上 下
11 / 43
第一章

第11話 配信 ~阿鼻叫喚~

しおりを挟む
「あっはっはっはっはっはっは!!!!!やばい!!!あいつやばい!!!!あっはっはっはっは!」
 ボクが振り回されているのを見て笑いころげる冥神さま。
 このクソおやじめ!!!

 ???:きゃー遊神ちゃんがーー!!!
 ???:何すんだあの悪魔!俺たちの遊神ちゃんを返せーーーーー!!!!!!
 ???:遊神ちゃんかわゆす!
 ???:いやーーーーー!
 ???:あははははは。ウケる!あははははは。
 ???:遊神ちゃんペロペロ(うっとり)
 ???:神獣のところに放り込んだ仕返しなのでは?ゲラゲラゲラゲラ!!
 

「むぅ……」
 ダンジョンに入るところで気合の入ったいい表情を披露するアナトを撮れてよかったと思った矢先だったのに……このボクの化身を武器として振り回して、しかもモンスターに投げつけるなんてどういうことなんだ!?
 はたから見ると確かに面白いのがムカつく。
 なにしてるんだよアナト!!!!

 ???:ペチッて!!!今、ペチッて!!!!!!!!!!
 ???:あははははははははははは!
 ???:死ぬ……あひ~死ぬ~~~
 ???:あぁ我も遊神ちゃん投げつけられたいお!
 ???:きゃっはっはっはっは!!!
 ???:おほほほ……ダメですわ。笑っては可哀そうですわ!おほほほ……
 ???:配信なんだからむしろ面白かったら笑った方がっはっはっはっは!!!!!!


 いろんな人に笑われるのが悲しかったと言っていたアナトの気持ちが少しわかる……いや、ないない。
 ボクは画面に映るアナトを見つめ、思い直す。
 あいつめ!!!(怒)

「あっはっはっはっはっはっは!!!!!」
『くっくっくっくっくっくっくっくっく』
「ふふ……」
 そしてコイツら!(怒)

 配信側なのにただ笑い続けてるってどうなんだよ!ちゃんと仕事しなよ!!!

 見てるみんなも笑ってるだけで誰も投げ銭しないし!!!(怒)


 しかしそんな笑いは一転して阿鼻叫喚に変わる。

 ???:なっなんだよあれ!?
 ???:マジか?演出だよな?冥神様!演出だと言ってくれ!!!!
 ???:バカ!演出であんなの出せるかよ!
 ???:やべ~あの黒い炎の玉やばすぎる!!!!
 ???:逃げて!あの男はどうでもいいけど遊神ちゃん逃げて~~~~~~!!!!!

 
「なんで古代の神獣殿があそこに……?」
 って、なんで冥神さまが驚いてるんだよ。
 えっ?本当に?仕込みじゃないの?マズくない?
 
 やばい……。
 あそこにいるのは化身だから仮に吹っ飛ばされても影響はないけど、それだとアナトはジ・エンドだ……。


 っく、アナトめ。ここにいもしないのに痔とか言って笑わすのやめろよ!


 ???:マジかよ!遊神ちゃんの一撃で無傷だと?
 ???:まずいだろあれ!遊神ちゃん気絶してるじゃね~か!!!
 ???:一応説明で化身ですって表示されてるから遊神ちゃんは無事なんじゃねぇのか?
 ???:あぁ、欲しい。あの人形が欲しい……。
 ???:うるせぇぞ!この配信終わったらあれは俺が貰うんだ!!!

 あげないよ!というか危ないやつばっかりかよ!!

 しかし本当にまずい。
 化身とはいえ、かなりの力を使った攻撃だったのに。

 ボクは冥神を見るが、このおっさんはダメだ。
 ただ茫然と画面を見ている。

『さすがにまずいのではないか?どういう経緯であの方があそこにいたのかわからないが、全て吹っ飛ばされるぞ?』
 火神さまが険しい表情で喋っている。
 いつも寝ている火神さまが起きて画面を注視している姿が余計に今の状況のヤバさを表している。

「いや~うん。そうだな。まさかな。あっはっはっは……どうしよう?」
 そして笑ってごまかそうとしているこのおやじ使えねー!!!!

