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幕間
幕間 夢の間
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side リーゼル
結論から言うと、私、リーゼルは助かった……。
雪の中でもうダメだと思って倒れた私はギルド職員の手で助け出され、ビュラスの街に連れて行ってもらった。
手を出してはいけない魔物、フロストウッドガーディアンについてはビュラスの街へ向かう道中、馬車の中で説明してもらった。
なんという魔物に手を出したんだ、ガーロンは……。
そして私たちは……。
フロストウッドガーディアンの討伐レベルはSランクらしい。
そもそも勝てるわけがない。
そして、私たちが解き放ってしまったフロストウッドガーディアンを倒したやつがいるらしい。
私たちとは住む世界が違う冒険者なんだろう。
私を保護してくれたギルド職員も遠目でその戦いを見ていたらしいが、フロストウッドガーディアンは手も足も出ずに魔法を織り交ぜた剣撃2発で倒したらしい。
化け物すぎる。
私はあまりの巨大さと自らへの無力感、薄れていく気力の中で、フロストウッドガーディアンの目の前でへたり込んで気絶したはずだ……。
あんなモンスターをそんなあっさり倒すなんて、レベル差なんて軽い言葉では表せない。
「あんまりだよ……こんなの。ごめんよ……アナト。キミさえいれば……」
アナト……私は助かってしまったよ。
ガーロンもトージも逃げたらしいけど、フロストウッドガーディアンをダンジョンの外に出してしまって、その後叩きのめされたらしい。
雪に埋もれて死にかけていたところをギルド職員に発見されて、回復させてもらったものの、フロストウッドガーディアンを暴走させた罪で奴隷落ちが確定したそうだ。
あれだけビュラスの街のギルドでフロストウッドガーディアンについて聞いて、止められたにもかかわらず聞く耳を持たない反応をして出て行ったら、当然記憶には残る。
そしてフロストウッドガーディアンの暴走。
バカでもあの時の冒険者が手を出したであろうことを疑うだろう。
最後まで喚いていたらしいけど、ご愁傷様という言葉しか出ない。
ハルリも捕まって、彼女も奴隷にされたようだ。
ガーロンとトージを雪でつぶした後、フロストウッドガーディアンは彼女を追ってテルミナリアという温泉街の方に向かったらしい。
なんでもハルリは温泉街にフロストウッドガーディアンをぶつけて自分は逃げる算段だったらしい。
酷すぎる。
重ね重ね、フロストウッドガーディアンを倒した冒険者に感謝だ。
私は聞かれることに全て答えた。
私自身についてはフロストウッドガーディアンから敵認定されていなかったことで、罪には問われないらしい。
パーティーのリーダーでもないし、ギルドから出て行くパーティーの中で私が呆然としつつ半ば無理やり連れていかれるのを見てくれていたギルド職員がその事実を語って援護してくれたおかげだ。
最後の最後で助けられた。
助けられてしまった。
そして私は今、ルーベリットという街に向かっている。
この街は私の生まれ故郷の近くで、白魔導士として修業した街だ。
私は助かったし、ギルドからも許しを貰ったが、今回のこと、特にガーロンを止められなかったことやアナトを裏切ったことが自分では許せなかった。
私があのときなにか言えていれば……。
ガーロンがアナトに追放を言い渡したとき、私はなにも言えなかった。
豚貴族が恐ろしかった。
アナトのことは信頼していた。
彼のおかげで私たちのパーティーは上手くダンジョン探索を進められていたことは分かっていた。
なのにだ。
なのに、私はアナトのフォローができなかった。
そのせいで私は転落したんだ。
私自身の責任だ。
アナトは旅に出たらしい。
神殿で見てもらった後に。
それなら神敵のはずがない。神敵だったら神殿で即捕まるはずだ。
そこまで分かっていてなお、ガーロンに何も言えなかったんだ。
アナトは無事旅を終えてきっとエフリードの街に帰ってくるだろう。
そこでのうのうと顔を合わせることなんて、私にはできない。
今の私では。
だから私は生まれ故郷に近いこの街で修業して、自分で自分を鍛えるんだ。
アナト……。
いつか、会うことがあったら許してくれるかな?
どうしてあの時彼を援護してあげられなかったんだろう。
あんなむちゃくちゃな条件をガーロンが飲む前に。
こんな後悔をただ抱えていても、きっと彼は気にも留めない気がする。
根が良い人だから、普通にあったら「よぉ、元気か?」って言ってくれそうだ。
それでも、そんな未来は私自身が許せない。
ずっと抱えていた感情。
彼がいなくなってはじめて気付いたんだ。
いつもは彼との冒険は楽しくて、それでいてちょっとドキドキして。
そんなことは認めたくない自分もいて、彼にちょっと冷たく対応していた。
だから、きっと気付かれてもいない。
もしかしたら彼のことだから、旅の中で、良い人ができているかもしれない。
それでもいい。
私は私が許せるようになってから、彼に会いに行くんだ。
そういえば、アナトは私のことを男だと思ってるんだったか……?
普段喋らないトージが意地悪そうな顔で言っていたのを思い出した。
どうせ私には凹凸はないですよ~だ。
そんな風に拗ねたけど、女だと告げたとしてもなにも始まりはしないと思ったから彼には言ってない。
きっとガーロンも知らない。
あいつ、知っててあんなに殴ってきたんだったらもっと許せない。
クソやろうだ。
もうどうせ奴隷で鉱山とか炭鉱での強制労働送りだろうが、いい気味だ。
ルーベリットの神殿で修業して、神官として会いに行ったらアナトは驚くかな?
驚くというより、お互いの無事を喜べるだろうか?
受け入れてくれるかな?
嫌われていたらどうしよう……。
いや、嫌われていても仕方がないな。
それだったら諦めよう。
それでももう一度だけ、私はアナトに会いたい。
結論から言うと、私、リーゼルは助かった……。
雪の中でもうダメだと思って倒れた私はギルド職員の手で助け出され、ビュラスの街に連れて行ってもらった。
手を出してはいけない魔物、フロストウッドガーディアンについてはビュラスの街へ向かう道中、馬車の中で説明してもらった。
なんという魔物に手を出したんだ、ガーロンは……。
そして私たちは……。
フロストウッドガーディアンの討伐レベルはSランクらしい。
そもそも勝てるわけがない。
そして、私たちが解き放ってしまったフロストウッドガーディアンを倒したやつがいるらしい。
私たちとは住む世界が違う冒険者なんだろう。
私を保護してくれたギルド職員も遠目でその戦いを見ていたらしいが、フロストウッドガーディアンは手も足も出ずに魔法を織り交ぜた剣撃2発で倒したらしい。
化け物すぎる。
私はあまりの巨大さと自らへの無力感、薄れていく気力の中で、フロストウッドガーディアンの目の前でへたり込んで気絶したはずだ……。
あんなモンスターをそんなあっさり倒すなんて、レベル差なんて軽い言葉では表せない。
「あんまりだよ……こんなの。ごめんよ……アナト。キミさえいれば……」
アナト……私は助かってしまったよ。
ガーロンもトージも逃げたらしいけど、フロストウッドガーディアンをダンジョンの外に出してしまって、その後叩きのめされたらしい。
雪に埋もれて死にかけていたところをギルド職員に発見されて、回復させてもらったものの、フロストウッドガーディアンを暴走させた罪で奴隷落ちが確定したそうだ。
あれだけビュラスの街のギルドでフロストウッドガーディアンについて聞いて、止められたにもかかわらず聞く耳を持たない反応をして出て行ったら、当然記憶には残る。
そしてフロストウッドガーディアンの暴走。
バカでもあの時の冒険者が手を出したであろうことを疑うだろう。
最後まで喚いていたらしいけど、ご愁傷様という言葉しか出ない。
ハルリも捕まって、彼女も奴隷にされたようだ。
ガーロンとトージを雪でつぶした後、フロストウッドガーディアンは彼女を追ってテルミナリアという温泉街の方に向かったらしい。
なんでもハルリは温泉街にフロストウッドガーディアンをぶつけて自分は逃げる算段だったらしい。
酷すぎる。
重ね重ね、フロストウッドガーディアンを倒した冒険者に感謝だ。
私は聞かれることに全て答えた。
私自身についてはフロストウッドガーディアンから敵認定されていなかったことで、罪には問われないらしい。
パーティーのリーダーでもないし、ギルドから出て行くパーティーの中で私が呆然としつつ半ば無理やり連れていかれるのを見てくれていたギルド職員がその事実を語って援護してくれたおかげだ。
最後の最後で助けられた。
助けられてしまった。
そして私は今、ルーベリットという街に向かっている。
この街は私の生まれ故郷の近くで、白魔導士として修業した街だ。
私は助かったし、ギルドからも許しを貰ったが、今回のこと、特にガーロンを止められなかったことやアナトを裏切ったことが自分では許せなかった。
私があのときなにか言えていれば……。
ガーロンがアナトに追放を言い渡したとき、私はなにも言えなかった。
豚貴族が恐ろしかった。
アナトのことは信頼していた。
彼のおかげで私たちのパーティーは上手くダンジョン探索を進められていたことは分かっていた。
なのにだ。
なのに、私はアナトのフォローができなかった。
そのせいで私は転落したんだ。
私自身の責任だ。
アナトは旅に出たらしい。
神殿で見てもらった後に。
それなら神敵のはずがない。神敵だったら神殿で即捕まるはずだ。
そこまで分かっていてなお、ガーロンに何も言えなかったんだ。
アナトは無事旅を終えてきっとエフリードの街に帰ってくるだろう。
そこでのうのうと顔を合わせることなんて、私にはできない。
今の私では。
だから私は生まれ故郷に近いこの街で修業して、自分で自分を鍛えるんだ。
アナト……。
いつか、会うことがあったら許してくれるかな?
どうしてあの時彼を援護してあげられなかったんだろう。
あんなむちゃくちゃな条件をガーロンが飲む前に。
こんな後悔をただ抱えていても、きっと彼は気にも留めない気がする。
根が良い人だから、普通にあったら「よぉ、元気か?」って言ってくれそうだ。
それでも、そんな未来は私自身が許せない。
ずっと抱えていた感情。
彼がいなくなってはじめて気付いたんだ。
いつもは彼との冒険は楽しくて、それでいてちょっとドキドキして。
そんなことは認めたくない自分もいて、彼にちょっと冷たく対応していた。
だから、きっと気付かれてもいない。
もしかしたら彼のことだから、旅の中で、良い人ができているかもしれない。
それでもいい。
私は私が許せるようになってから、彼に会いに行くんだ。
そういえば、アナトは私のことを男だと思ってるんだったか……?
普段喋らないトージが意地悪そうな顔で言っていたのを思い出した。
どうせ私には凹凸はないですよ~だ。
そんな風に拗ねたけど、女だと告げたとしてもなにも始まりはしないと思ったから彼には言ってない。
きっとガーロンも知らない。
あいつ、知っててあんなに殴ってきたんだったらもっと許せない。
クソやろうだ。
もうどうせ奴隷で鉱山とか炭鉱での強制労働送りだろうが、いい気味だ。
ルーベリットの神殿で修業して、神官として会いに行ったらアナトは驚くかな?
驚くというより、お互いの無事を喜べるだろうか?
受け入れてくれるかな?
嫌われていたらどうしよう……。
いや、嫌われていても仕方がないな。
それだったら諦めよう。
それでももう一度だけ、私はアナトに会いたい。
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