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魔神復活
祈りの力
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「うらぁあぁああああ!!!!!」
ガキィーーーーン!!!!
「なっ……ロアン!!」
振り下ろそうとしたが、俺は地下牢の底で見つけた凄まじい魔力が込められた輝かしい剣で弾いた。
「おぉ?神剣を見つけてきたのかい?面白いじゃないか~」
魔神はその剣を見て嗤う。
これが神剣だったのか。
これはその昔エルミアがかくれんぼ中に見つけていたものだ。あの時は抜けなかったが、今はあっさり抜けた。
「だが、まだ力を取り戻してはいないな~?それじゃあ我の攻撃は防げぬ!」
「ぐぅ……」
魔神は魔力を投げつけてくる。
何気ない動作で打ち出されるそれは非常に早く、俺は5発目を喰らってしまう。
くそっ、こんなことで負けてたまるかよ!
俺は震える足で何とか立ち上がり、剣を振る。
頼む神剣。
俺はどうなっても構わない。どうかあのクソ魔神を倒したいんだ!
神剣の光が増す。
俺の想いに答えてくれているかのようだ。
「ダメよ、ロアン!逃げて!」
「いやだ!」
そう言いながら俺は神剣を振るう。
キィーーーン!
魔神は腕で防ぐ……くそっ、固い。
「その程度では他のせぬぞぉ~もっと想いをこめないとなぁ~」
ぐぅ……。
魔神は嗤いながら殴りつけてくる。
その一撃一撃が重い……。
神剣で受け流しても、完全には威力を逸らせず、よろめいてしまった……。
「さぁ~死んでしまうぞ?貴様もあの女もぉ!!!」
「ぐはっ……」
「ロアン!!!」
俺は魔神に蹴り上げられ、完全に無防備になったところを首を掴まれ、地面に叩きつけられた。
くそっ……。
「アッハッハッハッハ。しょうもない余興だったなぁ~。ハッハッハッハ」
クソ魔神は俺の頭を踏みつけながら俺を嘲笑う。
「お前なんか!?」
「ダメだぞぉ~矮小な人の力など、美味しくすべて喰らってやるよぉ~♪」
「ロアン!」
エルミア……くそっ、俺は……俺は……絶対にあきらめないぞ!
「うぉおおぉぉおおおお!!!」
エルミア!俺に祈ってくれ!俺はこいつを倒すんだ!!!
俺は頭を踏みつけられた状態のまま、さっきまでより強い光を帯びた神剣を魔神に突き刺した!
「おぉおおぉぉおおおお!?ダメだぞぉ~もう貴様は終わりなんだぞぉ~役割を終えた羽虫はちゃんと舞台を降りろぉ!!!!」
魔神は手に貯めた黒い魔力を叩きつけてくる。
神剣を突き刺したものの頭を踏みつけられたままの俺は避けられない。
「ロアーーーーン!!!」
「ぐあぁあああ」
どう……なった……俺の頭と体はまだくっついてるか?
「ロアン……どうか、神よ……ロアンを……」
エルミアが幼い頃の様に涙でくしゃくしゃになった顔で祈る。
すまん……そんな顔をさせて……。
くそっ……。
弱えぇな……俺は……。
結局勝てなかった。
結局よぉ……。
そこへ……
「おい!ロアンのやつまだ戦ってるぞ!」
「エルミア様は?」
「二人とも地に伏して……いや、まだ生きてる!」
みんな……
どうして?