 アナトと同じようなことを心の中で叫んでしまった。大丈夫だよね?ちゃんと心で留めたよね?


 画面の中ではアナトがボクの化身を抱っこして必死に逃げ回っている。
 そんなのはいいから逃げろって言いたかったけど、ここの声はアナトには届かない。
 
 あいつ……あんな状態でボクを抱えて……。

「遊神……幸せそうな顔をしている場合では……ありません」
「はっ!?」

『遊神よ。惹かれるのはわかるが、今は』
「ないないないないないない!な~~~~~い!!!ボクがアナトに惹かれるなんてないから!」

 ???:遊神ちゃんかわゆす!
 ???:どういうことだ?やっぱりあれは何かの仕掛けなのか?
 ???:あの人間。あの状況でも遊神様を離さず抱えて逃げる根性は褒めてやりたい。
 ???:たしかに。で、遊神様には吊り橋効果がかかると……。
 ???:おい!ちょっと時空を渡れるからってこの世界にない概念を引っ張ってくるんじゃない!


「うるさ~~~~~~い!ピンチなんだよ!アナトやばいんだよ!どうしよ~~~~~」

 ???:えっ?やっぱりやばいの?
 ???:俺達なにすれば?
 ???:え~と、アレだ!応援だ!応援すればいいんだ!
 ???:がんばれアナト!!!!
 ???:がっ、がんばれ~!

 
「違うだろ!なんで配信にコメント出してるだけなんだ!?配信の応援と言ったらなんだ!!!?」

 ???:あっ、そうか!
 ???:よし、応援っと!
 ???:いけ~~~~!!!!

 いきなり真面目な顔になって叫びやがったクソ親父の声に反応して途端に入りだす投げ銭……つまりお金。
 アナトピンチなのになにやってるんだよ!?
 

 なお、アナトの封印されたスキルを解放する機能はまだついていない。
 早くして火神さま!
 
 しかし当然そんな神様の世界の事情を知らないアナトは"高エネルギー結晶"を使った!
 ボクの化身を抱きしめながら……。
 

「ふぅ、助かった~」
 偶然にも聖属性のエネルギーが充填されていた"高エネルギー結晶"によって古代の神獣は浄化されて意識を取り戻した。
 ついでにボクの化身も回復した。

 ???:いや、ふぅじゃないから、遊神ちゃん!
 ???:遊神ちゃんペロペロ(うっとり)


「なんだよ~助かったんだから、今は喜んでよ。良かった、アナト」
 まじでやばいと思ったんだからね。
 
 まぁ、助けてくれてありがとう♡

 
「……アナトという男に惚れた……遊神であった……」
「なっ!?」

 ???:いや~~~~~~~~~~~!!!!
 ???:だめだだめだだめだだめだだめだ!!!!
 ???:いやだ~俺の遊神ちゃんが~~~~!!!!!

「何を言い出すんだよ戯神!!!」
「……違うのですか?……」
 いや、嫌いではないけども!!!
 
 画面には倒れていない古代の神獣に慌てたアナトが再びボク(の化身)を抱えて逃げようとしている姿が映し出されていた。







 やっぱり置いていかないんだね……♡


 

「なんとかなったな!では続きをお楽しみに!」
 このおやじ……慌ててただけじゃないか!しかも投げ銭の総額を見て喜んでるなんて……。

「良かったよね。貰った投げ銭はボクが預かっておくからね!必要になったらアナトに渡すよん♪」
「ぐっ」
 クソおやじにもの凄い睨まれた……。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

