上 下
31 / 43
第一章

第31話 神のイカズチ!!!

しおりを挟む
 バチバチ!!!

「ぎゃ~~~~~~!!!!!!!!!!!!!!!」
 なんだ?死ぬ!死ぬぅ!うわわわわわわ!!!!!

「えっ?だっ、大丈夫?なんでこんな室内で雷??アナト!ヒーリング!いや、マジックシールド!!アナト!!アナト!!???」
 ミ、ミ、ミル……ティ……ア!ア!ア!
 でんげきくるしいいいいいいいいい

「アナト!ヴァルキリープロテクトだよ!使って!ねぇ!早く!!!」
「ぐぅ、う、う、う、……ヴァ、ル、キ、リー、い、い、い、い、プ、ロ、テ、ク、ト!!!」
 俺を包み込むピンク色の光。
 ふぅ、助かった。楽になった。

「なんだったの?なんで室内で雷が???」
「いや、俺が聞きたいわ!なんで雷が???」
「あっ……」
「ん???」
 なんだ?なにか思い当たることでもあったのか?
 そういえばキミはよく俺に怒って電撃放つよね……。

「(ジト目)」
「うっ……」
 あきらかに動揺しているミルティア……怪しい。
 
「(ジト目)」
「いや、その……」
 なんだよ?言い淀むなよ。
 ちゃんと白状しろ!

「超絶美少女女神なボクと一緒に寝るなんて事態に、どこかの神さまが嫉妬したのかも!って、いたっ!!!」
 すっとぼけてますオーラ全開で俺の目を見ずに喋りだしたバカのオレンジ頭を俺はとりあえず無言で叩いておいた。

「なにするんだよアホアナト!?」
 当然肩を怒らせて抗議してくるが……
 
「人が本気で焦ってるのに。ふざけたこと言ってんじゃね~よ!バカミルティア!!!」
「うぅ……」
 一瞬で萎んだ。

 なんだ?
 いつもならもっと言い返してくるのにどうしたんだ?
 食いすぎか?

 まぁ、でも、もし本当にどこかの神様が嫉妬したんだったとしたら……やばくないか?俺、〇ろされる?
 でも、今までもずっとこうしてきたのに何で今さら?

「くそっ、良い気持ちで寝てたのに酷い目覚めだった」
「うぅ、ごめんね」
 なんでそんな申し訳なさげに謝る?

「まさかホントに?えっ?冗談だよな?いつもの『……嘘だぴょ~ん』ってやつだよな?なんか知らないうちに雷の神さまの怒りを買ってるとかないよな?なぁ?」
「ごめん……」
 そう言うとミルティアは張り詰めた表情で急いでどこかに行ってしまった。

 マジかよおい……。



 
 と思ったら帰ってきた。

「ごめんね。ちょっと文句言ってきたからもう大丈夫だよ!」
 あれ?なんか雰囲気違うんじゃないか?
 
「文句ってだれに!!?」
「雷神のバカおやじにだよ!」
「なにしてんだよ~~~~~~~~~~!!!!!!!」
「えっ?」
 バカじゃないのか?そんな神様に囲われてるならそう言えよ!
 戯神様に不調にされてるというだけで精神的にはきついんだからさ!

「いや、何を勘違いしてるのかわかんないけども……」
「勘違いなのか?戯神様にお願いしに行く途中で今度は雷神様の怒りも買うなんて勘弁してくれよ~と思ったけども!?」
 ようやくツキが回ってきたと思ったのによぉ。

「あぁ、そういうことか。それなら大丈夫だよ」
 なぜか問題ないと言い切るミルティア。
 
「ほんとに?」
「ほんとに」
 ならいいのか?でもなんで雷神様が?
 いや、聞くのが怖いな。

「朝からビビらせるなよ」
「ごめんよ。きつく言っといたからもう大丈夫だからね」
 そしてこいつは2級神なのに1級神である雷神に強く言えるような関係なのだろうか?
 えぇ?
 キミ、エラいの?
 

 あぁ、そうだ。きっとこんなことがあったのかな?

 * * * * * *
 
 ボクは耳を疑った。
 なぜかって?いまボクの化身からアナトがいきなり雷撃をくらったとかいうとんでもない報告が入ったからだ。

 そして……

「そう怒るな。ちょっと羨ましかったんじゃ」

 『じゃ』、じゃない。ボクのアナトに何をしてくれるんだ。

「なっ、なあ?遊神ちゃん。なぁ?」

 戦えば神界でも最強クラスと言われる雷神さまがなぜボクに対してこんなに下手なのかって?

「遊神ちゃん。なっ、怒らないでくれ」

 可愛らしいボクに向かって土下座してるこんな姿を他の神に見られたら威厳もなにもあったもんじゃない。

「お父さま……」

「はい!」

 そう、雷神さまはボクの父親だ。
 だから……つまり親バカなんだ。

 こう言えばもう変な手出しはないだろう。

 

「……きらい」

「ぐはっ!?」

 用は終わったからボクは戻るよ。
 じゃあね♡

 * * * * * *

 あくまでも俺の想像の話だけどな。
 
 
「ほんとに雷神様で、ほんとに何か文句言ったのか?」
 俺は恐る恐る聞いてみた。
 
「あぁ、もう大丈夫だよ」
 良い笑顔で答えるミルティア。
 
「お父さんに?」
「なぜそれを!?!?」
 えっ、まじで?
 そこで焦るの?
 本当にお父さんなの???

