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いざ安住の地へ
<フィン> 魔法障壁の魔道具
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魔導騎士団敗北……その一報はフィンのもとに届く。
リシャルデ内には不安と恐怖の風が吹き荒れる。
「戻ってきた魔導騎士団員は全員城壁の内側に入りました」
「わかった。すぐに待機していただいている神官と治療院の方々に回復を依頼してくれ」
「はい」
やってきた準備が活用され始める。
無駄足に終わることを祈っていたが、それこそ無駄だった。
「話ができるものは?」
「ガウェル中隊長が報告させてほしいと」
「わかった。回復し次第お願いする」
中央部隊でブレイディ団長の補佐をしていた騎士だな。
無事な人たちがいてよかった。
これで次の作戦が考えられる。
少し間を開けてやってきたのは細身の青年とガッシリとした壮年の騎士だった。
壮年の騎士は西側を担当した中隊長だったはずだ。
「ガウェル中隊長……よく戻った。どうか様子を教えてほしい」
「はい、フィン王子」
説明してくれるガウェル中隊長……。
ブレイディ団長はやはり味方を守るために奮闘したようだ。
だがそもそも僕にとっては敵が戦場で魔導具を使ったということ自体に驚いていた。
危惧していたことが起こったということだ。
その魔導具で魔法攻撃を全て消されてしまい、あっさりと窮地に陥った。
魔導騎士たちはその状況に驚き突撃を止めることができずに突っ込み、打ち倒されていったようだ。
ただ、約1,500名が帰還している。
聞いた状況を鑑みるとよくそれだけ帰ってきたと思う。
「戻れた騎士が多いのはブレイディ団長が逃したのか?」
「お恥ずかしながら西側は全員帰還しております。日の出の太陽に遮られ、合図への反応が遅れてしまい……」
なるほど。
こういうところも長く戦争をしてこなかったことに起因するのだろうか。
少なくとも魔法攻撃の威力を考えれば多少遅れても気にしてなさそうだ。
だが、そのミスによってこちら側には一定の数の戦力が残った。
一番のミスはやはり魔導具を軽視したことだろう。
今さらなのでもう考えないようにしたいが、今後のことを考えると対策が必要だ。
僕はその後も敵の魔導具の効果を把握するために彼らから話を聞いたが、残念ながら実際の戦闘に加わっておらず、開戦直後に魔法を無効化する障壁のようなものが貼られたことくらいしかわからなかった。
「フィン王子!」
どう考えるか悩んでいる僕らのもとに、1人の騎士がやってきた。
治療中の途中で出てきたようで体のいたる所にある傷は痛々しい。
「メネオス……」
「失礼します、フィン閣下、ガウェル中隊長、メロード中隊長」
「お前……傷は」
「応急処置はして頂きました。どうしても報告したく」
「あなたは切り込んだ部隊に?」
「はい」
傷は痛々しいが将軍としての僕にとってはありがたい。
「感謝する。実際の戦闘の中での情報が欲しかったんだ」
「ありがとうございます」
そう言うと彼は詳細に語ってくれた。
魔法具が作り出した障壁の内側ではやはり攻撃魔法は使えず、武器や体術での戦闘を余儀なくされたようだ。
外からだけじゃなくて内側でも魔法は使えない……。
いや、あの空間で魔法がダメなのかも。
外から撃ち込んだ魔法は中に入ったから消えたということかもしれない。
実際の光景を見ていないので予想ではあるが。
そして、情報として大きかったのは支援魔法は使えず、回復魔法だけは使えたということだ。
どういうことだ……?
報告に例を言って3人を帰したあと僕は考える。
もちろんメネオスさんは治療術師のとこに連れて行かせた。
ここは家さんに頼ろう。
リシャルデ内には不安と恐怖の風が吹き荒れる。
「戻ってきた魔導騎士団員は全員城壁の内側に入りました」
「わかった。すぐに待機していただいている神官と治療院の方々に回復を依頼してくれ」
「はい」
やってきた準備が活用され始める。
無駄足に終わることを祈っていたが、それこそ無駄だった。
「話ができるものは?」
「ガウェル中隊長が報告させてほしいと」
「わかった。回復し次第お願いする」
中央部隊でブレイディ団長の補佐をしていた騎士だな。
無事な人たちがいてよかった。
これで次の作戦が考えられる。
少し間を開けてやってきたのは細身の青年とガッシリとした壮年の騎士だった。
壮年の騎士は西側を担当した中隊長だったはずだ。
「ガウェル中隊長……よく戻った。どうか様子を教えてほしい」
「はい、フィン王子」
説明してくれるガウェル中隊長……。
ブレイディ団長はやはり味方を守るために奮闘したようだ。
だがそもそも僕にとっては敵が戦場で魔導具を使ったということ自体に驚いていた。
危惧していたことが起こったということだ。
その魔導具で魔法攻撃を全て消されてしまい、あっさりと窮地に陥った。
魔導騎士たちはその状況に驚き突撃を止めることができずに突っ込み、打ち倒されていったようだ。
ただ、約1,500名が帰還している。
聞いた状況を鑑みるとよくそれだけ帰ってきたと思う。
「戻れた騎士が多いのはブレイディ団長が逃したのか?」
「お恥ずかしながら西側は全員帰還しております。日の出の太陽に遮られ、合図への反応が遅れてしまい……」
なるほど。
こういうところも長く戦争をしてこなかったことに起因するのだろうか。
少なくとも魔法攻撃の威力を考えれば多少遅れても気にしてなさそうだ。
だが、そのミスによってこちら側には一定の数の戦力が残った。
一番のミスはやはり魔導具を軽視したことだろう。
今さらなのでもう考えないようにしたいが、今後のことを考えると対策が必要だ。
僕はその後も敵の魔導具の効果を把握するために彼らから話を聞いたが、残念ながら実際の戦闘に加わっておらず、開戦直後に魔法を無効化する障壁のようなものが貼られたことくらいしかわからなかった。
「フィン王子!」
どう考えるか悩んでいる僕らのもとに、1人の騎士がやってきた。
治療中の途中で出てきたようで体のいたる所にある傷は痛々しい。
「メネオス……」
「失礼します、フィン閣下、ガウェル中隊長、メロード中隊長」
「お前……傷は」
「応急処置はして頂きました。どうしても報告したく」
「あなたは切り込んだ部隊に?」
「はい」
傷は痛々しいが将軍としての僕にとってはありがたい。
「感謝する。実際の戦闘の中での情報が欲しかったんだ」
「ありがとうございます」
そう言うと彼は詳細に語ってくれた。
魔法具が作り出した障壁の内側ではやはり攻撃魔法は使えず、武器や体術での戦闘を余儀なくされたようだ。
外からだけじゃなくて内側でも魔法は使えない……。
いや、あの空間で魔法がダメなのかも。
外から撃ち込んだ魔法は中に入ったから消えたということかもしれない。
実際の光景を見ていないので予想ではあるが。
そして、情報として大きかったのは支援魔法は使えず、回復魔法だけは使えたということだ。
どういうことだ……?
報告に例を言って3人を帰したあと僕は考える。
もちろんメネオスさんは治療術師のとこに連れて行かせた。
ここは家さんに頼ろう。
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