5 / 100
第一章ヒューマニ王国編
第一人間発見
しおりを挟む
目まぐるしく変わる状況に着いていくのをやめようかと思っています。この頃、ええ。
神鳥さんに行くべき場所へと運んでもらっていた筈なのに気付けば、草原のど真ん中に置き去りよ。なんで?神鳥さんカムバック。
何も誰もいない場所に赤ちゃん放り出すってどうなの?せめて人がいる場所で置き去りにするなりして欲しかったよ。いや、置き去りもどうかと思うけど。
バスケットの中から見えるのは高く伸びる草しか分からん。視界が低いからなんだろうけどもさ。どうしたらいいの?これ!
暫くバスケットの中で運動がてらうごうごと動き、たまに発声練習するけども、あ~とかう~とかしか口から出ない。赤ちゃんだからこればっかりはしょうがないか。
そんな事をして随分と時間がたった頃、遠くから草を踏む音が聞こえた。
人だとありがたいけど、獣だとピンチです。抵抗のしようがないからね。そんな事を考えている間に音はどんどん近付いてくる。
緊張のあまり固まっているとぬっと姿を表したのは黒い影。逆光で姿が判断できない。
「子供?」
落ち着いた、だけれども少し驚いたような声は男性の声だった。人だった。命の危険レベルが下がる。これで盗賊やなんかだと再び私の生存が危機的状況になる。
「スヴェン!こっちです!」
誰かの名前を呼んだ。もう一人いるだと。どうしよう。おろおろとしているともう一人らしき影が私を覗き込む。
「本当だ。なんでこんな所に?」
そう言ってスヴェンと呼ばれた男性が私へと手を伸ばす。優しい手付きだったので特に抵抗する事もなかった。
「大人しいですね」
やっと逆光から解放され男性達の顔を見る事ができた。最初に私を発見してくれた男性は長い髪をハーフアップにしている銀色の髪にオリオンブルー色の瞳。一見、冷たそうな色合いの組み合わせだけど、案じるような優しい感情を良く写している。大変整った容姿の中性的な美人だった。黙って立っていると女性で通りそう。
「見てみろよ、カイル。驚いてるのか、キョトンとした顔してるぞ」
私を抱き上げたスヴェンさんは短髪の茶色の髪色にアンバー色の瞳の精悍な男性だった。所謂ワイルドなイケメンさん。
私を見詰めるカイルさんは私の掌に指を押し付けた。反射的にキュッと握るとカイルさんは嬉しそうに破顔した。もうトロトロの蕩ける笑顔で私まで嬉しくなって笑ってしまった。
盗賊とか危険人物とか疑う気持ちが全部どっか行ってしまった。きっと本当はもっと疑うべきなんだろうけど、私は今は赤ちゃんだし、何より本当の赤ちゃんがそんな事を考えるわけない。きっと本能的に自分に危険がないかあるかを判断するだろう。
そこいくとカイルさんとスヴェンさんはきっと、多分、恐らく大丈夫な人だと思う。私の本能が機能してればだけど。
「あ、笑いましたよ。可愛いですね」
「珍しいな。お前がこんなに笑うなんてな」
まだニコニコしているカイルさんを見て、また笑う。するとカイルさんがスヴェンさんから私を引ったくるように抱く。
優しくあやすようにゆらゆらと揺られ、心地好くなって瞼が重くなってきた。この体は直ぐに眠くなってしまうのが欠点な気がす………スピ~。
神鳥さんに行くべき場所へと運んでもらっていた筈なのに気付けば、草原のど真ん中に置き去りよ。なんで?神鳥さんカムバック。
何も誰もいない場所に赤ちゃん放り出すってどうなの?せめて人がいる場所で置き去りにするなりして欲しかったよ。いや、置き去りもどうかと思うけど。
バスケットの中から見えるのは高く伸びる草しか分からん。視界が低いからなんだろうけどもさ。どうしたらいいの?これ!