 
「そもそも神様にそんな親子みたいな関係性があったりするのか?」
 俺は疑問を口にしてしまった。
 
 そしてミルティアは教えてくれた。
 どうしたんだろう。やけに従順だな。

 そういえば、ボクのアナトって……。

 いやいやいや、あれは俺の妄想が生み出したもののはず。現実の出来事じゃないはず。
 妄想でもいいや……って、なんでだよ!
 ミルティアに惚れられるとか怖いだろ。

 ミルティアが言うには、属性を司る1級神、事象を司る2級神、上位神の支援をする3級神、力の弱い4級神、神と地上の生命との子供である5級神という区分けがあるが、その中には上位の神さまが生み出した神がたくさん存在するらしい。
 細かい関係性は置いておいて、雷神様が作り出した神様の1人が遊神らしいから、人間的に言えばお父さんになるんだそうだ。
 
 そして戯神も雷神様が生み出したんだそうだ……。
 雷神様、姉妹でなんでこんなに違うのですか?

 1級神がどこからやってきたのかは知らないし、一部の2級や3級の神様の中にもどこからともなくやってきたものもいるらしい。

 不思議だなと思う一方、可愛がってる娘が人間の男と添い寝してて怒っちゃったパパ。
 自分と全く関係なかったら微笑ましいが、自分のことだと笑えない。


 実態は色恋の匂いはまったくないし、夜中に殴られるし、蹴られるし、寝言うるさいし……こいつはガキかよ!ってな感じだけどな。
 たまに支援が外れて苦しくなるし……。
 お父さん、もう少ししつけを……。

 
「アナト!そろそろギルドに行こ♪」
「あっ、あぁ」
 
 まぁ、なんだかんだ楽しいんだけどな、こいつと一緒の旅は。
 ころころ変わる表情は楽しいし、今も笑顔だ。
 
 めちゃくちゃ調子に乗りそうだから本人には内緒だぞ?
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

最強のコミュ障探索者、Sランクモンスターから美少女配信者を助けてバズりたおす~でも人前で喋るとか無理なのでコラボ配信は断固お断りします!~

尾藤みそぎ
ファンタジー
陰キャのコミュ障女子高生、灰戸亜紀は人見知りが過ぎるあまりソロでのダンジョン探索をライフワークにしている変わり者。そんな彼女は、ダンジョンの出現に呼応して「プライムアビリティ」に覚醒した希少な特級探索者の1人でもあった。 ある日、亜紀はダンジョンの中層に突如現れたSランクモンスターのサラマンドラに襲われている探索者と遭遇する。 亜紀は人助けと思って、サラマンドラを一撃で撃破し探索者を救出。 ところが、襲われていたのは探索者兼インフルエンサーとして知られる水無瀬しずくで。しかも、救出の様子はすべて生配信されてしまっていた!? そして配信された動画がバズりまくる中、偶然にも同じ学校の生徒だった水無瀬しずくがお礼に現れたことで、亜紀は瞬く間に身バレしてしまう。 さらには、ダンジョン管理局に目をつけられて依頼が舞い込んだり、水無瀬しずくからコラボ配信を持ちかけられたり。 コミュ障を極めてひっそりと生活していた亜紀の日常はガラリと様相を変えて行く! はたして表舞台に立たされてしまった亜紀は安らぎのぼっちライフを守り抜くことができるのか!?

無能扱いされ会社を辞めさせられ、モフモフがさみしさで命の危機に陥るが懸命なナデナデ配信によりバズる~色々あって心と音速の壁を突破するまで~

ぐうのすけ
ファンタジー
大岩翔(オオイワ カケル・20才)は部長の悪知恵により会社を辞めて家に帰った。 玄関を開けるとモフモフ用座布団の上にペットが座って待っているのだが様子がおかしい。 「きゅう、痩せたか?それに元気もない」 ペットをさみしくさせていたと反省したカケルはペットを頭に乗せて大穴(ダンジョン)へと走った。 だが、大穴に向かう途中で小麦粉の大袋を担いだJKとぶつかりそうになる。 「パンを咥えて遅刻遅刻~ではなく原材料を担ぐJKだと!」 この奇妙な出会いによりカケルはヒロイン達と心を通わせ、心に抱えた闇を超え、心と音速の壁を突破する。

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します

ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!! カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス

R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。 そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。 最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。 そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。 ※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

貧乏冒険者で底辺配信者の生きる希望もないおっさんバズる~庭のFランク(実際はSSSランク)ダンジョンで活動すること15年、最強になりました~

喰寝丸太
ファンタジー
おっさんは経済的に、そして冒険者としても底辺だった。 庭にダンジョンができたが最初のザコがスライムということでFランクダンジョン認定された。 そして18年。 おっさんの実力が白日の下に。 FランクダンジョンはSSSランクだった。 最初のザコ敵はアイアンスライム。 特徴は大量の経験値を持っていて硬い、そして逃げる。 追い詰められると不壊と言われるダンジョンの壁すら溶かす酸を出す。 そんなダンジョンでの15年の月日はおっさんを最強にさせた。 世間から隠されていた最強の化け物がいま世に出る。

動物に好かれまくる体質の少年、ダンジョンを探索する 配信中にレッドドラゴンを手懐けたら大バズりしました!

海夏世もみじ
ファンタジー
 旧題:動物に好かれまくる体質の少年、ダンジョン配信中にレッドドラゴン手懐けたら大バズりしました  動物に好かれまくる体質を持つ主人公、藍堂咲太《あいどう・さくた》は、友人にダンジョンカメラというものをもらった。  そのカメラで暇つぶしにダンジョン配信をしようということでダンジョンに向かったのだが、イレギュラーのレッドドラゴンが現れてしまう。  しかし主人公に攻撃は一切せず、喉を鳴らして好意的な様子。その様子が全て配信されており、拡散され、大バズりしてしまった!  戦闘力ミジンコ主人公が魔物や幻獣を手懐けながらダンジョンを進む配信のスタート!

処理中です...