってこんだろ」

 玉座から立ち上がった国王様が段差を降りる。クリフさんも立ち上がると大きな扉へと移動し出した。

 話の内容から国王様の名前はエーブラムさん、王妃様はベネッタさんで王子様はエレンさんと言うらしい事と宰相っぽい人はロナルドさんだと判明した。

 エーブラムさんを先頭にクリフさん、カイルさん、スヴェンさんがぞろぞろと移動する。扉の前で警備していた衛兵さんに声をかけて大きな扉を開けさせる。

 外と中とに扉を守る衛兵さんがいるんだね。一日中扉を警護するのかな? 

 扉が開き、また青いカーペットの上を移動する。主回廊から分岐する回廊へと折れ、暫く歩いていくと扉に行き当たった。それをエーブラムさんが開けるとそこはまた違った印象の回廊になっていた。多分、これが噂に聞く後宮なんだろうね。プライベート空間なのだから空気が変わったのにも頷ける。

 迷う事なく奥へと進むエーブラムさん、私だったら絶対迷うよ。広いんだもん。

 程無くして、庭園で和やかに談笑しながらティータイム中の女性と子供が目に写った。

 私達が近付いたのを護衛の人が耳打ちした事で気付いた栗色の髪を複雑に編み込んだ長い髪に若干ツリ目気味の意思の強そうなコバルトブルーの瞳の綺麗な女性と栗色の柔らかそうな髪とおっとりしてそうな緑の瞳の可愛らしい少年が此方を振り返った。

 エーブラムさんは女性に近付くと抱き締め、頬にキスを一つ送っている。それを女性は嫌そうにしている。仲悪いの?

「まだ臍を曲げておるのか?ベネッタ」

「臍を曲げるているなどしておりませんわ陛下。今日はエレンと楽しくお茶をしておりましたのになんのご用なのですか?」

 私から見ても十分に臍曲げてるように見えるんだけど?何があったの、もしくは何したの、エーブラムさん。

 するとベネッタさんがクリフさん、スヴェンさん、カイルさんと順番に見てから私の所で視線が止まった。するとベネッタさんが目を大きく見開いた。



「まあ、何て事なのですか!よもや愛妾に生ませた子を私の庭に連れてくるなんて!」

 大事そうにカイルさんが私を抱いているのを目にして、ベネッタさんが勘違いする。

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