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第19話 一方その頃ギード王子たちは⑦
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翌日……
「申し訳ございません、陛下」
余の前で頭を下げているオルフェ。それをさも当然のような顔をして余を責めるような目つきで見つめている王子。
「王妃が先に魔石を出すよう要求してきて渡してしまったじゃと!?」
「はい……私とギード王子の婚約を知った王妃様が、ならこれからはそちらにお願いするわ。私に魔石を融通してほしいの。守護結界に投入するなんてもったいないからそれを貰っていたんだけど、そもそも直接貰うようにすれば見回りの騎士を騙す必要はないのでしょう? ちょっとだけ心苦しかったのよ。それに下卑た騎士団長の相手をするのも……と仰られて、我が家に魔石を要求されたようです。てっきり陛下やギード王子もご存じのことと考えてお渡ししたようなのですが……」
「待て待て待て待て!!!!今までも守護結界の魔道具に投入するはずの魔石を貰っていたじゃと!?」
「だから言ったのです、父上。これまでも投入していなかったのなら、特に問題はないでしょう」
「たわけが!!! 守護結界の魔道具の見回りの兵士を呼べ! 今すぐにじゃ!!!」
「はっ」
大臣にだけは余の困惑が伝わったようで、彼はすぐに兵士見習いを呼んできた。
「すっ、すみません、オラなにかしたですか?」
待て、なぜ見習いなのじゃ?
なぜ正式な騎士が来ぬ。何も知らずにキョロキョロしてるものを呼んできてもどう考えても無意味じゃろうが!
「すっすみません。騎士団長に聞いたところ、見回りは騎士見習いに行かせているとのことだったので……」
「バカもの! 完全にサボっているだけではないか! 全員処刑してやろうか!?」
「ひっ……」
余の言葉で見習いの兵士が縮み上がる。
「おっ、お待ちください。少なくとも守護結界の魔道具の見回りはしているはずなのです。様子の確認を」
「守護結界の魔道具ですか? オラは一昨日雇われた見習いなのでまだやったことがないです」
「はぁ……それなら見回りをしていた見習いというのに心当たりはないのか?」
「前にいた人はやめたって聞いたです。地下でおかしな声が聞こえたり、小刻みに揺れたりしてるらしくて、怖くなったらしいのです。先輩が臆病者のクソ野郎って言ってましたです」
それは守護結界が解けかかっているからじゃないだろうな……。
もう嫌じゃ。
さぼってるやつら、収賄してる王妃、最悪じゃ。
「そういうことなら、やはり魔石は必要ないでしょう」
そしてギード王子が耳を疑う言葉を吐く。
「何を言っておるのじゃ」
「恐らくもう守護結界は解けているのでしょう。それで不思議な声がする程度。であれば、騎士団と魔法師団を投入して討伐すればよいのです。何百年前かには強大な魔物だったのかもしれませんが、魔法技術は日々発展しています。それこそ災厄の魔物が出現したのは何百年も前のことだったはずです。倒しましょう、父上。ということでまた魔石を探しますが、それは私が遣わせていただきます」
誰かこのバカを止めてくれ。
技術は発展している?
騎士団と魔法師団で倒す?
お前の頭はお花畑か!?
確かに魔法技術は発展している。だが、それは一部の研究者や、魔法師団の上層部の話だ。
事実、モンスターのランクなどこの1,000年変わっておらぬ。
Aランクモンスターは驚異のままだし、Sランクモンスターは災厄のままなのじゃ。
せいぜいオークとかが倒しやすくなった程度。
そんなことをぬかすなら自分で倒しに行って来い! 余は逃げるがな!!!
そこへ王妃がやってくる。
いつから魔石を盗っていた……。
「魔石ですか? 嫌ですわ、盗っていたなどと。わたくしは少しばかり頂いただけですわ」
「言い方の問題ではないのだ! いつから守護結界の魔道具への投入をやめていたのじゃ!?」
「そんなことは存じませんわ。なにせこの王家はケチだからお金が必要になったら魔石を頂くことを教えてくださったのはお義母さまですわ」
「なっ……」
まさか何十年にもわたってそんなことを?
