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あたくしの皇帝は
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あたくしは帝国貴族の最上位である公爵家の姫として育ちましたの。そんな高貴なあたくしは幼い頃から皇帝になるイライジャ様に嫁ぐ事が決まっていますしたのよ。
イライジャ様に気に入っていただけるように真っ赤な赤毛を手入れして艶やかに。真っ白なあたくしの玉肌を日々磨き上げさせましたの。あたくし自慢ではないけれど帝国一の美貌の持ち主なのですわ。
ですけれど初顔合わせの日、イライジャ様はあたくしを一瞥するだけしたら去って行かれましたの。あたくしになんの興味もないって感じでしたわ。そんな筈ありませんものね。ただ恥ずかしかっただけですわよね。だってあたくし美しいんですもの。イライジャ様もあたくしの隣に並んでも遜色ない美貌の持ち主でしたわ。きっとあたくし達の子は美しい子を授かる筈ですわ。
楽しみにしていたイライジャ様との結婚生活は詰まらないものでしたわ。まずイライジャ様が全くあたくしの部屋に訪れませんの。イライジャ様の為に目一杯あたくしの好きな匂いを充満させましたの。そうする事であたくしと離れてもあたくしの匂いに包まれて幸福な気持ちになるのですわ。
イライジャ様が部屋を訪れない寂しさで護衛と夜を過ごさざるを得なくなりましたの。まだ肌を合わせた事のないイライジャ様を思って致す行為にあたくしはいつの間にか嵌まっていきましたの。だって気持ちいいんですもの。肌を合わせている間は寂しさを忘れますの。
きっとイライジャ様はあたくしと肌を合わせたが最後、あたくし無しではいられませんわね。だからあたくしの所には来ませんのね。あたくしの美しい体型を歪めてまで子を成そうとはなさらないのですわ。子など二の次でイライジャ様は、あたくしの事を愛してくださっているのですわ。
「イライジャ様」
後宮に珍しく遣って来たイライジャ様は何故か嬉しそうな顔をされていましたがあたくしと会った瞬間に顔の表情を引き締めましたの。きっとあたくしに会えて嬉しくて頬が緩み、あたくしに嫌われたくなくてだらしない顔を見せまいと引き締めましたのね。
ですけれど愛しいあたくしを無視して後宮の奥へと行ってしまいましたの。その奥は先日、卑しい身分の女が巣食いだした場所ですのよ。もしかしてイライジャ様は怪しき呪術でも掛けられてしまったのかしら?
その場で佇んでいますとイライジャ様が戻ってきましたの。やはりあたくしの元に帰って来てくださったのでわね。愛しているあたくしの元へ。
ですけれどイライジャ様は顔を顰められて遠回りされて後宮を後にされましたわ。何故ですの?あたくしの何がいけないのです?もしかして今、着ているドレスがいけないんですの?それとも香水?それとも化粧?
他の妃にはどうやって会っていらっしゃるの?あたくしを差し置いて。あたくしがイライジャ様の一番なのに。
今日も護衛と肌を合わせましょう。今日あった事を忘れたいのですわ。
「妃殿下、どうされました?今日は気持ちが入っていませんね」
「そうね」
「………今日は変わった趣向をされますか?」
「あら?どんな?」
「あなた様はいつも通り俺の腕の中で喜んでいれば良いのです。何も難しくないでしょう?」
「そうなの?ではお願いするわ」
「かしこまりました」
護衛の顔をイライジャ様だと思って眺めているとイライジャ様が下卑た笑いを漏らしたけれどいつものように体を預けましたの。
肌を合わせるととても疲れるのかいつも最後には眠ってしまうのですけれど今日もまた眠ってしまい、朝起きると護衛は居なくなっていましたの。
それはあたくし達の関係を外部に知られたくなくて朝になる前に出ていくようにとあたくしが言ってあったので問題ないのですわ。結局、変わった趣向とはなんだったのかしら?
怠い身体を起き上がせると下半身から漏れだす物を感じましたの。こんな年でまさかと思ったのですけれど見た事のない液体でしたの。なんなのでしょう、これ?
護衛に聞こうと探すのですけれど後宮をどんなに探しても居なくなっていましたの。何故ですの?
それから暫くして吐き気を覚えましたの。食中りですかしら?それから身体が熱っぽくて怠いのですわ。少しづつあたくしのお腹が迫り出してきましたの。太ったのかしら?
そんな時、漸くイライジャ様が遣ってきましたの。ですけれどあたくしのお腹を見て、驚いていましたの。
「どうされましたの?」
「その腹は…」
「?太ってしまったんですのよ。それでもあたくしの美貌は変わりない…」
「余は貴様と離縁する。もう、手続きは済んでいる。何処へなりと行け」
今まで見た事のない程冷たい表情のイライジャ様にあたくしは足が竦んでしまいましたの。何故、そんな軽蔑したような態度なんですの?
「貴女様のお腹の子は護衛の男との子ですね。既に護衛だった男は捕え、処刑してあります。貴女様は王家に近い血筋を考慮して減刑されました。赦されたとは考えないで下さい。我が君の妃の筈の貴女様が我が君を裏切る行為をなさったのです」
「子?このお腹は太ったからではないのですの?子?……きっとこの子はイライジャ様との子ですわ!そうですわ!そうなのです!!」
「何を言っているのです。我が君がこの部屋に来た事などないのです。我が君は貴女様の様な方が大変嫌いなのですよ」
そう言ってイライジャ様の侍従は出ていきましたの。それから直ぐに兵が遣ってきて着の身着のまま後宮から出されましたの。トボトボと歩き、公爵家へ戻ると両親は泣き叫び、あたくしを帝都から離れた修道院へと追いやりましたの。そこであたくしはイライジャ様との子を生みましたの。
生まれた子はイライジャ様にそっくりな顔をしていましたのよ。その瞬間、あたくしは悟ったのですわ。
この子があたくしの皇帝で。
あたくしだけの皇帝なのだと。
イライジャ様に気に入っていただけるように真っ赤な赤毛を手入れして艶やかに。真っ白なあたくしの玉肌を日々磨き上げさせましたの。あたくし自慢ではないけれど帝国一の美貌の持ち主なのですわ。
ですけれど初顔合わせの日、イライジャ様はあたくしを一瞥するだけしたら去って行かれましたの。あたくしになんの興味もないって感じでしたわ。そんな筈ありませんものね。ただ恥ずかしかっただけですわよね。だってあたくし美しいんですもの。イライジャ様もあたくしの隣に並んでも遜色ない美貌の持ち主でしたわ。きっとあたくし達の子は美しい子を授かる筈ですわ。
楽しみにしていたイライジャ様との結婚生活は詰まらないものでしたわ。まずイライジャ様が全くあたくしの部屋に訪れませんの。イライジャ様の為に目一杯あたくしの好きな匂いを充満させましたの。そうする事であたくしと離れてもあたくしの匂いに包まれて幸福な気持ちになるのですわ。
イライジャ様が部屋を訪れない寂しさで護衛と夜を過ごさざるを得なくなりましたの。まだ肌を合わせた事のないイライジャ様を思って致す行為にあたくしはいつの間にか嵌まっていきましたの。だって気持ちいいんですもの。肌を合わせている間は寂しさを忘れますの。
きっとイライジャ様はあたくしと肌を合わせたが最後、あたくし無しではいられませんわね。だからあたくしの所には来ませんのね。あたくしの美しい体型を歪めてまで子を成そうとはなさらないのですわ。子など二の次でイライジャ様は、あたくしの事を愛してくださっているのですわ。
「イライジャ様」
後宮に珍しく遣って来たイライジャ様は何故か嬉しそうな顔をされていましたがあたくしと会った瞬間に顔の表情を引き締めましたの。きっとあたくしに会えて嬉しくて頬が緩み、あたくしに嫌われたくなくてだらしない顔を見せまいと引き締めましたのね。
ですけれど愛しいあたくしを無視して後宮の奥へと行ってしまいましたの。その奥は先日、卑しい身分の女が巣食いだした場所ですのよ。もしかしてイライジャ様は怪しき呪術でも掛けられてしまったのかしら?
