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第1章 なんで私が追放なのよ!
第3話 勇者ざまぁ① 仮初の活躍
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side 勇者ライエル
予定通り精霊術師エメリアを追放した僕たちは支度を整え、ロデリグ大陸に渡った。
ラーヴェが転移の魔道具を使う許可が3日経ってもおりなかったからもう無視した。
転移の魔道具を管理する神官たちがなにやら言ってきたが、金を与えて黙らせた。
エルフの王族だぞ?お前らの一存で機嫌を損ねたらどうしてくれるつもりだ。
「ここは魔力の深い土地ですね」
ラーヴェは闇を防ぐ魔道具の外套を羽織ってその美しい肢体を隠している。
昨晩のように撫でてやってもいいんだが、敵が出てくるかもしれない場所ではさすがに控える。
「心配せずとも、昨日も言ったように僕が魔を切り裂いた後に回復などをしてくれればいい」
僕は安心させるようにそう言うと、ラーヴェは僕の腕に手を絡めてくる。
可愛いやつだな。
「ここから北に行くと村があるらしいが、それは無視だ。僕たちの目的はこの大陸の解放なのだから魔族を倒すべきだからな」
「さすがですわ、ライエル様」
スーメリアはいつものように僕の計画に賛同する。
ディルクは無言だが、ついてくる。
これだ。これこそ求めていた状況だ。
いつも小うるさく僕の計画に異を唱える小賢しくて可愛げのない精霊術士など不要だったんだ。
危険な魔物がいるから気をつけろ、アイテムの補充が必要だ、食糧調達は考えているのか、罠に気を付けて……そんなことはお前がやっておけよ。
なぜ王子であり、勇者の僕がそんなことを考えないといけないんだよ。
そんな面倒なことを言わないパーティー。
最高だ!
そうして森を歩いていくと……
グルルルルルルルル!!!!!
出てきたのは前回の探索でも頻繁に出てきたダイアウルフという魔物。
それが4体。
この森は狼型の魔物の巣窟なのかと思うほど、狼型の魔物ばかり出てくる。
だが、僕の敵ではないな。
「シャインスラッシュ!!!」
ギュアオーー!!
闇属性であることが分かっているので、弱点となる聖属性の斬撃をお見舞いしてやったら4体ともあっけなく死んでいった。
「すごいです……ライエル様」
「さすがですわ、ライエル様」
うむ。
潤んだ目で僕を称賛してくれるラーヴェとスーメリアのおかげで僕はもっと強くなれそうだ!
「次が来る……」
いつも気を抜かない戦士ディルクが次の魔物の到来を告げてくる。
「ふん。何体来たって同じだ。僕が切り裂いてやるさ!」
僕は剣を掲げてディルクが警戒している方を見た。
グルォォオオォォオオオオオオ!!!!
「ん?」
出てきたのは先ほどより大きな狼型の魔物だが、まぁ僕の敵ではないだろう。
僕は先ほどと同じように聖属性の魔法をまとった剣を振るう。
「いくぞ!シャインスラッシュ!!!」
ガキィン!!!
「なっ……」
こいつ、僕の斬撃を弾きやがった。
そして唸り声をあげながら牙をむいて飛び掛かってくる。
グルォォオオォォオオオオオオ!!!!
「ぐぅ……」
僕は牙による攻撃を剣で防ぐ。
こいつ……強い。
「ライエル様!?いけません、ウインドカッター!!!」
ナイスだスーメリア。
僕は魔法の刃が当たるタイミングで後ろに飛ぶ……
グルォォオオォォ~~~ン!!!
が、なんとこいつは首を振ってウインドカッターを弾きやがった。
「ぐお……」
弾かれたウインドカッターが僕に降りかかる。
「なっ……」
「バカ、スーメリア!なにやってんだよ!?」
「すっ、すみません、ライエル様」
痛い……。くそ、使えない魔法使いめ!
どうする……。
「……」
スタタタタタタタ……シャキーーン!
グルォォオオオオ
ウインドカッターによってできた隙を突き、ディルクが走り込んで狼の魔物を切り裂いた。
「大丈夫か、王子?どうもこいつは魔法を弾くらしい。魔法は使わず、ただの斬撃の方がいい」
そうだったのか。
それなら僕でも倒せる。
ダイアウルフと同じと思って聖属性を乗せた魔法剣を使ったのが間違いか。
「すみません、ライエル様」
スーメリアが申し訳なさそうに謝ってくる。
くそっ、お前は鑑定係なんだからちゃんとやれと怒りそうになったが、僕は冷静に注意を促すにとどめた。
エメリアであれば言わなくてもやっていたんだぞ?
「スーメリア!初見の魔物が出たときには先に鑑定してくれ!」
「わかりました。あいつはエルダーウルフというのですね……魔法反射という特性を持っていますね……」
のんびりとした口調で鑑定した情報を読み上げるスーメリア。
調子が狂うな。頼むからちゃんとやってくれ。
こんな探検の序盤で手こずってる場合じゃないんだぞ?
グルォォオオォォ~~~ン!!!
グルォォオオォォオオオオオ!!!
また来やがった。今度は2体か?
そう思って振り向いた僕たちの前にはぞろぞろとエルダーウルフが出てくる……。
驚きのためその様子を見守ってしまったが、なんと30体以上のエルダーウルフがいた。
しかも、唖然とする僕らを知ってか知らずか、その後ろから悠然と姿を現した2体の青白い狼型の魔物はエルダーウルフよりもさらに大きくないか?
