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第23話 マジックシールド②

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「私だってシファを守る。全員覚悟はできたはずだ。マジックシールド!」
「もちろんだ、ミシェールさん。マジックシールド!」
「当たり前よね。マジックシールド!」
ミシェールがマジックシールドをかけたのを皮切りにみんながマジックシールドを重ねていく。
 
「こうして最後にシファ様を見て逝けるだけで満足だよ。マジックシールド!」
「勝手に死ぬなバカ。守るためにかけるんだろ?死ぬ気で魔法を使え!マジックシールド!」
「良いこと言うよな、お転婆ルーダのくせによ。マジックシールド!」
「そろそろ放ってきそうだぜ?マジックシールド!」
「全員でかければ案外守れねぇかな?マジックシールド!」
「かな?じゃねぇんだよ!守るんだよ!マジックシールド!」

どんどんと重ね掛けされていく。
もともと100人近くいた冒険者だが、今は70人ちょっとまで減ってしまった。
でもそのうちの半分以上が魔法を使っている。

それぞれ効果範囲や強度は違う。
でも全員で固まって、全員を守っている。



グルォォオオォォォオオオオオォォオオオオオオオオオオ!!!!!

しかし、そんな私たちの覚悟を揺らすように、ドラゴンの咆哮が轟く。

「なんつぅ圧力だ……」
「やべぇな。神話上の生き物って感じだ」
「そろそろ立ってるのすらきついんだが……」
「気持ちで負けるな!あれはただのデカいモンスターだ。守りきったら攻撃するぞ!?」
「ミシェールさん、すげぇな。あれ見てまだそれが言えるなんて」
「みんな。ありがとう。来るわ。その前に感謝を」
「あぁ、シファ様」
「わかってる。シファ様」

ついにドラゴンが口を開く。
溢れ出てくる赤い魔力。
燃え盛るようなそれは、ドラゴンの口から出て凶暴に暴れ回りながら、私たちの方へ振ってくる。

目は閉じない。
みんなが張ってくれた魔法障壁だ。

私は。
私だけは信じないといけない。

例え呆気なく崩れ去るにしても、私が目を閉じちゃいけない。


そうしてドラゴンが吐き出した赤い魔力が魔法障壁に到達する。

その衝突は激しい振動を引き起こし、周囲に衝撃をまき散らす。

一瞬の拮抗。


凄い、赤い魔力に抗っている。

一番外側の障壁はミシェールのだろうか?

それがひび割れ、次の障壁に赤い魔力が到達する。

あれはエルテナさんの張ったものだろうか?

一枚一枚の魔法障壁が全て赤い魔力に抗っていく。

少しずつ、本当にドラゴンのブレスを軽減していく。

それでもブレスは止まらない。

みんなの力。


それを無慈悲に打ち砕いていく。



誰か……。


私はいい。


どうかみんなを助けてほしい。


どうか……。









「すげぇな。マジックシールドの重ね掛けでブレスにある程度対抗できてるなんて」



「えっ?」





「嫌かもしれないけど、俺も混ざるぜ?マジックシールド!」


幻聴かな?

何か聞こえた気がした。


それと同時に赤い魔力が最後のマジックシールドに到達して爆発が起こり、視界が真黒になったが……。







「よく耐えたな。みんなすげぇよ」

「えっ?」

この声は……?


「ラクスさん?」

「あぁ。悪いな、遅くなって」

私が名前を呼んだ人は、飄々とした表情で私に応え、抱きしめてくれた。
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