その場で佇んでいますとイライジャ様が戻ってきましたの。やはりあたくしの元に帰って来てくださったのでわね。愛しているあたくしの元へ。
ですけれどイライジャ様は顔を顰められて遠回りされて後宮を後にされましたわ。何故ですの?あたくしの何がいけないのです?もしかして今、着ているドレスがいけないんですの?それとも香水?それとも化粧?
他の妃にはどうやって会っていらっしゃるの?あたくしを差し置いて。あたくしがイライジャ様の一番なのに。
今日も護衛と肌を合わせましょう。今日あった事を忘れたいのですわ。
「妃殿下、どうされました?今日は気持ちが入っていませんね」
「そうね」
「………今日は変わった趣向をされますか?」
「あら?どんな?」
「あなた様はいつも通り俺の腕の中で喜んでいれば良いのです。何も難しくないでしょう?」
「そうなの?ではお願いするわ」
「かしこまりました」
護衛の顔をイライジャ様だと思って眺めているとイライジャ様が下卑た笑いを漏らしたけれどいつものように体を預けましたの。
肌を合わせるととても疲れるのかいつも最後には眠ってしまうのですけれど今日もまた眠ってしまい、朝起きると護衛は居なくなっていましたの。
それはあたくし達の関係を外部に知られたくなくて朝になる前に出ていくようにとあたくしが言ってあったので問題ないのですわ。結局、変わった趣向とはなんだったのかしら?
怠い身体を起き上がせると下半身から漏れだす物を感じましたの。こんな年でまさかと思ったのですけれど見た事のない液体でしたの。なんなのでしょう、これ?
護衛に聞こうと探すのですけれど後宮をどんなに探しても居なくなっていましたの。何故ですの?
それから暫くして吐き気を覚えましたの。食中りですかしら?それから身体が熱っぽくて怠いのですわ。少しづつあたくしのお腹が迫り出してきましたの。太ったのかしら?
そんな時、漸くイライジャ様が遣ってきましたの。ですけれどあたくしのお腹を見て、驚いていましたの。
「どうされましたの?」
「その腹は…」
「?太ってしまったんですのよ。それでもあたくしの美貌は変わりない…」
「余は貴様と離縁する。もう、手続きは済んでいる。何処へなりと行け」
今まで見た事のない程冷たい表情のイライジャ様にあたくしは足が竦んでしまいましたの。何故、そんな軽蔑したような態度なんですの?
「貴女様のお腹の子は護衛の男との子ですね。既に護衛だった男は捕え、処刑してあります。貴女様は王家に近い血筋を考慮して減刑されました。赦されたとは考えないで下さい。我が君の妃の筈の貴女様が我が君を裏切る行為をなさったのです」
「子?このお腹は太ったからではないのですの?子?……きっとこの子はイライジャ様との子ですわ!そうですわ!そうなのです!!」
「何を言っているのです。我が君がこの部屋に来た事などないのです。我が君は貴女様の様な方が大変嫌いなのですよ」
そう言ってイライジャ様の侍従は出ていきましたの。それから直ぐに兵が遣ってきて着の身着のまま後宮から出されましたの。トボトボと歩き、公爵家へ戻ると両親は泣き叫び、あたくしを帝都から離れた修道院へと追いやりましたの。そこであたくしはイライジャ様との子を生みましたの。
生まれた子はイライジャ様にそっくりな顔をしていましたのよ。その瞬間、あたくしは悟ったのですわ。
この子があたくしの皇帝で。
あたくしだけの皇帝なのだと。
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