「魔神の声が聞こえた。生贄に捧げても無意味なのであれば、生贄に捧げるなんて意味がない」
「そうだ!すまなかった、ロアン、エルミア様。私たちが恐れをなしていた」
おぉ……
「申し訳ございません。魔神を封じる役目を帯びた神殿が魔神に恐れをなして逃げるなど」
「みな、エルミア様がロアンに向けて祈った時、神剣の光が強まったのを見ただろう!」
「祈れ!ロアンと、エルミア様と、神剣に!魔神を倒すのだ!!!」
「私の願いは魔神を倒すことだ。矮小な私の力で良ければ全部持って行ってくれ!どうかエルミア様とロアンを!」
「ワシもじゃ。残り少ない命を惜しんで耄碌したワシを許してくれ。どうか、神よ!」
「ロアン!行け!」
「エルミア様!ロアン!」
神官も、神殿騎士たちも……みんな祈ってくれるのか。
ありがとう。
神剣の光が増していく……。
「うっと~し~な~。全部滅ぼしちゃうぞぉ~~」
まぶしそうに手で顔を覆う魔神。
させねぇよ!
「おぉ!光が!空だ!!!」
なんと、黒く染まった空からも無数の光が降ってくる。
全て俺の手にある神剣に。
覚悟しろよ、クソ魔神!
この俺の、神殿の、世界の怒りを!
エルミアを渡すわけねぇだろ!!!!!!!!!
俺は湧き上がる力を受けて魔神の足をどかして立ち上がり、光に慄く魔神に向けて神剣を振った。
「なっ……なに~~~~~~~~~~……………………………………」
神剣は魔神を真っ二つに割り、神剣の光が周囲を包み、魔神の姿は光の中に消えていった……。
魔神がどうなったのかはわからない。
少なくとも気持ち悪い声を響かせていたクソ魔神がいまは神殿から消え去ったことはわかる。
しかしそれが魔神の消滅を意味するのか、再び眠りについたのかはわからない。
だから俺たちは記録した。
魔神を恐れず、みなが……世界中が祈る中であれば、神剣で魔神を倒せることを。
いつかまた俺とエルミアのような悲しい想いを覚えるものをなくすために。
そして……
「エルミア……」
「ロアン……」
「ではここに、聖女エルミア様と、神殿騎士団長ロアン殿の結婚を宣言する。お二人に神のご加護があらんことを」
俺とエルミアは神殿のみんなに見守られる中、誓いの口づけをした。
泣き顔ばっかり記憶にあるけど、それは今日で最後にしような、エルミア。
ガキィーーーーン!!!!
「なっ……ロアン!!」
振り下ろそうとしたが、俺は地下牢の底で見つけた凄まじい魔力が込められた輝かしい剣で弾いた。
「おぉ?神剣を見つけてきたのかい?面白いじゃないか~」
魔神はその剣を見て嗤う。
これが神剣だったのか。
これはその昔エルミアがかくれんぼ中に見つけていたものだ。あの時は抜けなかったが、今はあっさり抜けた。
「だが、まだ力を取り戻してはいないな~?それじゃあ我の攻撃は防げぬ!」
「ぐぅ……」
魔神は魔力を投げつけてくる。
何気ない動作で打ち出されるそれは非常に早く、俺は5発目を喰らってしまう。
くそっ、こんなことで負けてたまるかよ!
俺は震える足で何とか立ち上がり、剣を振る。
頼む神剣。
俺はどうなっても構わない。どうかあのクソ魔神を倒したいんだ!
神剣の光が増す。
俺の想いに答えてくれているかのようだ。
「ダメよ、ロアン!逃げて!」
「いやだ!」
そう言いながら俺は神剣を振るう。
キィーーーン!
魔神は腕で防ぐ……くそっ、固い。
「その程度では他のせぬぞぉ~もっと想いをこめないとなぁ~」
ぐぅ……。
魔神は嗤いながら殴りつけてくる。
その一撃一撃が重い……。
神剣で受け流しても、完全には威力を逸らせず、よろめいてしまった……。
「さぁ~死んでしまうぞ?貴様もあの女もぉ!!!」
「ぐはっ……」
「ロアン!!!」
俺は魔神に蹴り上げられ、完全に無防備になったところを首を掴まれ、地面に叩きつけられた。
くそっ……。
「アッハッハッハッハ。しょうもない余興だったなぁ~。ハッハッハッハ」
クソ魔神は俺の頭を踏みつけながら俺を嘲笑う。
「お前なんか!?」
「ダメだぞぉ~矮小な人の力など、美味しくすべて喰らってやるよぉ~♪」
「ロアン!」
エルミア……くそっ、俺は……俺は……絶対にあきらめないぞ!