予定通り精霊術師エメリアを追放した僕たちは支度を整え、ロデリグ大陸に渡った。
ラーヴェが転移の魔道具を使う許可が3日経ってもおりなかったからもう無視した。
転移の魔道具を管理する神官たちがなにやら言ってきたが、金を与えて黙らせた。
エルフの王族だぞ?お前らの一存で機嫌を損ねたらどうしてくれるつもりだ。
「ここは魔力の深い土地ですね」
ラーヴェは闇を防ぐ魔道具の外套を羽織ってその美しい肢体を隠している。
昨晩のように撫でてやってもいいんだが、敵が出てくるかもしれない場所ではさすがに控える。
「心配せずとも、昨日も言ったように僕が魔を切り裂いた後に回復などをしてくれればいい」
僕は安心させるようにそう言うと、ラーヴェは僕の腕に手を絡めてくる。
可愛いやつだな。
「ここから北に行くと村があるらしいが、それは無視だ。僕たちの目的はこの大陸の解放なのだから魔族を倒すべきだからな」
「さすがですわ、ライエル様」
スーメリアはいつものように僕の計画に賛同する。
ディルクは無言だが、ついてくる。
これだ。これこそ求めていた状況だ。
いつも小うるさく僕の計画に異を唱える小賢しくて可愛げのない精霊術士など不要だったんだ。
危険な魔物がいるから気をつけろ、アイテムの補充が必要だ、食糧調達は考えているのか、罠に気を付けて……そんなことはお前がやっておけよ。
なぜ王子であり、勇者の僕がそんなことを考えないといけないんだよ。
そんな面倒なことを言わないパーティー。
最高だ!
そうして森を歩いていくと……
グルルルルルルルル!!!!!
出てきたのは前回の探索でも頻繁に出てきたダイアウルフという魔物。
それが4体。
この森は狼型の魔物の巣窟なのかと思うほど、狼型の魔物ばかり出てくる。
だが、僕の敵ではないな。
「シャインスラッシュ!!!」
ギュアオーー!!
闇属性であることが分かっているので、弱点となる聖属性の斬撃をお見舞いしてやったら4体ともあっけなく死んでいった。
「すごいです……ライエル様」
「さすがですわ、ライエル様」
うむ。
潤んだ目で僕を称賛してくれるラーヴェとスーメリアのおかげで僕はもっと強くなれそうだ!
「次が来る……」
いつも気を抜かない戦士ディルクが次の魔物の到来を告げてくる。
「ふん。何体来たって同じだ。僕が切り裂いてやるさ!」
僕は剣を掲げてディルクが警戒している方を見た。
グルォォオオォォオオオオオオ!!!!
「ん?」
出てきたのは先ほどより大きな狼型の魔物だが、まぁ僕の敵ではないだろう。
僕は先ほどと同じように聖属性の魔法をまとった剣を振るう。
「いくぞ!シャインスラッシュ!!!」
ガキィン!!!
「なっ……」
こいつ、僕の斬撃を弾きやがった。
そして唸り声をあげながら牙をむいて飛び掛かってくる。
グルォォオオォォオオオオオオ!!!!
「ぐぅ……」
僕は牙による攻撃を剣で防ぐ。
こいつ……強い。
「ライエル様!?いけません、ウインドカッター!!!」
ナイスだスーメリア。
僕は魔法の刃が当たるタイミングで後ろに飛ぶ……
グルォォオオォォ~~~ン!!!
が、なんとこいつは首を振ってウインドカッターを弾きやがった。
「ぐお……」
弾かれたウインドカッターが僕に降りかかる。
「なっ……」
「バカ、スーメリア!なにやってんだよ!?」
「すっ、すみません、ライエル様」
痛い……。くそ、使えない魔法使いめ!
どうする……。
「……」
スタタタタタタタ……シャキーーン!
グルォォオオオオ
ウインドカッターによってできた隙を突き、ディルクが走り込んで狼の魔物を切り裂いた。
「大丈夫か、王子?どうもこいつは魔法を弾くらしい。魔法は使わず、ただの斬撃の方がいい」
そうだったのか。
それなら僕でも倒せる。
ダイアウルフと同じと思って聖属性を乗せた魔法剣を使ったのが間違いか。
「すみません、ライエル様」
スーメリアが申し訳なさそうに謝ってくる。
くそっ、お前は鑑定係なんだからちゃんとやれと怒りそうになったが、僕は冷静に注意を促すにとどめた。
エメリアであれば言わなくてもやっていたんだぞ?
「スーメリア!初見の魔物が出たときには先に鑑定してくれ!」
「わかりました。あいつはエルダーウルフというのですね……魔法反射という特性を持っていますね……」
のんびりとした口調で鑑定した情報を読み上げるスーメリア。
調子が狂うな。頼むからちゃんとやってくれ。
こんな探検の序盤で手こずってる場合じゃないんだぞ?
グルォォオオォォ~~~ン!!!
グルォォオオォォオオオオオ!!!
また来やがった。今度は2体か?
そう思って振り向いた僕たちの前にはぞろぞろとエルダーウルフが出てくる……。
驚きのためその様子を見守ってしまったが、なんと30体以上のエルダーウルフがいた。
しかも、唖然とする僕らを知ってか知らずか、その後ろから悠然と姿を現した2体の青白い狼型の魔物はエルダーウルフよりもさらに大きくないか?
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