暫くバスケットの中で運動がてらうごうごと動き、たまに発声練習するけども、あ~とかう~とかしか口から出ない。赤ちゃんだからこればっかりはしょうがないか。
そんな事をして随分と時間がたった頃、遠くから草を踏む音が聞こえた。
人だとありがたいけど、獣だとピンチです。抵抗のしようがないからね。そんな事を考えている間に音はどんどん近付いてくる。
緊張のあまり固まっているとぬっと姿を表したのは黒い影。逆光で姿が判断できない。
「子供?」
落ち着いた、だけれども少し驚いたような声は男性の声だった。人だった。命の危険レベルが下がる。これで盗賊やなんかだと再び私の生存が危機的状況になる。
「スヴェン!こっちです!」
誰かの名前を呼んだ。もう一人いるだと。どうしよう。おろおろとしているともう一人らしき影が私を覗き込む。
「本当だ。なんでこんな所に?」
そう言ってスヴェンと呼ばれた男性が私へと手を伸ばす。優しい手付きだったので特に抵抗する事もなかった。
「大人しいですね」
やっと逆光から解放され男性達の顔を見る事ができた。最初に私を発見してくれた男性は長い髪をハーフアップにしている銀色の髪にオリオンブルー色の瞳。一見、冷たそうな色合いの組み合わせだけど、案じるような優しい感情を良く写している。大変整った容姿の中性的な美人だった。黙って立っていると女性で通りそう。
「見てみろよ、カイル。驚いてるのか、キョトンとした顔してるぞ」
私を抱き上げたスヴェンさんは短髪の茶色の髪色にアンバー色の瞳の精悍な男性だった。所謂ワイルドなイケメンさん。
私を見詰めるカイルさんは私の掌に指を押し付けた。反射的にキュッと握るとカイルさんは嬉しそうに破顔した。もうトロトロの蕩ける笑顔で私まで嬉しくなって笑ってしまった。
盗賊とか危険人物とか疑う気持ちが全部どっか行ってしまった。きっと本当はもっと疑うべきなんだろうけど、私は今は赤ちゃんだし、何より本当の赤ちゃんがそんな事を考えるわけない。きっと本能的に自分に危険がないかあるかを判断するだろう。
そこいくとカイルさんとスヴェンさんはきっと、多分、恐らく大丈夫な人だと思う。私の本能が機能してればだけど。
「あ、笑いましたよ。可愛いですね」
「珍しいな。お前がこんなに笑うなんてな」
まだニコニコしているカイルさんを見て、また笑う。するとカイルさんがスヴェンさんから私を引ったくるように抱く。
優しくあやすようにゆらゆらと揺られ、心地好くなって瞼が重くなってきた。この体は直ぐに眠くなってしまうのが欠点な気がす………スピ~。
45
お気に入りに追加
428
あなたにおすすめの小説
積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!
ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。
悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。
我が家に子犬がやって来た!
ハチ助
ファンタジー
【あらすじ】ラテール伯爵家の令嬢フィリアナは、仕事で帰宅できない父の状況に不満を抱きながら、自身の6歳の誕生日を迎えていた。すると、遅くに帰宅した父が白黒でフワフワな毛をした足の太い子犬を連れ帰る。子犬の飼い主はある高貴な人物らしいが、訳あってラテール家で面倒を見る事になったそうだ。その子犬を自身の誕生日プレゼントだと勘違いしたフィリアナは、兄ロアルドと取り合いながら、可愛がり始める。子犬はすでに名前が決まっており『アルス』といった。
アルスは当初かなり周囲の人間を警戒していたのだが、フィリアナとロアルドが甲斐甲斐しく世話をする事で、すぐに二人と打ち解ける。
だがそんな子犬のアルスには、ある重大な秘密があって……。
この話は、子犬と戯れながら巻き込まれ成長をしていく兄妹の物語。
※全102話で完結済。
★『小説家になろう』でも読めます★
妹に全てを奪われた令嬢は第二の人生を満喫することにしました。
バナナマヨネーズ
恋愛
四大公爵家の一つ。アックァーノ公爵家に生まれたイシュミールは双子の妹であるイシュタルに慕われていたが、何故か両親と使用人たちに冷遇されていた。
瓜二つである妹のイシュタルは、それに比べて大切にされていた。
そんなある日、イシュミールは第三王子との婚約が決まった。
その時から、イシュミールの人生は最高の瞬間を経て、最悪な結末へと緩やかに向かうことになった。
そして……。
本編全79話
番外編全34話
※小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しています。
悪役令嬢になるのも面倒なので、冒険にでかけます
綾月百花
ファンタジー
