転生したので好きに生きよう!

ゆっけ

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第一章ヒューマニ王国編

王様はいたって普通①

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 マイルズさんの部屋から出るとまた長い回廊を通り、大きな回廊へと出た。そこには長い毛足の高級そうな青い絨毯が敷かれ、それを踏み締めて三人で王族が住む王城の奥へと移動する。

 物珍しい物が並ぶ回廊に光を反射するシャンデリアや国王や王妃達を描かれているだろう絵画、古い年代物の香炉など置かれているのをぼんやりと見ていた。

 長い毛足の絨毯を歩く度にクリフさんのトストスという足音が鳴るのに合わせて私も声を出す。

「う、う、う」

 音に乗るように手足もぐっぱ、ぐっぱしながらバタバタ。それをカイルさんは蕩けるような微笑みを湛えて見守ってくれている。

 長い長い主回廊の先には大きな両開きの扉があり、近付くことで異様な大きさに若干引く。こんな大きくする意味があったのか謎な位の大きさなんだよ。開けるのも大変じゃない?大きさは大体十メートル位で見上げる大きさ。

 その大きな扉の前には衛兵が右に二人、左に二人警備している。その衛兵にクリフさんは話し掛ける。

「第四騎士団団長クリフ、以下第四騎士団副団長カイル、同じく副団長スヴェン。国王陛下に大至急謁見願いたい」

 高らかに言い放った言葉に警備していた衛兵の一人がその場を離れた。
 暫くその場で待つ事になるだろうと思い、キョロキョロしていると衛兵の一人と目が合った。その人はとっても普通だった。体は鍛えていて屈強そうだけど顔が良く言えば普通、悪く言うと地味な男性だった。

 カイルさんやらスヴェンさんやらマイルズさんの美形に囲まれていた私の目は肥えてしまったのかこの男性の普通さにホッとする。

 顰めっ面をしているので私はニコッと愛想笑いを振り撒き、他の場所を物珍しげに眺める。

 まさか私の笑顔を見た男性が頬を赤らめて口角を緩めたのを見たカイルさんが射殺さんばかりに殺気を放っていたとは気付かなかった。スヴェンさんとクリフさんがやれやれと言う呆れた表情でそっぽを向いていた。

 あちこち見回すのに飽きた私はうとうとと微睡みし始めた。それに気付いたカイルさんが緩く揺らし出した事でちょうど良い刺激に目蓋がくっつきそうになった瞬間、

「お待たせいたしました。陛下が御会いに…ひっ」

 離れていた衛兵さんが帰ってきたのでその声で目が覚めた。

「カイル…」

「お前、どんだけ…」

「せっかく寝そうだったのにそれを妨害するとは死にたいのですか?」

 どしたどした、カイルさん?何をそんなにお怒りでいらっしゃるの?ほ~ら、落ち着いて。

 手を伸ばして落ち着くようにとカイルさんの頬をペタペタしてみる。美形って凄いね。お肌までスベスベなの。羨ましい限りです。

「ニア」

 私のぷくぷくした手を握るとおでこに一つキスをした。カイルさん、将来きっと良いお父さんになるね。

 ニパッと笑うとカイルさんも落ち着いたのかまたあの腰砕けになりそうな蕩けるような微笑みを浮かべた。

「『絶対零度の女神』が笑った」

「美しい」

「俺、もう彼女と別れる」

「俺も」

「女神と結婚したらあの赤ん坊を養子にして家族になるぞ」

「良いな…」

 なんか、不穏な事を言ってるけど?それをまるっと無視するカイルさん。

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