32 / 48
第2章 魔王の魔力の残滓を追って
第32話 勇者ざまぁ⑮魔力の残滓
しおりを挟む
side 精霊術師エメリア
最後の四天王と魔王の魔力の残滓を追い求めて世界中の精霊に協力してもらって発見した手掛かりを追って北のザグラッド大陸についた私はなぜかライエル王子とスーメリアを発見しました。
えっ?
どういうことでしょうか?
私は見つけた王子たちに質問しましたが、なぜかライエル王子に斬りつけられ、魔法を放たれたのです。
もちろん防ぎましたが……。
そんな攻防の中で、私が連れて来たモルドゥカ様がライエル王子たちを調べているようだったので、しばらく戦闘に付き合いました。
するとモルドゥカ様がよってきて結果を教えてくれます。
「そういうことですか。失礼します、ライエル王子」
「なっ、ぐぅっ……」
私はライエル王子を魔法を使って眠らせました。
これから起こることはきっと王子には耐えがたいことでしょうから。
そうして私はスーメリアを睨みます。
「まさか魔力の残滓があなたに取り憑いていたとは……いつからかは知りませんが、成敗させていただきます……あっ、待ちなさい!」
しかし、スーメリアは私を見ることもなく走って逃げていきました。
なんなのですか?
私はここまで運んできてくれたシルフィード様にお願いしてスーメリアを追いかけました。
当然すぐに追いついたので魔法でスーメリアを押さえつけます。
「〇※?◇△」
スーメリアは何かを呟いていますが、聞き取れませんし……どうやら人の言葉ではないようです。
呟き終えたのか、彼女が口を閉じるとなんと彼女の背中から黒い大きな影が出てきました。
「ようやく観念しましたね、魔王の魔力の残滓……いえ、最後の四天王にして魔族の闇の支配者・ハルガラヴェス!」
その黒い影はこれまで魔族を裏から操り続けてきた卑怯者……そう、大精霊様がたから聞いています。
何か理由があったのかもしれませんが、その行為は結果として世界を戦火に包み、多くの者を不幸にしたのです。私の弟も。
その責任はちゃんととってもらいますよ?
「ぐぶぉ……よくぞここまで追ってきたものだ……貴様はこの我が消し去ってくれよう」
観念したのかハルガラヴェスは私の言葉に応えました。
どう考えても力を失っているように見えるのですが、なにか手があるのでしょうか?
わかりませんが、とりあえず戦えばわかること。
私は光の魔法を使おうと……
「私のエメリアに汚らわしい目を向けるとは許せないな。塵も残さず消し去ってやろう。ホーリーレイ!!!」
「ぐぉあぁぁああああああ!!!!!!」
したのに、光の精霊であるルクシオン様が勝手に発現して勝手に光魔法をぶっ放して勝手に倒してしまいました。
「え~と、ルクシオン様?」
「ふむ、どこも汚れていないな。ふぅ、このハルガラヴェスという魔族は隙を作るとすぐに取り憑いてくるし、取り憑かなくても残滓をまき散らしてくる。もし倒したと思っても残滓が残っていれば再生してくるからやっかいなのだ」
なるほど、特性をご存じだったから嫌な状況になる前に対処したということでしょうか。
「わかりました。納得しました。ありがとうございます」
「うむ」
お礼を伝えると嬉しそうなのは可愛いのですが、事前に教えておいてもらえたら助かりますね。
「そうして倒したと思い込んで残滓を逃すのだの」
「なっ……他にもまき散らしていると?」
得意そうなルクシオン様にモルドゥカ様が少し馬鹿にしたように声を掛けます。
すみません、私もそうだと思いました。
今の話を聞くと、あれだけ一緒にいてライエル様に残滓を植え付けていないとは思えなかったので。
『グルォオオォォオオオオオオ!!!!!』
案の定、ライエル王子を眠らせた方から魔物のような声がします。
つまりそういうことでしょう。
重ね重ね事前に教えておいてもらえたら助かりますね。
戻ってみると、体のまわりに黒い魔力を漂わせたライエル王子……もう顔も体もいたるところに黒い魔力線が走り、血走った目となり、なぜか背中に魔王のように黒い翼を生やしてしまっています。
これはもう、元に戻ることはできないでしょうか……?