「うぉおおぉぉおおおお!!!」
エルミア!俺に祈ってくれ!俺はこいつを倒すんだ!!!
俺は頭を踏みつけられた状態のまま、さっきまでより強い光を帯びた神剣を魔神に突き刺した!
「おぉおおぉぉおおおお!?ダメだぞぉ~もう貴様は終わりなんだぞぉ~役割を終えた羽虫はちゃんと舞台を降りろぉ!!!!」
魔神は手に貯めた黒い魔力を叩きつけてくる。
神剣を突き刺したものの頭を踏みつけられたままの俺は避けられない。
「ロアーーーーン!!!」
「ぐあぁあああ」
どう……なった……俺の頭と体はまだくっついてるか?
「ロアン……どうか、神よ……ロアンを……」
エルミアが幼い頃の様に涙でくしゃくしゃになった顔で祈る。
すまん……そんな顔をさせて……。
くそっ……。
弱えぇな……俺は……。
結局勝てなかった。
結局よぉ……。
そこへ……
「おい!ロアンのやつまだ戦ってるぞ!」
「エルミア様は?」
「二人とも地に伏して……いや、まだ生きてる!」
みんな……
どうして?
「魔神の声が聞こえた。生贄に捧げても無意味なのであれば、生贄に捧げるなんて意味がない」
「そうだ!すまなかった、ロアン、エルミア様。私たちが恐れをなしていた」
おぉ……
「申し訳ございません。魔神を封じる役目を帯びた神殿が魔神に恐れをなして逃げるなど」
「みな、エルミア様がロアンに向けて祈った時、神剣の光が強まったのを見ただろう!」
「祈れ!ロアンと、エルミア様と、神剣に!魔神を倒すのだ!!!」
「私の願いは魔神を倒すことだ。矮小な私の力で良ければ全部持って行ってくれ!どうかエルミア様とロアンを!」
「ワシもじゃ。残り少ない命を惜しんで耄碌したワシを許してくれ。どうか、神よ!」
「ロアン!行け!」
「エルミア様!ロアン!」
神官も、神殿騎士たちも……みんな祈ってくれるのか。
ありがとう。
神剣の光が増していく……。
「うっと~し~な~。全部滅ぼしちゃうぞぉ~~」
まぶしそうに手で顔を覆う魔神。
させねぇよ!
「おぉ!光が!空だ!!!」
なんと、黒く染まった空からも無数の光が降ってくる。
全て俺の手にある神剣に。
覚悟しろよ、クソ魔神!
この俺の、神殿の、世界の怒りを!
エルミアを渡すわけねぇだろ!!!!!!!!!
俺は湧き上がる力を受けて魔神の足をどかして立ち上がり、光に慄く魔神に向けて神剣を振った。
「なっ……なに~~~~~~~~~~……………………………………」
神剣は魔神を真っ二つに割り、神剣の光が周囲を包み、魔神の姿は光の中に消えていった……。
魔神がどうなったのかはわからない。
少なくとも気持ち悪い声を響かせていたクソ魔神がいまは神殿から消え去ったことはわかる。
しかしそれが魔神の消滅を意味するのか、再び眠りについたのかはわからない。
だから俺たちは記録した。
魔神を恐れず、みなが……世界中が祈る中であれば、神剣で魔神を倒せることを。
いつかまた俺とエルミアのような悲しい想いを覚えるものをなくすために。
そして……
「エルミア……」
「ロアン……」
「ではここに、聖女エルミア様と、神殿騎士団長ロアン殿の結婚を宣言する。お二人に神のご加護があらんことを」
俺とエルミアは神殿のみんなに見守られる中、誓いの口づけをした。
泣き顔ばっかり記憶にあるけど、それは今日で最後にしような、エルミア。
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