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第3章 ラオベルグラッド王国の復興
第48話 パーティー
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「ただいま帰りましたわ」
私はラオベルグラッド王国の王宮にようやく帰り着きました。
出ていってからは10日以上経過してしまったようです。
「エメリア、お帰り」
「おぉ、よく帰ったの」
「わたくしも戻りましたわ」
「「ママ~♡」」
「あぁ、エルにメル。いい子にしていましたか?」
「「うん!」」
そして、レオとエルとメル、それに精霊様達に暖かく迎え入れてもらいました。
メロディアレーゼ様はスルーされてぷるぷるされていますわ。
幸せです。
思いのほか長い旅をしてきたような感覚がありますが、まさかのライエル様との和解があったからでしょうか。
私は旅先であった話をともに夕食をとりながらレオに報告しました。
「そうだったのか……」
「はい。復興を妨げてしまったことでラオベルグラッド王国には多大な迷惑をかけてしまったのに、申し訳ありませんが」
「俺の立場で構わない、とは言えないのだが、一人の人間として言うなら、解決してよかったではないか」
レオは相変わらず優しいですね。
彼には関係のない話で国王としても、一人の戦士としても迷惑を被ったのに。
「ずっと気に病んでいたのだろう。リアの表情が明るくなったのだから、夫としては歓迎すべきことだ」
「前の婚約者とのことなのに、いいのですか?」
つい悪戯心に火がついてそんな風に言ってしまったことをすぐ後悔することになりました。
「ちゅぅ」
「んっ……」
「「パパとママがチューしてる~」」
「ちょっと、レオ。突然なにをするのですか?」
「俺とリアは仲が良いから問題ないな」
「もうっ」
子供たちが見る前でのキスは反則です。恥ずかしいじゃないですか。
「それに、俺は子供がそのライエル王子でも構わんぞ?鍛えなおしてやれるからな」
それは何の宣言ですか?
今日の夜ですか?
それとも子供ができるまで、ずっとですか?
まったく……。
「彼はまだ転生できませんわ。そもそも転生できるかどうかも怪しいです」
「ほう。穢れは払われたのだろう?」
彼が冥界で就いた仕事に問題があったのです。
なんでしょうか、ハロウィン実行委員というのは?
なぜかあのお祭り騒ぎを神様も冥界の住人達も気に入ってしまったらしく、あのあと数日にわたって騒ぎ倒したのです。
その結果、なんと天界の女神様が顕現なされまして、冥界に喝を入れられたのです。
神様の慌てる姿というのは笑ってはいけないのでしょうが、表情だけは崩さないようにするのに必死でした。
そして、お祭り騒ぎは年に一度、1日だけと決まったのです。
冥界の住人たちが泣いて、せめて数日といっていたのを女神様が一喝していました。
ただ、あとでこっそり女神様に聞いたところでは、何年かしてちゃんと仕事をしているようなら数日の範囲なら構わないと考えているとのことで、いずれは伸びるかもしれませんね。
そんなお祭りの実行委員。
ライエル様が?
と思っていたら、とんでもないことを言いだしたのです。
「毎年エメリアと戦おうかな。そうすれば仮に変な気を僕が起こしていても、払ってくれるだろうし」
なにをしたり顔で語っているのですか?私にいつまで働けというのでしょうか?
私は人妻であり、子どもたちの母なのですよ?
「それはいいな。贖罪として冥界を楽しませて行け」
「えっ?私の同意は?」
そしてなぜ神様は同意しているのですか?そんなにお祭りが楽しかったのですか?
助けてください女神様……って、もういらっしゃらないし……。
「協力ついでだろ?」
くっ、傲慢な頃のライエル様に戻ったのでしょうか?
また悪戯をした少年の表情になっています。
もうっ。
「というようなことがあったので、彼はまだ転生しませんし、場合によってはずっとあそこにいるんじゃないですか?」
「そうだったのか。それは観たいな」
「はっ?」
なにを言い出すのでしょうか、この夫は。
「「ママのカッコいいところ見たい~」」
「はっ?」
ママもカッコいいところは見せたいですが、冥界ですよ?
「来年はエメリアが行くしかないだろうが、再来年は俺たちが行ってもいいか聞いてきてくれ。これは王命だ。なにせ王妃を貸し出すんだから、それくらいの権利はあるだろう」
もう、バカなんでしょうか、この人は?
「疲れたので私は寝ます」
「では……」
「ボクも!」
「ワタシも!」
「えぇ、一緒に寝ましょうね、エル、メル」
「ぐっ……」
「レオは1人で寝てください。まだ仕事もあるでしょう?」
「くっ……」
「「パパおやすみ~」」
そうして私は天使な子供たちと一緒に暖かく大きなベッドで幸せな眠りにつきました。
幸せな時間でした。
しれっと潜り込んできて変なところに手を伸ばしてきたレオの手は叩き落としましたが、家族4人で一緒に眠りました。
なお、レオが言い出した冥界での戦いの観戦ですが、なんと天界の女神様が守りを与えてくれることで実現してしまいました。
こらっ、ライエル様にレオ!
なにをしみじみと酒を酌み交わしているのですか?
こらっ、メル!
赤いデーモンさんの角を掴んでぶら下がってはいけませんよ!
こらっ、エル!
その穴は探検していい場所ではありません!
こらっ、モルドゥカ様!
冥界の住人と喧嘩しないの!
まったく、どういう結末ですか、これは!
「賑やかでいいのぉ~」
あれ?ヴェルディア様……ついにこちらの住人になられたのですか?
