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第9話 冒険者の覚悟②
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「では行くぞ!みんな、聞いてくれ。これはオレたちの町を守るための戦いだ。当然危険を伴う。でも、やり遂げないといけないんだ。みんな力を貸してくれ!」
「「「「「「「おぉおおぉぉおおおおお!!!!!!」」」」」」」
ジキルの威勢の良い掛け声とともにダンジョンに入っていく多くの冒険者たち。
彼らは街の被害を抑えるため、ダンジョンの上層でスタンピードを迎え撃つのだ。
ジキルとクレアに対して思うところはあるが、この街の領主の娘として、戦いに赴く冒険者たちの無事を祈る。
危険なスタンピードだ。
全員無事というわけにはいかないだろう。
それでも、どうか一人でも多くの冒険者が帰ってきますように。
犠牲になる人が減りますように。
「彼らの健闘と成功を祈るとして、ワシらは次の対応だな」
「そうね。殲滅に失敗してスタンピードが外に出た時の対策を」
ギルド長と姉は次の打ち合わせに入る。
「エランダ。ギルド長。なんとか外への影響は避ける必要がある」
そこに割って入ってきたのはアレサンドロ・ホーネルド。
ホーネルド公爵の三男で、ギルドの隣にあるカジノの責任者だ。
この男からすればスタンピードが外に出る、イコール、自分のカジノが被害を受けると言うことだ。
許容できないのは当然だろう。
しかしそれを今領主代行に向かって言うの?
街の全ての危機なのよ?
「アレサンドロ様。当然ながらスタンピードを外に出さないために、今勇気ある冒険者たちがダンジョンに入りました。しかし、彼らが失敗した時に対策を打つのも、リオフェンダール領としては当然のことです」
「もちろん、それを否定してはいない。ただ、もしそうなったときに父の機嫌を損ねない方がいいと言っている」
この男は何を言っているの?
スタンピードが外に出た時、間違いなく破壊されるカジノだが、それが公爵の機嫌を損ねると?
カジノだけを守るなんてバカなことができるわけがない。
「被害を補填しろとでも?」
「話が早くて助かるねぇ。さすがエランダちゃんだ」
「くっ……」
そんなバカな。
スタンピードが外に出てしまったら、待っているのは街の壊滅だ。
それこそ資産なんか残らない。
それなのにカジノの被害を補填城ですって?逆でしょ?寄り親なんだからこっちを支援するものでしょ?
「じゃあね。僕は行くから、預かっている資産は貰っていくよ。この街が無事だったら返してあげよう」
どういうこと?預かっている資産ってなに?
この男は何を言っているの?
「それは……」
「まさか断りはしないよね?そこにいるのは妹さんだっけ?いいのかなぁ」
「くっ……」
「そうそう。黙っていればいいだけの簡単なお仕事でしょ?じゃあ僕は行くよ。せいぜい頑張ってね」
なんと婚約者もいて、妊婦でもある姉を不躾に抱きしめた。
なんて汚い人間なの?
こんなのが公爵の息子?
それでも姉は何も言わない。
男が去った後、私をひと睨みしただけでどこかへ行ってしまった。
「「「「「「「おぉおおぉぉおおおおお!!!!!!」」」」」」」
ジキルの威勢の良い掛け声とともにダンジョンに入っていく多くの冒険者たち。
彼らは街の被害を抑えるため、ダンジョンの上層でスタンピードを迎え撃つのだ。
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危険なスタンピードだ。
全員無事というわけにはいかないだろう。
それでも、どうか一人でも多くの冒険者が帰ってきますように。
犠牲になる人が減りますように。
「彼らの健闘と成功を祈るとして、ワシらは次の対応だな」
「そうね。殲滅に失敗してスタンピードが外に出た時の対策を」
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この男からすればスタンピードが外に出る、イコール、自分のカジノが被害を受けると言うことだ。
許容できないのは当然だろう。
しかしそれを今領主代行に向かって言うの?
街の全ての危機なのよ?
「アレサンドロ様。当然ながらスタンピードを外に出さないために、今勇気ある冒険者たちがダンジョンに入りました。しかし、彼らが失敗した時に対策を打つのも、リオフェンダール領としては当然のことです」
「もちろん、それを否定してはいない。ただ、もしそうなったときに父の機嫌を損ねない方がいいと言っている」
この男は何を言っているの?
スタンピードが外に出た時、間違いなく破壊されるカジノだが、それが公爵の機嫌を損ねると?
カジノだけを守るなんてバカなことができるわけがない。
「被害を補填しろとでも?」
「話が早くて助かるねぇ。さすがエランダちゃんだ」
「くっ……」
そんなバカな。
スタンピードが外に出てしまったら、待っているのは街の壊滅だ。
それこそ資産なんか残らない。
それなのにカジノの被害を補填城ですって?逆でしょ?寄り親なんだからこっちを支援するものでしょ?
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「それは……」
「まさか断りはしないよね?そこにいるのは妹さんだっけ?いいのかなぁ」
「くっ……」
「そうそう。黙っていればいいだけの簡単なお仕事でしょ?じゃあ僕は行くよ。せいぜい頑張ってね」
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なんて汚い人間なの?
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それでも姉は何も言わない。
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