「王妃様、失礼します。それは全てということではないということですか? 投入される魔石の中の一部を貰っていたということでしょうか?」
「えぇ、そうですわ。魔法に明るいお義母さまによると、週に2,3個持っていくくらいなら問題ないとのことでした」
2,3個じゃと?
そもそもケチとはどういうことだ!?
充分な予算をくれてやっていただろうが!!!
「ちなみに王妃様。昨今ではそもそも週に5個しか投入していませんでした。先代の頃の半分です。それはご存じではなかったのでしょうか?」
「知りませんわ、そんなこと。私はただ聞いたことを実行していただけですわ。騎士団長も何も言わず渡してくれましたし」
……。もう嫌じゃ。
その後呼びつけた騎士団長の言葉に愕然とした。
「もともと週2回兵士が魔石を入れていたのを1回は見習い行かせて魔石を投入をさせていなかっただと? 兵士にも過去の半分以下の数しか投入させていない状態だっただと……?」
寧ろ今までよくもちこたえたものだな。
……
とでも言うと思ったのがバカどもが!?!?
クビじゃクビ!!!
全員死ね!
なぜ誰も災厄の魔物の恐ろしさを知らぬのだ。
15年前まで生きていた"魔女"は口を酸っぱくして言っておったじゃろう。
ギードたちの世代が知らぬのは無理もないが、王妃の世代は知っていてしかるべきじゃろう!!!
「母上、ずるいではないですか。私が使うはずのものを!」
そしてお前は今言うことがそれか?
お前が継ぐ国などなくなるかもしれんのだぞ???
ずっご~~~~~~ん!!!!!!!!!!
凄まじい音が響き、王城が揺れる。
「なっ、なんだ?」
『長きにわたり我を封印してきた者どもよ!!!すべて滅ぼしてくれるわ!!!!!!!』
おぞましい声が響き渡り、直後に激しい揺れが起こり、王城は崩落した。
余は咄嗟に目の前にいたものを盾にしてしゃがみこんだのだった……。
「申し訳ございません、陛下」
余の前で頭を下げているオルフェ。それをさも当然のような顔をして余を責めるような目つきで見つめている王子。
「王妃が先に魔石を出すよう要求してきて渡してしまったじゃと!?」
「はい……私とギード王子の婚約を知った王妃様が、ならこれからはそちらにお願いするわ。私に魔石を融通してほしいの。守護結界に投入するなんてもったいないからそれを貰っていたんだけど、そもそも直接貰うようにすれば見回りの騎士を騙す必要はないのでしょう? ちょっとだけ心苦しかったのよ。それに下卑た騎士団長の相手をするのも……と仰られて、我が家に魔石を要求されたようです。てっきり陛下やギード王子もご存じのことと考えてお渡ししたようなのですが……」
「待て待て待て待て!!!!今までも守護結界の魔道具に投入するはずの魔石を貰っていたじゃと!?」
「だから言ったのです、父上。これまでも投入していなかったのなら、特に問題はないでしょう」
「たわけが!!! 守護結界の魔道具の見回りの兵士を呼べ! 今すぐにじゃ!!!」
「はっ」
大臣にだけは余の困惑が伝わったようで、彼はすぐに兵士見習いを呼んできた。
「すっ、すみません、オラなにかしたですか?」
待て、なぜ見習いなのじゃ?
なぜ正式な騎士が来ぬ。何も知らずにキョロキョロしてるものを呼んできてもどう考えても無意味じゃろうが!