『キサマヲ殺ス!絶対二許サン!』
そう言いながらふらふらと状態を揺らしてライエル王子だったものが向かってきます。
どうにかしてライエル王子を助け出すことはできないでしょうか?
精霊たちは無理だと伝えてきます。
それに、お父様から聞いた話によると国王陛下を斬りつけて逃走したということですから、もう助け出しても未来はないでしょうか。
思えば、彼にはずっと振り回されてきました。
自分がやりたいことをやりたい、自分は偉い、自分は凄い、周りは僕の言うことを聞け、些事は全ていいようにやっておけ、というような方でしたから。
うん、ごめんなさい。
私は何かを間違えたのでしょうか?
もしかしたら結婚していたかもしれない相手です。
もしかしたら今も共に戦っていたかもしれない相手……。
私は甘やかしすぎたのでしょうか?
むっ……。
私は襲い掛かってきたライエル様だったものの攻撃を避けます。
いけませんね、自省している場合ではありません。
こうなってしまってはもう、倒すことだけが彼を救う方法のようです。
すでに自我もないようですし、一思いに行きます。
「セイクリッドバースト!×2」
私の聖属性魔法によって、ライエル王子についていたハルガラヴェスが消えていきます。
同時にハルガラヴェスと同化していたライエル王子の精神も……。
やはりダメでしたか……。
聖属性魔法であれば、完全に闇に染まってなければあわよくば生命だけは残らないかと思いましたが……。
すみません、力不足でした。
さようなら、ライエル王子。
最後の四天王と魔王の魔力の残滓を追い求めて世界中の精霊に協力してもらって発見した手掛かりを追って北のザグラッド大陸についた私はなぜかライエル王子とスーメリアを発見しました。
えっ?
どういうことでしょうか?
私は見つけた王子たちに質問しましたが、なぜかライエル王子に斬りつけられ、魔法を放たれたのです。
もちろん防ぎましたが……。
そんな攻防の中で、私が連れて来たモルドゥカ様がライエル王子たちを調べているようだったので、しばらく戦闘に付き合いました。
するとモルドゥカ様がよってきて結果を教えてくれます。
「そういうことですか。失礼します、ライエル王子」
「なっ、ぐぅっ……」
私はライエル王子を魔法を使って眠らせました。
これから起こることはきっと王子には耐えがたいことでしょうから。
そうして私はスーメリアを睨みます。
「まさか魔力の残滓があなたに取り憑いていたとは……いつからかは知りませんが、成敗させていただきます……あっ、待ちなさい!」
しかし、スーメリアは私を見ることもなく走って逃げていきました。
なんなのですか?
私はここまで運んできてくれたシルフィード様にお願いしてスーメリアを追いかけました。
当然すぐに追いついたので魔法でスーメリアを押さえつけます。
「〇※?◇△」
スーメリアは何かを呟いていますが、聞き取れませんし……どうやら人の言葉ではないようです。
呟き終えたのか、彼女が口を閉じるとなんと彼女の背中から黒い大きな影が出てきました。
「ようやく観念しましたね、魔王の魔力の残滓……いえ、最後の四天王にして魔族の闇の支配者・ハルガラヴェス!」
その黒い影はこれまで魔族を裏から操り続けてきた卑怯者……そう、大精霊様がたから聞いています。
何か理由があったのかもしれませんが、その行為は結果として世界を戦火に包み、多くの者を不幸にしたのです。私の弟も。
その責任はちゃんととってもらいますよ?
「ぐぶぉ……よくぞここまで追ってきたものだ……貴様はこの我が消し去ってくれよう」
観念したのかハルガラヴェスは私の言葉に応えました。
どう考えても力を失っているように見えるのですが、なにか手があるのでしょうか?
わかりませんが、とりあえず戦えばわかること。
私は光の魔法を使おうと……
「私のエメリアに汚らわしい目を向けるとは許せないな。塵も残さず消し去ってやろう。ホーリーレイ!!!」
「ぐぉあぁぁああああああ!!!!!!」
したのに、光の精霊であるルクシオン様が勝手に発現して勝手に光魔法をぶっ放して勝手に倒してしまいました。
「え~と、ルクシオン様?」
「ふむ、どこも汚れていないな。ふぅ、このハルガラヴェスという魔族は隙を作るとすぐに取り憑いてくるし、取り憑かなくても残滓をまき散らしてくる。もし倒したと思っても残滓が残っていれば再生してくるからやっかいなのだ」
なるほど、特性をご存じだったから嫌な状況になる前に対処したということでしょうか。
「わかりました。納得しました。ありがとうございます」
「うむ」
お礼を伝えると嬉しそうなのは可愛いのですが、事前に教えておいてもらえたら助かりますね。
「そうして倒したと思い込んで残滓を逃すのだの」
「なっ……他にもまき散らしていると?」
得意そうなルクシオン様にモルドゥカ様が少し馬鹿にしたように声を掛けます。
すみません、私もそうだと思いました。
今の話を聞くと、あれだけ一緒にいてライエル様に残滓を植え付けていないとは思えなかったので。
『グルォオオォォオオオオオオ!!!!!』
案の定、ライエル王子を眠らせた方から魔物のような声がします。
つまりそういうことでしょう。
重ね重ね事前に教えておいてもらえたら助かりますね。
戻ってみると、体のまわりに黒い魔力を漂わせたライエル王子……もう顔も体もいたるところに黒い魔力線が走り、血走った目となり、なぜか背中に魔王のように黒い翼を生やしてしまっています。
これはもう、元に戻ることはできないでしょうか……?
『キサマヲ殺ス!絶対二許サン!』
そう言いながらふらふらと状態を揺らしてライエル王子だったものが向かってきます。
どうにかしてライエル王子を助け出すことはできないでしょうか?
精霊たちは無理だと伝えてきます。
それに、お父様から聞いた話によると国王陛下を斬りつけて逃走したということですから、もう助け出しても未来はないでしょうか。
思えば、彼にはずっと振り回されてきました。
自分がやりたいことをやりたい、自分は偉い、自分は凄い、周りは僕の言うことを聞け、些事は全ていいようにやっておけ、というような方でしたから。
うん、ごめんなさい。
私は何かを間違えたのでしょうか?
もしかしたら結婚していたかもしれない相手です。
もしかしたら今も共に戦っていたかもしれない相手……。
私は甘やかしすぎたのでしょうか?
むっ……。
私は襲い掛かってきたライエル様だったものの攻撃を避けます。
いけませんね、自省している場合ではありません。
こうなってしまってはもう、倒すことだけが彼を救う方法のようです。
すでに自我もないようですし、一思いに行きます。
「セイクリッドバースト!×2」
私の聖属性魔法によって、ライエル王子についていたハルガラヴェスが消えていきます。
同時にハルガラヴェスと同化していたライエル王子の精神も……。
やはりダメでしたか……。
聖属性魔法であれば、完全に闇に染まってなければあわよくば生命だけは残らないかと思いましたが……。
すみません、力不足でした。
さようなら、ライエル王子。
322
お気に入りに追加
1,337
あなたにおすすめの小説
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
婚約破棄された令嬢の父親は最強?
岡暁舟
恋愛
婚約破棄された公爵令嬢マリアの父親であるフレンツェルは世界最強と謳われた兵士だった。そんな彼が、不義理である婚約破棄に激怒して元婚約者である第一王子スミスに復讐する物語。
【完結】リクエストにお答えして、今から『悪役令嬢』です。
野菜ばたけ@既刊5冊📚好評発売中!
恋愛
「断罪……? いいえ、ただの事実確認ですよ。」
***
ただ求められるままに生きてきた私は、ある日王子との婚約解消と極刑を突きつけられる。
しかし王子から「お前は『悪』だ」と言われ、周りから冷たい視線に晒されて、私は気づいてしまったのだ。
――あぁ、今私に求められているのは『悪役』なのだ、と。
今まで溜まっていた鬱憤も、ずっとしてきた我慢も。
それら全てを吐き出して私は今、「彼らが望む『悪役』」へと変貌する。
これは従順だった公爵令嬢が一転、異色の『悪役』として王族達を相手取り、様々な真実を紐解き果たす。
そんな復讐と解放と恋の物語。
◇ ◆ ◇
※カクヨムではさっぱり断罪版を、アルファポリスでは恋愛色強めで書いています。
さっぱり断罪が好み、または読み比べたいという方は、カクヨムへお越しください。
カクヨムへのリンクは画面下部に貼ってあります。
※カクヨム版が『カクヨムWeb小説短編賞2020』中間選考作品に選ばれました。
選考結果如何では、こちらの作品を削除する可能性もありますので悪しからず。
※表紙絵はフリー素材を拝借しました。
悪役令嬢を陥れようとして失敗したヒロインのその後
柚木崎 史乃
ファンタジー
女伯グリゼルダはもう不惑の歳だが、過去に起こしたスキャンダルが原因で異性から敬遠され未だに独身だった。
二十二年前、グリゼルダは恋仲になった王太子と結託して彼の婚約者である公爵令嬢を陥れようとした。
けれど、返り討ちに遭ってしまい、結局恋人である王太子とも破局してしまったのだ。
ある時、グリゼルダは王都で開かれた仮面舞踏会に参加する。そこで、トラヴィスという年下の青年と知り合ったグリゼルダは彼と恋仲になった。そして、どんどん彼に夢中になっていく。
だが、ある日。トラヴィスは、突然グリゼルダの前から姿を消してしまう。グリゼルダはショックのあまり倒れてしまい、気づいた時には病院のベッドの上にいた。
グリゼルダは、心配そうに自分の顔を覗き込む執事にトラヴィスと連絡が取れなくなってしまったことを伝える。すると、執事は首を傾げた。
そして、困惑した様子でグリゼルダに尋ねたのだ。「トラヴィスって、一体誰ですか? そんな方、この世に存在しませんよね?」と──。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
【完結】物置小屋の魔法使いの娘~父の再婚相手と義妹に家を追い出され、婚約者には捨てられた。でも、私は……
buchi
恋愛
大公爵家の父が再婚して新しくやって来たのは、義母と義妹。当たり前のようにダーナの部屋を取り上げ、義妹のマチルダのものに。そして社交界への出入りを禁止し、館の隣の物置小屋に移動するよう命じた。ダーナは亡くなった母の血を受け継いで魔法が使えた。これまでは使う必要がなかった。だけど、汚い小屋に閉じ込められた時は、使用人がいるので自粛していた魔法力を存分に使った。魔法力のことは、母と母と同じ国から嫁いできた王妃様だけが知る秘密だった。
みすぼらしい物置小屋はパラダイスに。だけど、ある晩、王太子殿下のフィルがダーナを心配になってやって来て……
悪役令嬢にざまぁされた王子のその後
柚木崎 史乃
ファンタジー
王子アルフレッドは、婚約者である侯爵令嬢レティシアに窃盗の濡れ衣を着せ陥れようとした罪で父王から廃嫡を言い渡され、国外に追放された。
その後、炭鉱の町で鉱夫として働くアルフレッドは反省するどころかレティシアや彼女の味方をした弟への恨みを募らせていく。
そんなある日、アルフレッドは行く当てのない訳ありの少女マリエルを拾う。
マリエルを養子として迎え、共に生活するうちにアルフレッドはやがて自身の過去の過ちを猛省するようになり改心していった。
人生がいい方向に変わったように見えたが……平穏な生活は長く続かず、事態は思わぬ方向へ動き出したのだった。
交換された花嫁
秘密 (秘翠ミツキ)
恋愛
「お姉さんなんだから我慢なさい」
お姉さんなんだから…お姉さんなんだから…
我儘で自由奔放な妹の所為で昔からそればかり言われ続けてきた。ずっと我慢してきたが。公爵令嬢のヒロインは16歳になり婚約者が妹と共に出来きたが…まさかの展開が。
「お姉様の婚約者頂戴」
妹がヒロインの婚約者を寝取ってしまい、終いには頂戴と言う始末。両親に話すが…。
「お姉さんなのだから、交換して上げなさい」
流石に婚約者を交換するのは…不味いのでは…。
結局ヒロインは妹の要求通りに婚約者を交換した。
そしてヒロインは仕方無しに嫁いで行くが、夫である第2王子にはどうやら想い人がいるらしく…。
神託の聖女様~偽義妹を置き去りにすることにしました
青の雀
恋愛
半年前に両親を亡くした公爵令嬢のバレンシアは、相続権を王位から認められ、晴れて公爵位を叙勲されることになった。
それから半年後、突如現れた義妹と称する女に王太子殿下との婚約まで奪われることになったため、怒りに任せて家出をするはずが、公爵家の使用人もろとも家を出ることに……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる