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第13話 お兄様は時たま無自覚で殺人級の笑顔を振りまくから要注意だった件(エフィ視点)
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□エルダーウィズ公爵邸に戻る馬車の中で (エフィ)
今日はとっても、とっても、とっても素敵な1日でした。
優しいお兄様とのでっ……デート……。
誘われたときにはびっくりしてしまったけど、とっても嬉しかった。
こんな私を誘ってくれるなんて。
そしてメイドさんたちに着せ替え人形にされた。
化粧なんて普段しないから本当にこれでいいのか分からなかったけど、髪の毛と合わせてセットしてくれて、見たこともないアクセサリーを付けられ、信じられないような美しいドレスを着せてもらった。
そう言えば婚約者だったギード王子からこういった贈り物をもらったことはない。
思い出すと少し悲しくなってしまうけど、ないものはない。
だからこれがどこから出てきたものなのかわからなかった。
だから素直にメイドさんに聞いたら肩を抱かれて同情された。
そして教えてくれた。
全部クラムお兄様が用意してくれたものだって。
ちょっと……完璧すぎるよお兄様。
妹だからってここまでしてくれるものなのかな?
にやけてしまう。
大切にしてくれていることがわかるから。
嬉しさが込み上げてきて、止まらない。
それにデートコースは私の希望を最大限に聞いてくれた。
正直お芝居だけはちょっとつまらなかったけど、食事はとても美味しかったし、馬車の中でのお兄様のユーモアのあるお話は楽しかった。途中変な音がしてお兄様が一瞬真面目な顔になった時は緊張したけど、すぐに収まったようでよかったわ。
それに最後に寄ってくれた魔道具屋さんでは興味深い話を聞けたし、買い物もさせてもらった。
なんと売っていた魔法陣の中に、今研究しているものに似た記載があるものがあった。
すぐにでもその魔法陣を持って研究室に行きたかったが、さすがにそれはまずいわよね……。
大事そうに魔法陣を抱える私を見てお兄様は微笑んでくれたけども。
それから、実はシックな見た目で、とても高性能な杖があったから、それも気になったんだけど、なんとか抑えたわ。
あれは私にはまだ早いだろうから。
もし働いたとして購入するのにどれだけ時間がかかることやら……。
それでも、魔力の伝導率はよさそうだし、素直そうな良い杖だったな……。
「エフィ、少し疲れさせてしまったかい?」
考え事をしていたらお兄様に話しかけられた。
いけない。デートなのに……こんなに気を使ってもらったのに、私、なにも返せていない。
「いえ。とっても楽しかったです」
「それは良かった」
お兄様の綺麗な顔が笑顔になる。
眩しい……眩しいよお兄様。
一瞬落ち込みかけた気分があっさりと好転する。
お兄様は時たま無自覚で殺人級の笑顔を振りまくから要注意だったのを忘れていた。
妹ですらこれなんだから、お兄様に憧れる女性たちは今の一撃で失神するだろう。役得だ。
「研究に活かせそうな魔法陣があったのは嬉しかったです」
「そうだったのか。それで喜んでいたんだな」
「はい!」
あの魔法陣は人の過去と未来を覗き見る魔法だ。
凄すぎる。そんな魔法聞いたこともなかった。
そして間違いなく有用だ。
ほいほいと使うような類の魔法ではないことはわかっている。
でも、大事な人のことなら知りたいと思うものだろう。
それで誰かを助けられるかもしれないとしたら。
私なら使う。
もしお兄様の身に何かあることがわかったら、絶対になんとかしてあげたいから。
そのためにも解明する必要がある。
できれば提供者の望み通り省力化もしてあげたい。
必ず魔法史に残る研究となるだろう。公開はできないかもしれないけど。
「今日の記念に、これをプレゼントするよ」
「えっ……お兄様?」
私はびっくりした。それはあの魔道具屋さんで気になった杖だったから。
でもどうして?
私、一瞬見ただけだったのに。
憧れたけど、値段が見えたからすぐ視線を外したの。
なのに……。
「ふふ。兄の目に狂いはなかったな」
「お兄様……」
ちょっと恥ずかしい。もの欲しそうな目をしてしまっただろうか。はしたなくなかっただろうか。
「というのは嘘だよ。この落ち着いたフォルム。洗練されていて飾り気がない杖に惹かれたんだ。そしてきっと、エフィも気に入るだろうなと思って、買っておいたんだ」
「お兄様……」
どうやら私の語彙が死んだらしい。
驚きと嬉しさと暖かさで頭がどうにかなりそう。
大好き、お兄様♡
どうしてこんなに優しくしてくれるんだろう。
どうしてこんなに暖かくしてくれるんだろう。
どうしてこんなに大事にしてくれるんだろう。
私の中には答えがない。
私がお兄様に何かしてあげられたことなんかない。
それなのにお兄様はいつも優しい。いつも話を聞いてくれる。いつも慰めてくれるし、一緒に考えてくれるし、一緒に笑ってくれる。
なんで?
私、まずいよ……。
だってお兄様なのにさ……。
婚約破棄された私にはもう相手なんか現れそうにないから、ずっと一人でもいいんだけどさ。
お兄様が結婚するってなったら……。
だめよ、エフィ。
こんなに優しいお兄様なんだから、私が枷になってどうする。
きっと泣いてしまうけど、泣き叫んじゃうかもしれないけど。
それまでは妹の特権で隣に居てもいいよね?
それくらい許してくれるよね?
ありがとう、お兄様。
こんな私を愛してくれて……。
今日はとっても、とっても、とっても素敵な1日でした。
優しいお兄様とのでっ……デート……。
誘われたときにはびっくりしてしまったけど、とっても嬉しかった。
こんな私を誘ってくれるなんて。
そしてメイドさんたちに着せ替え人形にされた。
化粧なんて普段しないから本当にこれでいいのか分からなかったけど、髪の毛と合わせてセットしてくれて、見たこともないアクセサリーを付けられ、信じられないような美しいドレスを着せてもらった。
そう言えば婚約者だったギード王子からこういった贈り物をもらったことはない。
思い出すと少し悲しくなってしまうけど、ないものはない。
だからこれがどこから出てきたものなのかわからなかった。
だから素直にメイドさんに聞いたら肩を抱かれて同情された。
そして教えてくれた。
全部クラムお兄様が用意してくれたものだって。
ちょっと……完璧すぎるよお兄様。
妹だからってここまでしてくれるものなのかな?
にやけてしまう。
大切にしてくれていることがわかるから。
嬉しさが込み上げてきて、止まらない。
それにデートコースは私の希望を最大限に聞いてくれた。
正直お芝居だけはちょっとつまらなかったけど、食事はとても美味しかったし、馬車の中でのお兄様のユーモアのあるお話は楽しかった。途中変な音がしてお兄様が一瞬真面目な顔になった時は緊張したけど、すぐに収まったようでよかったわ。
それに最後に寄ってくれた魔道具屋さんでは興味深い話を聞けたし、買い物もさせてもらった。
なんと売っていた魔法陣の中に、今研究しているものに似た記載があるものがあった。
すぐにでもその魔法陣を持って研究室に行きたかったが、さすがにそれはまずいわよね……。
大事そうに魔法陣を抱える私を見てお兄様は微笑んでくれたけども。
それから、実はシックな見た目で、とても高性能な杖があったから、それも気になったんだけど、なんとか抑えたわ。
あれは私にはまだ早いだろうから。
もし働いたとして購入するのにどれだけ時間がかかることやら……。
それでも、魔力の伝導率はよさそうだし、素直そうな良い杖だったな……。
「エフィ、少し疲れさせてしまったかい?」
考え事をしていたらお兄様に話しかけられた。
いけない。デートなのに……こんなに気を使ってもらったのに、私、なにも返せていない。
「いえ。とっても楽しかったです」
「それは良かった」
お兄様の綺麗な顔が笑顔になる。
眩しい……眩しいよお兄様。
一瞬落ち込みかけた気分があっさりと好転する。
お兄様は時たま無自覚で殺人級の笑顔を振りまくから要注意だったのを忘れていた。
妹ですらこれなんだから、お兄様に憧れる女性たちは今の一撃で失神するだろう。役得だ。
「研究に活かせそうな魔法陣があったのは嬉しかったです」
「そうだったのか。それで喜んでいたんだな」
「はい!」
あの魔法陣は人の過去と未来を覗き見る魔法だ。
凄すぎる。そんな魔法聞いたこともなかった。
そして間違いなく有用だ。
ほいほいと使うような類の魔法ではないことはわかっている。
でも、大事な人のことなら知りたいと思うものだろう。
それで誰かを助けられるかもしれないとしたら。
私なら使う。
もしお兄様の身に何かあることがわかったら、絶対になんとかしてあげたいから。
そのためにも解明する必要がある。
できれば提供者の望み通り省力化もしてあげたい。
必ず魔法史に残る研究となるだろう。公開はできないかもしれないけど。
「今日の記念に、これをプレゼントするよ」
「えっ……お兄様?」
私はびっくりした。それはあの魔道具屋さんで気になった杖だったから。
でもどうして?
私、一瞬見ただけだったのに。
憧れたけど、値段が見えたからすぐ視線を外したの。
なのに……。
「ふふ。兄の目に狂いはなかったな」
「お兄様……」
ちょっと恥ずかしい。もの欲しそうな目をしてしまっただろうか。はしたなくなかっただろうか。
「というのは嘘だよ。この落ち着いたフォルム。洗練されていて飾り気がない杖に惹かれたんだ。そしてきっと、エフィも気に入るだろうなと思って、買っておいたんだ」
「お兄様……」
どうやら私の語彙が死んだらしい。
驚きと嬉しさと暖かさで頭がどうにかなりそう。
大好き、お兄様♡
どうしてこんなに優しくしてくれるんだろう。
どうしてこんなに暖かくしてくれるんだろう。
どうしてこんなに大事にしてくれるんだろう。
私の中には答えがない。
私がお兄様に何かしてあげられたことなんかない。
それなのにお兄様はいつも優しい。いつも話を聞いてくれる。いつも慰めてくれるし、一緒に考えてくれるし、一緒に笑ってくれる。
なんで?
私、まずいよ……。
だってお兄様なのにさ……。
婚約破棄された私にはもう相手なんか現れそうにないから、ずっと一人でもいいんだけどさ。
お兄様が結婚するってなったら……。
だめよ、エフィ。
こんなに優しいお兄様なんだから、私が枷になってどうする。
きっと泣いてしまうけど、泣き叫んじゃうかもしれないけど。
それまでは妹の特権で隣に居てもいいよね?
それくらい許してくれるよね?
ありがとう、お兄様。
こんな私を愛してくれて……。
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