「すっすみません。騎士団長に聞いたところ、見回りは騎士見習いに行かせているとのことだったので……」
「バカもの! 完全にサボっているだけではないか! 全員処刑してやろうか!?」
「ひっ……」
余の言葉で見習いの兵士が縮み上がる。
「おっ、お待ちください。少なくとも守護結界の魔道具の見回りはしているはずなのです。様子の確認を」
「守護結界の魔道具ですか? オラは一昨日雇われた見習いなのでまだやったことがないです」
「はぁ……それなら見回りをしていた見習いというのに心当たりはないのか?」
「前にいた人はやめたって聞いたです。地下でおかしな声が聞こえたり、小刻みに揺れたりしてるらしくて、怖くなったらしいのです。先輩が臆病者のクソ野郎って言ってましたです」
それは守護結界が解けかかっているからじゃないだろうな……。
もう嫌じゃ。
さぼってるやつら、収賄してる王妃、最悪じゃ。
「そういうことなら、やはり魔石は必要ないでしょう」
そしてギード王子が耳を疑う言葉を吐く。
「何を言っておるのじゃ」
「恐らくもう守護結界は解けているのでしょう。それで不思議な声がする程度。であれば、騎士団と魔法師団を投入して討伐すればよいのです。何百年前かには強大な魔物だったのかもしれませんが、魔法技術は日々発展しています。それこそ災厄の魔物が出現したのは何百年も前のことだったはずです。倒しましょう、父上。ということでまた魔石を探しますが、それは私が遣わせていただきます」
誰かこのバカを止めてくれ。
技術は発展している?
騎士団と魔法師団で倒す?
お前の頭はお花畑か!?
確かに魔法技術は発展している。だが、それは一部の研究者や、魔法師団の上層部の話だ。
事実、モンスターのランクなどこの1,000年変わっておらぬ。
Aランクモンスターは驚異のままだし、Sランクモンスターは災厄のままなのじゃ。
せいぜいオークとかが倒しやすくなった程度。
そんなことをぬかすなら自分で倒しに行って来い! 余は逃げるがな!!!
そこへ王妃がやってくる。
いつから魔石を盗っていた……。
「魔石ですか? 嫌ですわ、盗っていたなどと。わたくしは少しばかり頂いただけですわ」
「言い方の問題ではないのだ! いつから守護結界の魔道具への投入をやめていたのじゃ!?」
「そんなことは存じませんわ。なにせこの王家はケチだからお金が必要になったら魔石を頂くことを教えてくださったのはお義母さまですわ」
「なっ……」
まさか何十年にもわたってそんなことを?
「王妃様、失礼します。それは全てということではないということですか? 投入される魔石の中の一部を貰っていたということでしょうか?」
「えぇ、そうですわ。魔法に明るいお義母さまによると、週に2,3個持っていくくらいなら問題ないとのことでした」
2,3個じゃと?
そもそもケチとはどういうことだ!?
充分な予算をくれてやっていただろうが!!!
「ちなみに王妃様。昨今ではそもそも週に5個しか投入していませんでした。先代の頃の半分です。それはご存じではなかったのでしょうか?」
「知りませんわ、そんなこと。私はただ聞いたことを実行していただけですわ。騎士団長も何も言わず渡してくれましたし」
……。もう嫌じゃ。
その後呼びつけた騎士団長の言葉に愕然とした。
「もともと週2回兵士が魔石を入れていたのを1回は見習い行かせて魔石を投入をさせていなかっただと? 兵士にも過去の半分以下の数しか投入させていない状態だっただと……?」
寧ろ今までよくもちこたえたものだな。
……
とでも言うと思ったのがバカどもが!?!?
クビじゃクビ!!!
全員死ね!
なぜ誰も災厄の魔物の恐ろしさを知らぬのだ。
15年前まで生きていた"魔女"は口を酸っぱくして言っておったじゃろう。
ギードたちの世代が知らぬのは無理もないが、王妃の世代は知っていてしかるべきじゃろう!!!
「母上、ずるいではないですか。私が使うはずのものを!」
そしてお前は今言うことがそれか?
お前が継ぐ国などなくなるかもしれんのだぞ???
ずっご~~~~~~ん!!!!!!!!!!
凄まじい音が響き、王城が揺れる。
「なっ、なんだ?」
『長きにわたり我を封印してきた者どもよ!!!すべて滅ぼしてくれるわ!!!!!!!』
おぞましい声が響き渡り、直後に激しい揺れが起こり、王城は崩落した。
余は咄嗟に目の前にいたものを盾にしてしゃがみこんだのだった……。
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