仲間を庇って半年間ダンジョン深層を彷徨った俺。仲間に裏切られて婚約破棄&パーティー追放&市民権剥奪されたけど婚約者の妹だけは優しかった。

蒼井星空

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第42話 本気のダンジョン攻略のはずが異世界ラブコメ回⑧

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<<見事、試練を超えしものよ。その戦い見事なり>>


「おぉ。下層ボスを倒したら、どこからともなく声が聞こえてくるという伝承の通りだな」
ミシェールは博識だ。
俺たちがダンジョンのある街で活動することになった時、様々な書物を調べてくれていた。

「なにかくれる?私、大きな魔石が欲しい」
おい、金の亡者よ。勝手なこと言うな。


<<ふむ。深層には既に入っておるか。よい。今後も励むが良い>>

「えっ?どういうことだ?スタンピードをなくすために挑んだだけなんだが」

<<スタンピードとな?なるほど、モンスターが外に出るあの現象のことか。それを嫌っているのか?>>

声の主が誰なのかわからないけど、会話できるようだ。

「はい。このダンジョンの外に街を作っていて、過去に何度もスタンピードの被害に会ってきました。つい最近も、3年前も。だから、下層ボスを倒せば止まったという話を聞いたので挑んだのですが」

<<そうか。もちろん可能だ。止める方法はある>>

「願います!スタンピードが起こらないようにしてください!」
それを願わないやつがいるんだろうか?

「ちなみにスタンピードを止めたことで何か不具合がおきますか?」
ミシェールが口をはさむ。
なるほど、もしかしてダンジョンが消えるとかか?そんな事例でもあったんだろうか?


<<特にない。しいて言うなら、定期的に下層ボスを倒していればスタンピードは起きぬ。その周期を教えてやるから、そなたが止めればよい>>

「なるほど。でも、それだと俺が死んだりしたらまたスタンピードが起きるんじゃないでしょうか?」

<<それはそうだ。だが、完全に止めると言うことはダンジョンを消すと言うことじゃぞ?それを願うか?>>

「さすがにそれは無理です。わかりました。周期を教えてください」

<<うむ。次のモンスターはオークタイラントだ。スタンピードが起きるのは5年後だ>>

「ちなみに、スタンピードは下層に出たモンスターが引き起こすと聞きました。ボスだけ対処していればいいのですか?」

<<問題ない。そなたたちは既に下層ボスを1度倒しておる。それでダンジョンは変わる。今後は下層ボス以外にスタンピードを起こすものはいない>>

不思議な仕組みだが、そういうものと思うしかないのかな。

「深層のモンスターは絶対に出てこない?」

<<深層で生まれたモンスターは、下層よりも上に出ることはできない。これは理だ。稀に深層のモンスターが下層で生まれることはあるがな。その場合はスタンピードを引き起こす場合があるが、このダンジョンでは今後それも起こらない。あくまでも下層ボスとして生まれたもののみがスタンピードを起こす可能性がある>>

「なるほど。ではまた5年以内に倒しに来るとしよう」

「ラクスは強い。例えば毎日下層ボスを倒したらどうなる?」

<<それは勘弁してほしい。エネルギー供給が追い付かぬゆえな。そもそも次に下層ボスが現れるのは来月だ>>

「じゃぁ来月また来よう。それでは」

<<ん?あれ?ちょっと待って?できれば1年はあけてもらいたく……って、いねぇ>>



役割を果たした俺たちは颯爽と地上に戻るのだった。

帰りも楽しい旅路だったとだけ言っておこう。
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