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第3章 ラオベルグラッド王国の復興
第44話 神様からのオファー
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「気付いたようだな。そういうことだ。だからそなたを迎えたのだ」
このまま回れ右をして現世に戻っても良いでしょうか?
正直、状況がぶっ飛びすぎて理解を超えていきそうです。
私は間違いなくこの手でライエル様を倒したはずです。
倒すべきは魔族の最後にして最古の四天王であるハルガラヴェスでした。
そのハルガラヴェスが取り憑いたライエル様に一縷の望みをかけて聖属性魔法を使ったのです。
聖属性魔法であれば、完全に闇に染まってなければあわよくば生命だけは残らないかと思いました……。
しかし、同化してしまっていたのかライエル様も一緒に……消し飛ばしたはずです。
「そうだ。そしてあのものはここへやって来た。死者としてな。しかし……」
そこから説明されたライエル様の所業は耳を疑うほど残酷なものでした。
死してなお、聖属性魔法で倒されてなお、私に対しての怒りや恨みが消えなかったそうです。
そして冥界での審判は当然ながら地獄での浄化となったが、素直に従わなかったために神の金槌で叩き潰され、文字通り地獄に落とされたそうです。
それでも強い怒りが消えず、這い出してきてあそこに陣取っているようです。
泣きわめくたびに地獄の看守が冥界のこん棒で殴りつけていたらしいのですが、全く意思を変えないため匙を投げられたそうです。
「そうだったのですね。そんなにもライエル様は……」
それで神様も困っていたとのこと……。
「そなたに罪はないことは我が証明しよう。しかし冥界の番人も地獄の看守も面倒臭がって近寄らんのだ。それで放置していたのだが、まさか地上に魔力を放ったと聞いて対処を考えておったところだ」
それでこのように困った表情というか、呆れた表情をされていたのですね。
神様を困らせるとは、ライエル様……とんでもないですわね。
それは国王陛下や私などではどうしようもできないはずです。
「たとえば彼が愛したものたちに説得させてみるとか……?」
思い浮かぶのはスーメリアや、あのエロフ……ラーヴェと言いましたか……。彼女たちならライエル様に声を届かせることができるかもしれません。
「それができぬのだ。ラーヴェというものは特に浄化が必要なものではなかったのですでに転生済みだ」
なるほど。たしかに、ちょっと婚約者がいる男性との恋を楽しんだだけでは魂の罪とは言えませんわね。
「スーメリアという女も、もうこの世界は懲り懲りだとぼやいて浄化を受け入れた後、さっさと別世界に転生していった」
まさか、スーメリアもですか。
あんなにもライエル様に付き従っていたというのに……まぁ死んでしまったのですから、さっさと流して次に行くのは正しい選択だとは思います。
「そもそも死ねば情念は薄まるのだ。肉体を失うのだからな。それにもかかわらずあそこまで強い執念を持ち続けるというのは一種の才能ではある。もし魔族などが発見すれば、よい傀儡になるだろう。もちろん我の視界の中でそのようなことを許すことはないがな」
たしかに魔族と結託されたら面倒です。
ライエル様の放った黒い影のモンスターは、夜にしか出てこないことや、拠点を移動しないことなどの制約があるように見えました。
そこを魔族や他のモンスターに補われてしまうとかなりやっかいです。
「いっそ、そなたに一度戦ってもらえないだろうか?」
「はっ?」
どうすればよいか、対処法を考えていたら神様がとんでもないことを仰いました。
それは俗に言う丸投げというやつでは?
「ここは生きとし生けるものが辿り着く最後の場所だ。そんな場所での最終決戦。それに負けたら大人しく来世の門をくぐれとでも言えば、諦めるやもしれぬ」
さすがは神様のお言葉。説得力というか、もしかしたらそうかもと思わせる威厳を伴っています。
もちろん、私もかつての婚約者でかつての仲間です。
残念な結果に終わりましたが、彼が穢れをはらって来世に向かうためのお手伝いということであれば、協力することもやぶさかではありません。
『1つ、よろしいでしょうか?』
「なんだ?」
シャドー様が神様に尋ねました。どうされたのでしょうか?
『この場所には精霊の多くはやってこれません。となると、エメリア様の力は制限されることになります。一方で、ライエルの怒りは燃え滾り、執念によって強化されています。この場で戦うのは不利ではないでしょうか?』
「かまいませんわ。魔力は十分にありますし、ここまでついてきてくださったシャドー様とシルフィード様のお力を借りれれば十分ですわ」
私は力強く宣言しました。
ご心配はありがたいですが、もしそれで違う場所で戦ったりすればライエル様の怒りは晴れないでしょう。
「あれっ……エメリア様?……大事な精霊を1体忘れていませんこと?その、世界で唯一のレア属性を持つの美しい淑女のような精霊がいたと思うのですが……」
「ありがたい。では、準備をさせるのでしばし待て。あまりにもそなたに利点のない話ではある故、我が褒美を出そう。それにここは冥界。仮に負けても死にはせぬようにするゆえ、安心して全力で戦ってほしい」
『そうでしたか。ご配慮ありがとうございます』
「ありがとうございます」
そのような配慮までいただいては、なおさら負けられませんわね。
私は入念に自らの状態を確認して戦いに備えました。
地面に座り込んでいじけ始めたメロディアレーゼ様の頭を撫でながら……。
「ふふふ。ツンデレというやつね!あぁ~もう、エメリア様♡」
撫でるんじゃなかった……。
このまま回れ右をして現世に戻っても良いでしょうか?
正直、状況がぶっ飛びすぎて理解を超えていきそうです。
私は間違いなくこの手でライエル様を倒したはずです。
倒すべきは魔族の最後にして最古の四天王であるハルガラヴェスでした。
そのハルガラヴェスが取り憑いたライエル様に一縷の望みをかけて聖属性魔法を使ったのです。
聖属性魔法であれば、完全に闇に染まってなければあわよくば生命だけは残らないかと思いました……。
しかし、同化してしまっていたのかライエル様も一緒に……消し飛ばしたはずです。
「そうだ。そしてあのものはここへやって来た。死者としてな。しかし……」
そこから説明されたライエル様の所業は耳を疑うほど残酷なものでした。
死してなお、聖属性魔法で倒されてなお、私に対しての怒りや恨みが消えなかったそうです。
そして冥界での審判は当然ながら地獄での浄化となったが、素直に従わなかったために神の金槌で叩き潰され、文字通り地獄に落とされたそうです。
それでも強い怒りが消えず、這い出してきてあそこに陣取っているようです。
泣きわめくたびに地獄の看守が冥界のこん棒で殴りつけていたらしいのですが、全く意思を変えないため匙を投げられたそうです。
「そうだったのですね。そんなにもライエル様は……」
それで神様も困っていたとのこと……。
「そなたに罪はないことは我が証明しよう。しかし冥界の番人も地獄の看守も面倒臭がって近寄らんのだ。それで放置していたのだが、まさか地上に魔力を放ったと聞いて対処を考えておったところだ」
それでこのように困った表情というか、呆れた表情をされていたのですね。
神様を困らせるとは、ライエル様……とんでもないですわね。
それは国王陛下や私などではどうしようもできないはずです。
「たとえば彼が愛したものたちに説得させてみるとか……?」
思い浮かぶのはスーメリアや、あのエロフ……ラーヴェと言いましたか……。彼女たちならライエル様に声を届かせることができるかもしれません。
「それができぬのだ。ラーヴェというものは特に浄化が必要なものではなかったのですでに転生済みだ」
なるほど。たしかに、ちょっと婚約者がいる男性との恋を楽しんだだけでは魂の罪とは言えませんわね。
「スーメリアという女も、もうこの世界は懲り懲りだとぼやいて浄化を受け入れた後、さっさと別世界に転生していった」
まさか、スーメリアもですか。
あんなにもライエル様に付き従っていたというのに……まぁ死んでしまったのですから、さっさと流して次に行くのは正しい選択だとは思います。
「そもそも死ねば情念は薄まるのだ。肉体を失うのだからな。それにもかかわらずあそこまで強い執念を持ち続けるというのは一種の才能ではある。もし魔族などが発見すれば、よい傀儡になるだろう。もちろん我の視界の中でそのようなことを許すことはないがな」
たしかに魔族と結託されたら面倒です。
ライエル様の放った黒い影のモンスターは、夜にしか出てこないことや、拠点を移動しないことなどの制約があるように見えました。
そこを魔族や他のモンスターに補われてしまうとかなりやっかいです。
「いっそ、そなたに一度戦ってもらえないだろうか?」
「はっ?」
どうすればよいか、対処法を考えていたら神様がとんでもないことを仰いました。
それは俗に言う丸投げというやつでは?
「ここは生きとし生けるものが辿り着く最後の場所だ。そんな場所での最終決戦。それに負けたら大人しく来世の門をくぐれとでも言えば、諦めるやもしれぬ」
さすがは神様のお言葉。説得力というか、もしかしたらそうかもと思わせる威厳を伴っています。
もちろん、私もかつての婚約者でかつての仲間です。
残念な結果に終わりましたが、彼が穢れをはらって来世に向かうためのお手伝いということであれば、協力することもやぶさかではありません。
『1つ、よろしいでしょうか?』
「なんだ?」
シャドー様が神様に尋ねました。どうされたのでしょうか?
『この場所には精霊の多くはやってこれません。となると、エメリア様の力は制限されることになります。一方で、ライエルの怒りは燃え滾り、執念によって強化されています。この場で戦うのは不利ではないでしょうか?』
「かまいませんわ。魔力は十分にありますし、ここまでついてきてくださったシャドー様とシルフィード様のお力を借りれれば十分ですわ」
私は力強く宣言しました。
ご心配はありがたいですが、もしそれで違う場所で戦ったりすればライエル様の怒りは晴れないでしょう。
「あれっ……エメリア様?……大事な精霊を1体忘れていませんこと?その、世界で唯一のレア属性を持つの美しい淑女のような精霊がいたと思うのですが……」
「ありがたい。では、準備をさせるのでしばし待て。あまりにもそなたに利点のない話ではある故、我が褒美を出そう。それにここは冥界。仮に負けても死にはせぬようにするゆえ、安心して全力で戦ってほしい」
『そうでしたか。ご配慮ありがとうございます』
「ありがとうございます」
そのような配慮までいただいては、なおさら負けられませんわね。
私は入念に自らの状態を確認して戦いに備えました。
地面に座り込んでいじけ始めたメロディアレーゼ様の頭を撫でながら……。
「ふふふ。ツンデレというやつね!あぁ~もう、エメリア様♡」
撫でるんじゃなかった……。
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