最強のコミュ障探索者、Sランクモンスターから美少女配信者を助けてバズりたおす~でも人前で喋るとか無理なのでコラボ配信は断固お断りします!~

尾藤みそぎ
ファンタジー
陰キャのコミュ障女子高生、灰戸亜紀は人見知りが過ぎるあまりソロでのダンジョン探索をライフワークにしている変わり者。そんな彼女は、ダンジョンの出現に呼応して「プライムアビリティ」に覚醒した希少な特級探索者の1人でもあった。 ある日、亜紀はダンジョンの中層に突如現れたSランクモンスターのサラマンドラに襲われている探索者と遭遇する。 亜紀は人助けと思って、サラマンドラを一撃で撃破し探索者を救出。 ところが、襲われていたのは探索者兼インフルエンサーとして知られる水無瀬しずくで。しかも、救出の様子はすべて生配信されてしまっていた!? そして配信された動画がバズりまくる中、偶然にも同じ学校の生徒だった水無瀬しずくがお礼に現れたことで、亜紀は瞬く間に身バレしてしまう。 さらには、ダンジョン管理局に目をつけられて依頼が舞い込んだり、水無瀬しずくからコラボ配信を持ちかけられたり。 コミュ障を極めてひっそりと生活していた亜紀の日常はガラリと様相を変えて行く! はたして表舞台に立たされてしまった亜紀は安らぎのぼっちライフを守り抜くことができるのか!?

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

無能扱いされ会社を辞めさせられ、モフモフがさみしさで命の危機に陥るが懸命なナデナデ配信によりバズる~色々あって心と音速の壁を突破するまで~

ぐうのすけ
ファンタジー
大岩翔(オオイワ カケル・20才)は部長の悪知恵により会社を辞めて家に帰った。 玄関を開けるとモフモフ用座布団の上にペットが座って待っているのだが様子がおかしい。 「きゅう、痩せたか?それに元気もない」 ペットをさみしくさせていたと反省したカケルはペットを頭に乗せて大穴(ダンジョン)へと走った。 だが、大穴に向かう途中で小麦粉の大袋を担いだJKとぶつかりそうになる。 「パンを咥えて遅刻遅刻~ではなく原材料を担ぐJKだと!」 この奇妙な出会いによりカケルはヒロイン達と心を通わせ、心に抱えた闇を超え、心と音速の壁を突破する。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します

ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!! カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス

R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。 そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。 最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。 そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。 ※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

貧乏冒険者で底辺配信者の生きる希望もないおっさんバズる~庭のFランク(実際はSSSランク)ダンジョンで活動すること15年、最強になりました~

喰寝丸太
ファンタジー
おっさんは経済的に、そして冒険者としても底辺だった。 庭にダンジョンができたが最初のザコがスライムということでFランクダンジョン認定された。 そして18年。 おっさんの実力が白日の下に。 FランクダンジョンはSSSランクだった。 最初のザコ敵はアイアンスライム。 特徴は大量の経験値を持っていて硬い、そして逃げる。 追い詰められると不壊と言われるダンジョンの壁すら溶かす酸を出す。 そんなダンジョンでの15年の月日はおっさんを最強にさせた。 世間から隠されていた最強の化け物がいま世に出る。

動物に好かれまくる体質の少年、ダンジョンを探索する 配信中にレッドドラゴンを手懐けたら大バズりしました!

海夏世もみじ
ファンタジー
 旧題:動物に好かれまくる体質の少年、ダンジョン配信中にレッドドラゴン手懐けたら大バズりしました  動物に好かれまくる体質を持つ主人公、藍堂咲太《あいどう・さくた》は、友人にダンジョンカメラというものをもらった。  そのカメラで暇つぶしにダンジョン配信をしようということでダンジョンに向かったのだが、イレギュラーのレッドドラゴンが現れてしまう。  しかし主人公に攻撃は一切せず、喉を鳴らして好意的な様子。その様子が全て配信されており、拡散され、大バズりしてしまった!  戦闘力ミジンコ主人公が魔物や幻獣を手懐けながらダンジョンを進む配信のスタート!

処理中です...