異世界恋愛作品集  "真実の愛" ダメ、ゼッタイ!

蒼井星空

文字の大きさ
上 下
3 / 48
"真実の愛" ダメ、ゼッタイ!

果てしなく続く"真実の愛"の暴走

しおりを挟む

 
続いて向かったのはバンデオン王国です。
この国ではまさかの女王様が捨てられるパターンで独創的でした。

「リオレスト女王陛下! あなたがまさか悪魔崇拝に傾倒されるとは。このルミナス・グラデールは忠臣としてあなたの愚行を正し、国を再建することを誓います。いざ、ご覚悟を!!!」
 
本来王権を持つはずの女王が王位を奪われ、婚約者でもあった高位貴族に捨てられていました。

当然ながら悪魔崇拝なんというものは濡れ衣で、このルミナス・グラデールという男は幼馴染を"真実の愛"の相手としており、権力も"真実の愛"も掴むために女王との結婚直後に事をなして簒奪したのです。
呆れるほどのクズっぷりですわね。

この女王陛下は当然ながら復讐を誓っていましたが、もう二度と王にはなりたくないという方だったので当然ながら支援して元婚約者ルミナスを倒し、復讐完了後には王国をエアベルト王国に禅譲してもらいました。

元女王陛下は逞しい方がお好みということでシオル王子には合わなかったので、別の方を紹介しておきました。
今では仲睦まじく夫婦で我が国の将軍をしています。




次はなんとグレージュ帝国です。
 
この国は周辺国の中で最大の武力を保持する強国ですが、次期皇帝が"真実の愛"に目が眩んで世界を相手に戦いそうなバカです。
 
なんと政略結婚の相手である属国の姫君を堂々とないがしろにして愛人を囲いまくっています。その愛人の一人に入れこんでいて、彼女が世界を私にとか言っちゃうバカで、次期皇帝はそれを聞いてしまうバカだったのです。

次期皇帝は好色な男で、目にした女は全て抱くようなバカなので私が愛人になろうと思ったのですが、シオル王子に止められました。
目をウルウルさせながら何も言わずに私の服の袖を掴む様子はとても保護欲を掻き立てられました。
とても可愛かったですごちそうさま。

しかし、愛人になる方法は採れなくなったので、素直に次期皇帝を恨む連中を焚き付け、属国には蔑ろにされている事実を暴露しました。また聖女シェラにお願いして神敵と宣言してみました。

それでも行動を変えない次期皇帝はなんと無理やり愛人にした女に切られました。
……私、ここで何もしていないですね……ラッキーでいいでしょうか?

次期皇帝の強大さに集まってきていた者たちは、次期皇帝が弱みを見せるとさ~っと波が引くようにいなくなりました。しかも一部は火事場泥棒の様にいろんなことをやらかしてくれました。財産や権利を盗むもの、醜聞を流布するもの、しれっと離婚を勝ち取って離反するもの……。

私はエアベルト王国にとって都合の良い状況を生み出すために、きっちりと次期皇帝と世界をねだったバカ愛人を拘束して老齢の皇帝にお渡しして、処刑まで見守りました。


「さすが次期皇帝と目されるだけはあって、あそこまで醜聞を振りまいた状況から強引に状況をひっくり返そうとしたのには驚いたよね」
配下だけを引き連れて皇帝暗殺を狙った次期皇帝の強引さに草食系のシオル王子はドン引きでした。
たまにはあれくらいの強引さを発揮してもらっても楽しそうなのですが、そんな日は来そうにありませんねと、エメリア様とお茶をしながらため息を吐いてしまったのは内緒です。

なお、グレージュ帝国は次期皇帝が強大すぎて争えるようなものを軒並み処刑してしまっていたため、現在進行形で後継者争いを繰り広げてくださっています。
なるべく長く争って余力をなくしてほしい一方で、民への影響は抑えたいので、水面下で難易度の高いミッションを遂行しています。
リオレスト将軍が……。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

夫と息子は私が守ります!〜呪いを受けた夫とワケあり義息子を守る転生令嬢の奮闘記〜

梵天丸
恋愛
グリーン侯爵家のシャーロットは、妾の子ということで本妻の子たちとは差別化され、不遇な扱いを受けていた。 そんなシャーロットにある日、いわくつきの公爵との結婚の話が舞い込む。 実はシャーロットはバツイチで元保育士の転生令嬢だった。そしてこの物語の舞台は、彼女が愛読していた小説の世界のものだ。原作の小説には4行ほどしか登場しないシャーロットは、公爵との結婚後すぐに離婚し、出戻っていた。しかしその後、シャーロットは30歳年上のやもめ子爵に嫁がされた挙げ句、愛人に殺されるという不遇な脇役だった。 悲惨な末路を避けるためには、何としても公爵との結婚を長続きさせるしかない。 しかし、嫁いだ先の公爵家は、極寒の北国にある上、夫である公爵は魔女の呪いを受けて目が見えない。さらに公爵を始め、公爵家の人たちはシャーロットに対してよそよそしく、いかにも早く出て行って欲しいという雰囲気だった。原作のシャーロットが耐えきれずに離婚した理由が分かる。しかし、実家に戻れば、悲惨な末路が待っている。シャーロットは図々しく居座る計画を立てる。 そんなある日、シャーロットは城の中で公爵にそっくりな子どもと出会う。その子どもは、公爵のことを「お父さん」と呼んだ。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

一年で死ぬなら

朝山みどり
恋愛
一族のお食事会の主な話題はクレアをばかにする事と同じ年のいとこを褒めることだった。 理不尽と思いながらもクレアはじっと下を向いていた。 そんなある日、体の不調が続いたクレアは医者に行った。 そこでクレアは心臓が弱っていて、余命一年とわかった。 一年、我慢しても一年。好きにしても一年。吹っ切れたクレアは・・・・・

交換された花嫁

秘密 (秘翠ミツキ)
恋愛
「お姉さんなんだから我慢なさい」 お姉さんなんだから…お姉さんなんだから… 我儘で自由奔放な妹の所為で昔からそればかり言われ続けてきた。ずっと我慢してきたが。公爵令嬢のヒロインは16歳になり婚約者が妹と共に出来きたが…まさかの展開が。 「お姉様の婚約者頂戴」 妹がヒロインの婚約者を寝取ってしまい、終いには頂戴と言う始末。両親に話すが…。 「お姉さんなのだから、交換して上げなさい」 流石に婚約者を交換するのは…不味いのでは…。 結局ヒロインは妹の要求通りに婚約者を交換した。 そしてヒロインは仕方無しに嫁いで行くが、夫である第2王子にはどうやら想い人がいるらしく…。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

白い結婚は無理でした(涙)

詩森さよ(さよ吉)
恋愛
わたくし、フィリシアは没落しかけの伯爵家の娘でございます。 明らかに邪な結婚話しかない中で、公爵令息の愛人から契約結婚の話を持ち掛けられました。 白い結婚が認められるまでの3年間、お世話になるのでよい妻であろうと頑張ります。 小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しております。 現在、筆者は時間的かつ体力的にコメントなどの返信ができないため受け付けない設定にしています。 どうぞよろしくお願いいたします。

処理中です...