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第一章ヒューマニ王国編
この子どこの子(sideカイル)
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ーーーーこの日、私とスヴェンは運命に出会う。
私はヒューマニ王国騎士団に所属するカイル。元々平民の為、家名はありません。そんな私の毎日は騎士団に入った当初から続ける朝の訓練から始まります。
役職についた今でも続けているのはとても珍しいというか、奇異な目で見られます。上の役職にいくほど訓練をおざなりにしている節がある方ばかりです。それでも誰からも注意を受けないのは、上役達が貴族で占められているからです。
ただ、私の所属する第四騎士団は平民ばかりが集まった騎士団で騎士団長も元々平民からの実力者です。周りからは下に見られていますが、剣を交えればきっと他の騎士団団長よりも強いでしょう。
それでも騎士団長も訓練をするのは朝日が上ってからなのでまだ朝が開けていない今、訓練しているのは私ともう一人の同期であり幼馴染みであるスヴェン位です。
しんとした静寂に包まれた訓練場に私とスヴェンが振る木剣の素振りの音が響きます。
ただ我武者羅に振るばかりではなく、幻影の敵を凪ぎ払う動きも取り入れます。
暫く無心で振り続け、ほぼ同じようなタイミングでかいた汗を持ち込んだタオルで拭います。そんな時、目の前を精霊が通り過ぎました。なんとなく目で追ってしまいます。精霊はあまり人に関心がないので滅多な事では姿を現しません。遥か昔は人と精霊が共に暮らしていたというお伽噺もありますが、今では精霊が姿を現すのは精霊術師の前位です。それも精霊術師は年々数が減ってきているので王宮の上層部は慌てふためいているそうです。
精霊は土地に恵みをもたらし、人々に加護を授けてくれるというとてもありがたい存在なのです。
私と同じようにスヴェンも精霊を目で追っていきます。精霊は目的地があるのか真っ直ぐと飛んで王城の壁を越えていってしまいました。
朝食にはまだまだ早い時間と珍しい精霊との遭遇で好奇心を大いに刺激され、私は精霊が飛んでいった方へと駆け出してしまいました。
そして、スヴェンもまた私と同じように感じてくれていたようで私の隣までやって来るとニヤリと笑い、一緒に王城の外へと出ました。
ちゃんと門衛には王宮を出る旨と鍛練の為に走り込みをしてくるという言い訳を宣いました。
飛んでいる精霊を追ううちに様々な方向から精霊が同じ場所に向かって飛んでいるのを目撃しました。ただ、不思議なのが精霊が私達以外には見えていないらしいのです。
朝市を切り盛りする女主人の目の前を精霊が飛んでいっても女主人は驚いていません。それは町の人達も同じでした。走りながら器用に首を捻っているスヴェンに苦笑すると精霊を追う事に専念します。
随分王都から離れ、魔獣も出るような草原へとやって来ました。この頃にはすっかり日も登っていました。
明るくなった事で大変な事態になっている事に気付きました。恐らく私達が追っている精霊の最終目的地には既に大量の精霊が集まるエリアがありました。
ここまで多くの精霊が集うのは異常な事です。件の精霊達は楽しそうにその場をくるくるくると回り、踊り、歌っています。するとどこからか声が聞こえてきます。それは精霊達が集う中心のようです。
私が近づいた事で精霊は散り散りになって消えていきました。少し惜しい気もしましたが、声を確かめるのが先です。
そこにはバスケットに入った。可愛らしいというには整いすぎた容姿の赤ん坊が固まっていました。
まだ産毛のような髪は輝くプラチナブロンドで驚いたような瞳は透き通るようなアメジスト色、真っ白な肌にぷくぷくした頬は桃色。思わず突きたくなってしまいそうになる魅力があります。髪と同じ同色の長い睫毛をパチパチさせているのが可愛らしい。
昨年御生まれになった王女よりもずっと美しいこの子は何故こんな場所にいるのでしょう?
私よりも大分遅れてやってきたスヴェンへと声をかけ、この愛らしい赤ん坊について情報を共有します。
私はヒューマニ王国騎士団に所属するカイル。元々平民の為、家名はありません。そんな私の毎日は騎士団に入った当初から続ける朝の訓練から始まります。
役職についた今でも続けているのはとても珍しいというか、奇異な目で見られます。上の役職にいくほど訓練をおざなりにしている節がある方ばかりです。それでも誰からも注意を受けないのは、上役達が貴族で占められているからです。
ただ、私の所属する第四騎士団は平民ばかりが集まった騎士団で騎士団長も元々平民からの実力者です。周りからは下に見られていますが、剣を交えればきっと他の騎士団団長よりも強いでしょう。
それでも騎士団長も訓練をするのは朝日が上ってからなのでまだ朝が開けていない今、訓練しているのは私ともう一人の同期であり幼馴染みであるスヴェン位です。
しんとした静寂に包まれた訓練場に私とスヴェンが振る木剣の素振りの音が響きます。
ただ我武者羅に振るばかりではなく、幻影の敵を凪ぎ払う動きも取り入れます。
暫く無心で振り続け、ほぼ同じようなタイミングでかいた汗を持ち込んだタオルで拭います。そんな時、目の前を精霊が通り過ぎました。なんとなく目で追ってしまいます。精霊はあまり人に関心がないので滅多な事では姿を現しません。遥か昔は人と精霊が共に暮らしていたというお伽噺もありますが、今では精霊が姿を現すのは精霊術師の前位です。それも精霊術師は年々数が減ってきているので王宮の上層部は慌てふためいているそうです。
精霊は土地に恵みをもたらし、人々に加護を授けてくれるというとてもありがたい存在なのです。
私と同じようにスヴェンも精霊を目で追っていきます。精霊は目的地があるのか真っ直ぐと飛んで王城の壁を越えていってしまいました。
朝食にはまだまだ早い時間と珍しい精霊との遭遇で好奇心を大いに刺激され、私は精霊が飛んでいった方へと駆け出してしまいました。
そして、スヴェンもまた私と同じように感じてくれていたようで私の隣までやって来るとニヤリと笑い、一緒に王城の外へと出ました。
ちゃんと門衛には王宮を出る旨と鍛練の為に走り込みをしてくるという言い訳を宣いました。
飛んでいる精霊を追ううちに様々な方向から精霊が同じ場所に向かって飛んでいるのを目撃しました。ただ、不思議なのが精霊が私達以外には見えていないらしいのです。
朝市を切り盛りする女主人の目の前を精霊が飛んでいっても女主人は驚いていません。それは町の人達も同じでした。走りながら器用に首を捻っているスヴェンに苦笑すると精霊を追う事に専念します。
随分王都から離れ、魔獣も出るような草原へとやって来ました。この頃にはすっかり日も登っていました。
明るくなった事で大変な事態になっている事に気付きました。恐らく私達が追っている精霊の最終目的地には既に大量の精霊が集まるエリアがありました。
ここまで多くの精霊が集うのは異常な事です。件の精霊達は楽しそうにその場をくるくるくると回り、踊り、歌っています。するとどこからか声が聞こえてきます。それは精霊達が集う中心のようです。
私が近づいた事で精霊は散り散りになって消えていきました。少し惜しい気もしましたが、声を確かめるのが先です。
そこにはバスケットに入った。可愛らしいというには整いすぎた容姿の赤ん坊が固まっていました。
まだ産毛のような髪は輝くプラチナブロンドで驚いたような瞳は透き通るようなアメジスト色、真っ白な肌にぷくぷくした頬は桃色。思わず突きたくなってしまいそうになる魅力があります。髪と同じ同色の長い睫毛をパチパチさせているのが可愛らしい。
昨年御生まれになった王女よりもずっと美しいこの子は何故こんな場所にいるのでしょう?
私よりも大分遅れてやってきたスヴェンへと声をかけ、この愛らしい赤ん坊について情報を共有します。
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