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第45話 クズの末路⑧

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「なお、大変申し上げにくいのですが、当家からアレサンドロ殿にお預けしたお金があります。実際には不肖の娘であるエランダがアレサンドロ様にお渡ししたものです。それは、本来エランダの持つべき金ではなく、こちらのラクス殿のものなのです。お返しいただけますよう……」
「なにをばかな!」
そして領主様が反撃を開始した。
言い方はあれだが、裏にはお前たちがエランダを騙して盗んだ金を返せと言っている。

捨て置かれたカジノの従業員から裏は取れている。 
ようするにエランダは騙され、操作されたカジノで負け、借金を背負わされていたらしい。
法を犯して資産を奪ったエランダは許せないし、もし生きていたとしてもジキルと子供を作ったエランダと仲直りすることはあり得ないが、それでも俺は公爵たちが許せない。

また、この話が事実であると確信して以降、公爵への恩義を前面に押し出していた領主様すら沈黙した。
たしかにこれまでこのリオフェンダールの街がダンジョンと共存してこれたことには公爵の協力があった。
支援物資を送り、ギルドの運営を手伝い、資金を出してくれていたし、物流も支援してくれていた。

だが、それは公爵にも利益があったためだ。
決して一方的な支援ではない。
あくまでもお互いが信頼関係の上で良い関係を築く布石にはなるものだ。
その前提のもと、領主様は公爵に感謝していた。
相手からも信頼を得ていると思っていた。

しかしふたを開けてみたら出てきたのが、自らの娘を使った悪辣な企みだったのだ。
その怒りと悲しみは相当なものだろう。

だから許すつもりはないらしい。
もし仮に領主様が矛を収めても俺は折れないんだけどな。

「アレサンドロ様、それからガンドス殿の所業を打ち明ければ納得いただけますかな?」
「……」
公爵は沈黙した。恐らく何がバレたのかと考えているのだろう。なにが、というよりどこまで、かもしれないが。
ちなみにアレサンドロ、ガンドスともに行方不明のため、裏を取ることはできないが、公爵の立場から見ると、俺たちがどっちかを押さえていると思うかもしれないな。


「ちなみに金貨1,000枚になりますが」
「なっ……」
「さすが優秀な冒険者なのですね、ラクス様は」
「はっ?」
そして、こんなタイミングで話を挟んでくる……ミネルヴァだっけか?
強引に話を変えるつもりらしい。

「アレサンドロの不備で申し訳ないですが、さすがに報告を受けていない財貨については現在確認を取ることができません。後日、確認をしてからにして頂きたいですわ。そうですわね、お父様」
「うむ。しっかりと確認しよう」
何度も言うがアレサンドロは行方不明だ。
つまりこれは永遠に確認が取れない話となる。恐らくこれ以上引っ張るなという警告もしてきてるんだろうな。面倒な女だ。

「では、不幸な行き違いがあったようだが、無事晴れたようだ」
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