異世界恋愛作品集  "真実の愛" ダメ、ゼッタイ!

蒼井星空

文字の大きさ
上 下
23 / 48
皆さん、私こそがザ•悪役令嬢です。聖女から王子を奪ったのですから!早くざまぁして……なぜ?なぜ誰もざまぁしにこないのですか?

略奪愛ですわ!

しおりを挟む
「まだそんなところにいたのかしら。目障りなので出ていってもらえますか? まったく、聖女とはいえ平民の女がレオン王子に擦り寄るなど汚らわしいですわ」

はじめまして。
私はメルテナ・フォーエンバーグです。
父はフォーエンバーグ公爵なので、いわゆる公爵令嬢ですわね。

長く美しい金髪、しっとりとしていてかつハリのある白い肌、ある人に言わせると鈴のような声音に、凹凸のある身体……美しく産んでくれた両親には感謝しております。

そんな私ですが、婚約相手がいたこの国の第一王子であるレオン様に好意を持ってしまい、持ち前の美貌、作りこんだセリフ、用意したシチュエーションを活かして申し訳ないことに奪い取ってしまいました。

あぁなんて罪深いのでしょう。

罪悪感と達成感に包まれた私は、満足したので次の楽しみである"ざまぁ"というものを待っています。

きっと私がレオン様に婚約破棄させた相手である聖女フィーナは私に手酷い"ざまぁ"を喰らわせてくれるはずです。
それを考えると心の奥底が震えます。

奴隷に落とされるでしょうか?
国外追放でしょうか?
下卑た男たちがよってたかって乱暴に……?
あぁ、いけません。
妄想が膨らんでしまいますわ。

「……申し訳ありません、フォーエンバーグ様」
……えっ?

しかし、現実は私を裏切ります。
なんと、あろうことか、聖女フィーナは唇をキッと噛み締めて私を睨みつつも、退散されてしまいました。

「あぁメルテナ。今日も美しいな」
そう言いながら笑みを浮かべて私を抱き寄せ、髪を優しくなでてくるのがレオン王子です。
美しい銀髪、鍛えられたしなやかな体、理性的な目、軽やかな身のこなし、全てが完璧な王子様です。

でも、いいのでしょうか?
彼は聖女フィーナと婚約していたとは思えないほど、彼女に素っ気ないのですが。

そして私のことはもっと乱暴に扱ってほしいのですが……。

まさかそんなことは言えない私を前にして、まさかそんなことを私が考えているとは夢にも思っていないレオン王子がゆっくりと唇を近付けてきたので、とりあえず不敬と言われかねない速度で抱きしめ返して熱いキスをしておきました。
まだ聖女フィーナがこちらを見ているうちに見せつけるように。


なんて私は性格が悪いのでしょう。
見てください、正義の味方さん。
どこにいるのか知りませんが早く出てきて悪役令嬢な私を"ざまぁ"して下さい。
わりとハードなものでも構いません……というか、それが望みですが(じゅるり)……。

しかし、聖女フィーナはそのまま部屋から去っていきました。

その姿を眺める私とレオン王子。
あれぇ?
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

交換された花嫁

秘密 (秘翠ミツキ)
恋愛
「お姉さんなんだから我慢なさい」 お姉さんなんだから…お姉さんなんだから… 我儘で自由奔放な妹の所為で昔からそればかり言われ続けてきた。ずっと我慢してきたが。公爵令嬢のヒロインは16歳になり婚約者が妹と共に出来きたが…まさかの展開が。 「お姉様の婚約者頂戴」 妹がヒロインの婚約者を寝取ってしまい、終いには頂戴と言う始末。両親に話すが…。 「お姉さんなのだから、交換して上げなさい」 流石に婚約者を交換するのは…不味いのでは…。 結局ヒロインは妹の要求通りに婚約者を交換した。 そしてヒロインは仕方無しに嫁いで行くが、夫である第2王子にはどうやら想い人がいるらしく…。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

白い結婚は無理でした(涙)

詩森さよ(さよ吉)
恋愛
わたくし、フィリシアは没落しかけの伯爵家の娘でございます。 明らかに邪な結婚話しかない中で、公爵令息の愛人から契約結婚の話を持ち掛けられました。 白い結婚が認められるまでの3年間、お世話になるのでよい妻であろうと頑張ります。 小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しております。 現在、筆者は時間的かつ体力的にコメントなどの返信ができないため受け付けない設定にしています。 どうぞよろしくお願いいたします。

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

誰も残らなかった物語

悠十
恋愛
 アリシアはこの国の王太子の婚約者である。  しかし、彼との間には愛は無く、将来この国を共に治める同士であった。  そんなある日、王太子は愛する人を見付けた。  アリシアはそれを支援するために奔走するが、上手くいかず、とうとう冤罪を掛けられた。 「嗚呼、可哀そうに……」  彼女の最後の呟きは、誰に向けてのものだったのか。  その呟きは、誰に聞かれる事も無く、断頭台の露へと消えた。

処理中です...