そんなこんなで、私たちの未来はこのような形となりました。
期待したものではなかったかもしれませんが、これも一つの形ですわね。
*****
ということで完結しました!ここまでお読みいただきまして、ありがとうございます。
私はラオベルグラッド王国の王宮にようやく帰り着きました。
出ていってからは10日以上経過してしまったようです。
「エメリア、お帰り」
「おぉ、よく帰ったの」
「わたくしも戻りましたわ」
「「ママ~♡」」
「あぁ、エルにメル。いい子にしていましたか?」
「「うん!」」
そして、レオとエルとメル、それに精霊様達に暖かく迎え入れてもらいました。
メロディアレーゼ様はスルーされてぷるぷるされていますわ。
幸せです。
思いのほか長い旅をしてきたような感覚がありますが、まさかのライエル様との和解があったからでしょうか。
私は旅先であった話をともに夕食をとりながらレオに報告しました。
「そうだったのか……」
「はい。復興を妨げてしまったことでラオベルグラッド王国には多大な迷惑をかけてしまったのに、申し訳ありませんが」
「俺の立場で構わない、とは言えないのだが、一人の人間として言うなら、解決してよかったではないか」
レオは相変わらず優しいですね。
彼には関係のない話で国王としても、一人の戦士としても迷惑を被ったのに。
「ずっと気に病んでいたのだろう。リアの表情が明るくなったのだから、夫としては歓迎すべきことだ」
「前の婚約者とのことなのに、いいのですか?」
つい悪戯心に火がついてそんな風に言ってしまったことをすぐ後悔することになりました。
「ちゅぅ」
「んっ……」
「「パパとママがチューしてる~」」
「ちょっと、レオ。突然なにをするのですか?」
「俺とリアは仲が良いから問題ないな」
「もうっ」
子供たちが見る前でのキスは反則です。恥ずかしいじゃないですか。
「それに、俺は子供がそのライエル王子でも構わんぞ?鍛えなおしてやれるからな」
それは何の宣言ですか?
今日の夜ですか?
それとも子供ができるまで、ずっとですか?
まったく……。
「彼はまだ転生できませんわ。そもそも転生できるかどうかも怪しいです」
「ほう。穢れは払われたのだろう?」
彼が冥界で就いた仕事に問題があったのです。
なんでしょうか、ハロウィン実行委員というのは?
なぜかあのお祭り騒ぎを神様も冥界の住人達も気に入ってしまったらしく、あのあと数日にわたって騒ぎ倒したのです。
その結果、なんと天界の女神様が顕現なされまして、冥界に喝を入れられたのです。
神様の慌てる姿というのは笑ってはいけないのでしょうが、表情だけは崩さないようにするのに必死でした。
そして、お祭り騒ぎは年に一度、1日だけと決まったのです。
冥界の住人たちが泣いて、せめて数日といっていたのを女神様が一喝していました。
ただ、あとでこっそり女神様に聞いたところでは、何年かしてちゃんと仕事をしているようなら数日の範囲なら構わないと考えているとのことで、いずれは伸びるかもしれませんね。
そんなお祭りの実行委員。
ライエル様が?
と思っていたら、とんでもないことを言いだしたのです。
「毎年エメリアと戦おうかな。そうすれば仮に変な気を僕が起こしていても、払ってくれるだろうし」
なにをしたり顔で語っているのですか?私にいつまで働けというのでしょうか?
私は人妻であり、子どもたちの母なのですよ?
「それはいいな。贖罪として冥界を楽しませて行け」
「えっ?私の同意は?」
そしてなぜ神様は同意しているのですか?そんなにお祭りが楽しかったのですか?
助けてください女神様……って、もういらっしゃらないし……。
「協力ついでだろ?」
くっ、傲慢な頃のライエル様に戻ったのでしょうか?
また悪戯をした少年の表情になっています。
もうっ。
「というようなことがあったので、彼はまだ転生しませんし、場合によってはずっとあそこにいるんじゃないですか?」
「そうだったのか。それは観たいな」
「はっ?」
なにを言い出すのでしょうか、この夫は。
「「ママのカッコいいところ見たい~」」
「はっ?」
ママもカッコいいところは見せたいですが、冥界ですよ?
「来年はエメリアが行くしかないだろうが、再来年は俺たちが行ってもいいか聞いてきてくれ。これは王命だ。なにせ王妃を貸し出すんだから、それくらいの権利はあるだろう」
もう、バカなんでしょうか、この人は?
「疲れたので私は寝ます」
「では……」
「ボクも!」
「ワタシも!」
「えぇ、一緒に寝ましょうね、エル、メル」
「ぐっ……」
「レオは1人で寝てください。まだ仕事もあるでしょう?」
「くっ……」
「「パパおやすみ~」」
そうして私は天使な子供たちと一緒に暖かく大きなベッドで幸せな眠りにつきました。
幸せな時間でした。
しれっと潜り込んできて変なところに手を伸ばしてきたレオの手は叩き落としましたが、家族4人で一緒に眠りました。
なお、レオが言い出した冥界での戦いの観戦ですが、なんと天界の女神様が守りを与えてくれることで実現してしまいました。
こらっ、ライエル様にレオ!
なにをしみじみと酒を酌み交わしているのですか?
こらっ、メル!
赤いデーモンさんの角を掴んでぶら下がってはいけませんよ!
こらっ、エル!
その穴は探検していい場所ではありません!
こらっ、モルドゥカ様!
冥界の住人と喧嘩しないの!
まったく、どういう結末ですか、これは!
「賑やかでいいのぉ~」
あれ?ヴェルディア様……ついにこちらの住人になられたのですか?
そんなこんなで、私たちの未来はこのような形となりました。
期待したものではなかったかもしれませんが、これも一つの形ですわね。
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ということで完結しました!ここまでお読みいただきまして、ありがとうございます。
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(返信遅れまして大変申し訳ございません)
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アマヤさん、感想ありがとうございます!
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