リリーには幼い頃に決められた王子の婚約者がいたが、その婚約者の誕生日パーティーで婚約者はミーネと入場し挨拶して歩きファーストダンスまで踊る始末。国王と王妃に謝られ、贈り物も準備されていると宥められるが、その贈り物のドレスまでミーネが着ていた。リリーは怒ってワインボトルを持ち、美しいドレスをワイン色に染め上げるが、ミーネもリリーのドレスの裾を踏みつけ、ワインボトルからボトボトと頭から濡らされた。相手は子爵令嬢、リリーは伯爵令嬢、位の違いに国王も黙ってはいられない。婚約者はそれでも、リリーの肩を持たず、リリーは国王に婚約破棄をして欲しいと直訴する。それ受け入れられ、リリーは清々した。婚約破棄が完全に決まった後、リリーは深夜に家を飛び出し笛を吹く。会いたかったビエントに会えた。過ごすうちもっと好きになる。必死で練習した飛行魔法とささやかな攻撃魔法を身につけ、リリーは今度は自分からビエントに会いに行こうと家出をして旅を始めた。旅の途中の魔物の森で魔物に襲われ、リリーは自分の未熟さに気付き、国営の騎士団に入り、魔物狩りを始めた。最終目的はダンジョンの攻略。悪役令嬢と魔物退治、ダンジョン攻略等を混ぜてみました。メインはリリーが王妃になるまでのシンデレラストーリーです。
夫婦で異世界に召喚されました。夫とすぐに離婚して、私は人生をやり直します
もぐすけ
ファンタジー
私はサトウエリカ。中学生の息子を持つアラフォーママだ。
子育てがひと段落ついて、結婚生活に嫌気がさしていたところ、夫婦揃って異世界に召喚されてしまった。
私はすぐに夫と離婚し、異世界で第二の人生を楽しむことにした。
ぼっちな幼女は異世界で愛し愛され幸せになりたい
珂里
ファンタジー
ある日、仲の良かった友達が突然いなくなってしまった。
本当に、急に、目の前から消えてしまった友達には、二度と会えなかった。
…………私も消えることができるかな。
私が消えても、きっと、誰も何とも思わない。
私は、邪魔な子だから。
私は、いらない子だから。
だからきっと、誰も悲しまない。
どこかに、私を必要としてくれる人がいないかな。
そんな人がいたら、絶対に側を離れないのに……。
異世界に迷い込んだ少女と、孤独な獣人の少年が徐々に心を通わせ成長していく物語。
☆「神隠し令嬢は騎士様と幸せになりたいんです」と同じ世界です。
彩菜が神隠しに遭う時に、公園で一緒に遊んでいた「ゆうちゃん」こと優香の、もう一つの神隠し物語です。
水しか操れない無能と言われて虐げられてきた令嬢に転生していたようです。ところで皆さん。人体の殆どが水分から出来ているって知ってました?
ラララキヲ
ファンタジー
わたくしは出来損ない。
誰もが5属性の魔力を持って生まれてくるこの世界で、水の魔力だけしか持っていなかった欠陥品。
それでも、そんなわたくしでも侯爵家の血と伯爵家の血を引いている『血だけは価値のある女』。
水の魔力しかないわたくしは皆から無能と呼ばれた。平民さえもわたくしの事を馬鹿にする。
そんなわたくしでも期待されている事がある。
それは『子を生むこと』。
血は良いのだから次はまともな者が生まれてくるだろう、と期待されている。わたくしにはそれしか価値がないから……
政略結婚で決められた婚約者。
そんな婚約者と親しくする御令嬢。二人が愛し合っているのならわたくしはむしろ邪魔だと思い、わたくしは父に相談した。
婚約者の為にもわたくしが身を引くべきではないかと……
しかし……──
そんなわたくしはある日突然……本当に突然、前世の記憶を思い出した。
前世の記憶、前世の知識……
わたくしの頭は霧が晴れたかのように世界が突然広がった……
水魔法しか使えない出来損ない……
でも水は使える……
水……水分……液体…………
あら? なんだかなんでもできる気がするわ……?
そしてわたくしは、前世の雑な知識でわたくしを虐げた人たちに仕返しを始める……──
【※女性蔑視な発言が多々出てきますので嫌な方は注意して下さい】
【※知識の無い者がフワッとした知識で書いてますので『これは違う!』が許せない人は読まない方が良いです】
【※ファンタジーに現実を引き合いに出してあれこれ考えてしまう人にも合わないと思います】
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇ご都合展開。矛盾もあるよ!
◇なろうにも上げてます。
0歳児に戻った私。今度は少し口を出したいと思います。
アズやっこ
恋愛
❈ 追記 長編に変更します。
16歳の時、私は第一王子と婚姻した。
いとこの第一王子の事は好き。でもこの好きはお兄様を思う好きと同じ。だから第二王子の事も好き。
私の好きは家族愛として。
第一王子と婚約し婚姻し家族愛とはいえ愛はある。だから何とかなる、そう思った。
でも人の心は何とかならなかった。
この国はもう終わる…
兄弟の対立、公爵の裏切り、まるでボタンの掛け違い。
だから歪み取り返しのつかない事になった。
そして私は暗殺され…
次に目が覚めた時0歳児に戻っていた。
❈ 作者独自の世界観です。
❈ 作者独自の設定です。こういう設定だとご了承頂けると幸いです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる