15 / 48
第1章 なんで私が追放なのよ!
第15話 勇者ざまぁ⑦脆くも崩れ去る勇者パーティー
しおりを挟む
side 勇者ライエル
「来たぞ!防げ!」
「はい、ライエル様!……うわ~」
何度目かわからないアイアントレントの襲撃を、これまでと同じようにロヴェニエルに防がせてから攻撃しようとした僕たちだったが、ロヴェニエルが叩きつけられた枝を防げず、後方に飛ばされてしまった。
そして、そのままの勢いで襲ってきた枝を……
スパ~~~~ン!!!
ゴロゴロゴロゴロ
ディルクが斬った。
「ロヴェニエル!ヒール!」
レーテが後方に飛ばされたロヴェニエルを即座に回復させる。
「全員構えろ!でかいぞ!」
そして警戒を促す。
僕たちを襲ってきたのはこれまでより大きなアイアントレント……上位種か?
「メタルトレントです!特性はアイアントレントと同じく打撃防御がありますが、さらに魔法防御(小)をもっています。弱点属性は同じで雷、地です!」
足を止めて鑑定していたスーメリアが敵の特徴を言い放つ。
なるほど、今回の上位種はほぼ大きいだけだな。
僕はディルクと顔を見合わせ、雷属性の魔力を剣にまとわせて斬りかかる。
「くらえ!雷光剣!!!」
「雷光斬!!!」
そして僕とディルクはメタルトレントに斬撃をお見舞いした。
僕らの攻撃は見事にメタルトレントを切り裂き、メタルトレントは崩れ落ちた。
やったぞ。
やはりこのパーティーなら進んで行ける。
エメリアなど不要だ。
どうせ嘘で固めたお前には……剣士とやらに頼っているお前にはここは超えられまい。
せいぜい苦戦しろ!
そして僕の誘いを断ったことを後悔しろ!
今さら泣いて謝っても入れてはやらないがな。
「ライエル様!さすがですわ!」
スーメリアが駆け寄ってきてくれる。
僕が最初に攻撃を受けたロヴェニエルの方をみると、レーテが回復させたのか、2人ともこちらに向かってきていた。
「すみません、ライエル様。初撃で飛ばされてしまい」
そしてロヴェニエルが神妙な顔つきで謝ってくる。
「怪我は残っていないか?問題ない。初見の敵だ。慎重に行こう」
僕はそう言うとパーティーを促し、探索を続けた。
ロヴェニエルの顔が少し赤いようだが、何も言ってこないしあっさり飛ばされたことを恥じているのかもしれない。
「前回のダイヤウルフたちのことを考えると、ここも上位のトレントたちが出てくるのでしょうか?メタルトレント以上となると、陣形を考えた方が……?」
スーメリアが歩きながら少し不安げに聞いてくる。
確かにそうだ。
僕もそう思っていた。
ロヴェニエルが防げない一撃を放ってくる敵が来た場合、劣勢の状態から始めることになってしまう。
「ここからは大盾を構えて進むようにします。防御魔法もかけておけば先ほどの魔物以上の攻撃でも耐えられますので」
ロヴェニエルは大剣を鞘に仕舞うと、大盾を掲げて進んで行く。
あれほどの攻撃に耐えているのだから特に責める気持ちはないが、彼女は何かを気負っているのだろうか?
まぁ、有効に思えるので異論はない。
僕が了承すると、ロヴェニエルにレーテが防御呪文をかける。
レーテは僕を観察していたようだったが……。
そこから少し進んだころに見つけた広場に足を踏み入れると急に視界が明るくなった。
上を見上げると太陽があった。
そこは森の木々が生い茂る中で不自然に上空が開いた場所だった。
周囲がトレントたちの群れで襲ってくるということもない。
僕たちは久しぶりの太陽の姿を捕らえながら、少し休息をとろうとした。
しかし……
「王子様!ここはダメだ!離れろ!」
ディルクが焦った様子で警告を発してくる。
周りに動くものはない。なのになぜそんなに焦るのかわからなかったので、対応が遅れた。
キィイイィィイイイイイイインンンンン!!!
なんだ?何の音だ?
「王子様、早く!伏せろ!!!」
なお、焦っているディルク……
ばしぃいいぃぃいいいいんんん!!!!!
ぐはっ……
上から何かが降ってきて、僕はそれを食らってしまった。
「なっ、ライエル様!!!」
スーメリアが口をおさえて驚いている。
「来たぞ!デカいぞ!ロヴェニエル、守れ!!!」
ディルクが叫んでいる。
「もうやってます!レーテ様は森へ!!!ライエル様大丈夫ですか?ヒール!!!」
大盾を上に向けて構えたロヴェニエルが僕のもとにやってきて、僕を上空からその盾で隠し、回復魔法をかけてくれる。
「これはなんだ?なにが襲ってきた?」
僕は飛び起きてスーメリアを見る。
「ライエル様!これはミスリルトレントです!メタルトレントたちの上位種で、かなり大きいようです!弱点はメタルトレントと同じ。特性として魔法防御(中)がついています。急いで森の中へ逃げてください!」
スーメリアも僕を森の中へ戻るよう促してくる。
僕とロヴェニエルと一緒に彼女の盾に隠れながら広場から森の方へ移動しようとした。
「あっ、あぶ……」
ドゴーーーーーン!!!!!!!!
「ぐぅ……」
レーテが何かを言おうとしていたが、その言葉が終わる前にひときわ強力な衝撃がロヴェニエルの大盾を襲う。
僕もロヴェニエルと一緒に盾を支えるが、その衝撃に腕がしびれている。
「なっ……なんだ!?」
ドゴーーーーーン!!!!!!!!
「ぐぅ……」
あと10歩ほどで森に入るというところで再び衝撃が来る。
くそっ、ミスリルトレントめ。連続で固い枝を振り下ろしてきているのか?
僕とロヴェニエルはなんとか歩くが……。
ドゴーーーーーン!!!!!!!!
「ぐぁ……」
しかし、ついに衝撃でロヴェニエルが倒れてしまう。
なにやってるんだ!
ここで見捨てたら前回と同じだ。
見捨てたなんて評価は許せない。
なにも知らないやつらがエメリアの罠にはまって言いたい放題言いやがって……。
僕はロヴェニエルを抱いて支え、反対の手で大盾を支え、足を踏み出したが……
「ライエル様!!!」
掲げた大盾の下から見えたのはスーメリアの悲壮な顔……。
ドゴーーーーーン!!!!!!!!
「うわぁ……」
その枝は横から飛んできた。
これまでの大盾への衝撃は囮だったらしい……。
僕とロヴェニエルは殴り飛ばされた。
「来たぞ!防げ!」
「はい、ライエル様!……うわ~」
何度目かわからないアイアントレントの襲撃を、これまでと同じようにロヴェニエルに防がせてから攻撃しようとした僕たちだったが、ロヴェニエルが叩きつけられた枝を防げず、後方に飛ばされてしまった。
そして、そのままの勢いで襲ってきた枝を……
スパ~~~~ン!!!
ゴロゴロゴロゴロ
ディルクが斬った。
「ロヴェニエル!ヒール!」
レーテが後方に飛ばされたロヴェニエルを即座に回復させる。
「全員構えろ!でかいぞ!」
そして警戒を促す。
僕たちを襲ってきたのはこれまでより大きなアイアントレント……上位種か?
「メタルトレントです!特性はアイアントレントと同じく打撃防御がありますが、さらに魔法防御(小)をもっています。弱点属性は同じで雷、地です!」
足を止めて鑑定していたスーメリアが敵の特徴を言い放つ。
なるほど、今回の上位種はほぼ大きいだけだな。
僕はディルクと顔を見合わせ、雷属性の魔力を剣にまとわせて斬りかかる。
「くらえ!雷光剣!!!」
「雷光斬!!!」
そして僕とディルクはメタルトレントに斬撃をお見舞いした。
僕らの攻撃は見事にメタルトレントを切り裂き、メタルトレントは崩れ落ちた。
やったぞ。
やはりこのパーティーなら進んで行ける。
エメリアなど不要だ。
どうせ嘘で固めたお前には……剣士とやらに頼っているお前にはここは超えられまい。
せいぜい苦戦しろ!
そして僕の誘いを断ったことを後悔しろ!
今さら泣いて謝っても入れてはやらないがな。
「ライエル様!さすがですわ!」
スーメリアが駆け寄ってきてくれる。
僕が最初に攻撃を受けたロヴェニエルの方をみると、レーテが回復させたのか、2人ともこちらに向かってきていた。
「すみません、ライエル様。初撃で飛ばされてしまい」
そしてロヴェニエルが神妙な顔つきで謝ってくる。
「怪我は残っていないか?問題ない。初見の敵だ。慎重に行こう」
僕はそう言うとパーティーを促し、探索を続けた。
ロヴェニエルの顔が少し赤いようだが、何も言ってこないしあっさり飛ばされたことを恥じているのかもしれない。
「前回のダイヤウルフたちのことを考えると、ここも上位のトレントたちが出てくるのでしょうか?メタルトレント以上となると、陣形を考えた方が……?」
スーメリアが歩きながら少し不安げに聞いてくる。
確かにそうだ。
僕もそう思っていた。
ロヴェニエルが防げない一撃を放ってくる敵が来た場合、劣勢の状態から始めることになってしまう。
「ここからは大盾を構えて進むようにします。防御魔法もかけておけば先ほどの魔物以上の攻撃でも耐えられますので」
ロヴェニエルは大剣を鞘に仕舞うと、大盾を掲げて進んで行く。
あれほどの攻撃に耐えているのだから特に責める気持ちはないが、彼女は何かを気負っているのだろうか?
まぁ、有効に思えるので異論はない。
僕が了承すると、ロヴェニエルにレーテが防御呪文をかける。
レーテは僕を観察していたようだったが……。
そこから少し進んだころに見つけた広場に足を踏み入れると急に視界が明るくなった。
上を見上げると太陽があった。
そこは森の木々が生い茂る中で不自然に上空が開いた場所だった。
周囲がトレントたちの群れで襲ってくるということもない。
僕たちは久しぶりの太陽の姿を捕らえながら、少し休息をとろうとした。
しかし……
「王子様!ここはダメだ!離れろ!」
ディルクが焦った様子で警告を発してくる。
周りに動くものはない。なのになぜそんなに焦るのかわからなかったので、対応が遅れた。
キィイイィィイイイイイイインンンンン!!!
なんだ?何の音だ?
「王子様、早く!伏せろ!!!」
なお、焦っているディルク……
ばしぃいいぃぃいいいいんんん!!!!!
ぐはっ……
上から何かが降ってきて、僕はそれを食らってしまった。
「なっ、ライエル様!!!」
スーメリアが口をおさえて驚いている。
「来たぞ!デカいぞ!ロヴェニエル、守れ!!!」
ディルクが叫んでいる。
「もうやってます!レーテ様は森へ!!!ライエル様大丈夫ですか?ヒール!!!」
大盾を上に向けて構えたロヴェニエルが僕のもとにやってきて、僕を上空からその盾で隠し、回復魔法をかけてくれる。
「これはなんだ?なにが襲ってきた?」
僕は飛び起きてスーメリアを見る。
「ライエル様!これはミスリルトレントです!メタルトレントたちの上位種で、かなり大きいようです!弱点はメタルトレントと同じ。特性として魔法防御(中)がついています。急いで森の中へ逃げてください!」
スーメリアも僕を森の中へ戻るよう促してくる。
僕とロヴェニエルと一緒に彼女の盾に隠れながら広場から森の方へ移動しようとした。
「あっ、あぶ……」
ドゴーーーーーン!!!!!!!!
「ぐぅ……」
レーテが何かを言おうとしていたが、その言葉が終わる前にひときわ強力な衝撃がロヴェニエルの大盾を襲う。
僕もロヴェニエルと一緒に盾を支えるが、その衝撃に腕がしびれている。
「なっ……なんだ!?」
ドゴーーーーーン!!!!!!!!
「ぐぅ……」
あと10歩ほどで森に入るというところで再び衝撃が来る。
くそっ、ミスリルトレントめ。連続で固い枝を振り下ろしてきているのか?
僕とロヴェニエルはなんとか歩くが……。
ドゴーーーーーン!!!!!!!!
「ぐぁ……」
しかし、ついに衝撃でロヴェニエルが倒れてしまう。
なにやってるんだ!
ここで見捨てたら前回と同じだ。
見捨てたなんて評価は許せない。
なにも知らないやつらがエメリアの罠にはまって言いたい放題言いやがって……。
僕はロヴェニエルを抱いて支え、反対の手で大盾を支え、足を踏み出したが……
「ライエル様!!!」
掲げた大盾の下から見えたのはスーメリアの悲壮な顔……。
ドゴーーーーーン!!!!!!!!
「うわぁ……」
その枝は横から飛んできた。
これまでの大盾への衝撃は囮だったらしい……。
僕とロヴェニエルは殴り飛ばされた。
568
お気に入りに追加
1,345
あなたにおすすめの小説
【完】前世で種を疑われて処刑されたので、今世では全力で回避します。
112
恋愛
エリザベスは皇太子殿下の子を身籠った。産まれてくる我が子を待ち望んだ。だがある時、殿下に他の男と密通したと疑われ、弁解も虚しく即日処刑された。二十歳の春の事だった。
目覚めると、時を遡っていた。時を遡った以上、自分はやり直しの機会を与えられたのだと思った。皇太子殿下の妃に選ばれ、結ばれ、子を宿したのが運の尽きだった。
死にたくない。あんな最期になりたくない。
そんな未来に決してならないように、生きようと心に決めた。
【完結】捨ててください
仲 奈華 (nakanaka)
恋愛
ずっと貴方の側にいた。
でも、あの人と再会してから貴方は私ではなく、あの人を見つめるようになった。
分かっている。
貴方は私の事を愛していない。
私は貴方の側にいるだけで良かったのに。
貴方が、あの人の側へ行きたいと悩んでいる事が私に伝わってくる。
もういいの。
ありがとう貴方。
もう私の事は、、、
捨ててください。
続編投稿しました。
初回完結6月25日
第2回目完結7月18日
側妃、で御座いますか?承知いたしました、ただし条件があります。
とうや
恋愛
「私はシャーロットを妻にしようと思う。君は側妃になってくれ」
成婚の儀を迎える半年前。王太子セオドアは、15年も婚約者だったエマにそう言った。微笑んだままのエマ・シーグローブ公爵令嬢と、驚きの余り硬直する近衛騎士ケイレブ・シェパード。幼馴染だった3人の関係は、シャーロットという少女によって崩れた。
「側妃、で御座いますか?承知いたしました、ただし条件があります」
********************************************
ATTENTION
********************************************
*世界軸は『側近候補を外されて覚醒したら〜』あたりの、なんちゃってヨーロッパ風。魔法はあるけれど魔王もいないし神様も遠い存在。そんなご都合主義で設定うすうすの世界です。
*いつものような残酷な表現はありませんが、倫理観に難ありで軽い胸糞です。タグを良くご覧ください。
*R-15は保険です。
【完結】婚約破棄される前に私は毒を呷って死にます!当然でしょう?私は王太子妃になるはずだったんですから。どの道、只ではすみません。
つくも茄子
恋愛
フリッツ王太子の婚約者が毒を呷った。
彼女は筆頭公爵家のアレクサンドラ・ウジェーヌ・ヘッセン。
なぜ、彼女は毒を自ら飲み干したのか?
それは婚約者のフリッツ王太子からの婚約破棄が原因であった。
恋人の男爵令嬢を正妃にするためにアレクサンドラを罠に嵌めようとしたのだ。
その中の一人は、アレクサンドラの実弟もいた。
更に宰相の息子と近衛騎士団長の嫡男も、王太子と男爵令嬢の味方であった。
婚約者として王家の全てを知るアレクサンドラは、このまま婚約破棄が成立されればどうなるのかを知っていた。そして自分がどういう立場なのかも痛いほど理解していたのだ。
生死の境から生還したアレクサンドラが目を覚ました時には、全てが様変わりしていた。国の将来のため、必要な処置であった。
婚約破棄を宣言した王太子達のその後は、彼らが思い描いていたバラ色の人生ではなかった。
後悔、悲しみ、憎悪、果てしない負の連鎖の果てに、彼らが手にしたものとは。
「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルバ」にも投稿しています。
【完結】本当の悪役令嬢とは
仲村 嘉高
恋愛
転生者である『ヒロイン』は知らなかった。
甘やかされて育った第二王子は気付かなかった。
『ヒロイン』である男爵令嬢のとりまきで、第二王子の側近でもある騎士団長子息も、魔法師協会会長の孫も、大商会の跡取りも、伯爵令息も
公爵家の本気というものを。
※HOT最高1位!ありがとうございます!
挙式後すぐに離婚届を手渡された私は、この結婚は予め捨てられることが確定していた事実を知らされました
結城芙由奈
恋愛
【結婚した日に、「君にこれを預けておく」と離婚届を手渡されました】
今日、私は子供の頃からずっと大好きだった人と結婚した。しかし、式の後に絶望的な事を彼に言われた。
「ごめん、本当は君とは結婚したくなかったんだ。これを預けておくから、その気になったら提出してくれ」
そう言って手渡されたのは何と離婚届けだった。
そしてどこまでも冷たい態度の夫の行動に傷つけられていく私。
けれどその裏には私の知らない、ある深い事情が隠されていた。
その真意を知った時、私は―。
※暫く鬱展開が続きます
※他サイトでも投稿中
旦那様、離婚しましょう ~私は冒険者になるのでご心配なくっ~
榎夜
恋愛
私と旦那様は白い結婚だ。体の関係どころか手を繋ぐ事もしたことがない。
ある日突然、旦那の子供を身籠ったという女性に離婚を要求された。
別に構いませんが......じゃあ、冒険者にでもなろうかしら?
ー全50話ー
【完結】どうやら私は婚約破棄されるそうです。その前に舞台から消えたいと思います
りまり
恋愛
私の名前はアリスと言います。
伯爵家の娘ですが、今度妹ができるそうです。
母を亡くしてはや五年私も十歳になりましたし、いい加減お父様にもと思った時に後妻さんがいらっしゃったのです。
その方にも九歳になる娘がいるのですがとてもかわいいのです。
でもその方たちの名前を聞いた時ショックでした。
毎日見る夢に出てくる方だったのです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる