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婚約破棄された元聖女、実は魔王の娘で世界最強!? 新しい恋と復讐(?)が始まって、気付いたら終わってた
邪竜の説明がよくわからない件
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『体に何か入れられているな?』
「なにか?」
どういうことだろう。
食べに来たんじゃないのかな?
それもそうか。
こんな大きなモンスターが小さい私なんか食べたとしても満足するとは思えない。
でもここがこのドラゴンの住処だとも思えないのよね。
なにせただの広場だ。話に聞くドラゴン特有の寝床はないし、骨とか食い散らかしたモンスターの残骸とかもない。
暗い森だがなぜかここだけは空が見えるくらいには開けているのは確かだ。
それでもただの広場だ。
『それに我を見ても何も思わぬか?』
「怖い気がしましたが、今は……私は既に諦めたので何も感じません」
聖女として頑張っているころにもしこのドラゴンと出会ったら抗っていただろう。
まだ死ぬわけにはいかないと。
戦って勝てるとは思えないが、全力で防御と回復魔法を使いながら逃げる道を探しただろう。
『そういうことではない。……記憶がないのか?それとも……悪いが少し探るぞ?』
「えっ?」
ドラゴンはそう言うと黒魔力を私に向けて放った。
そして体内に入ってくる異物の感覚。
間違いなく黒の魔力でそれは魔とか邪の属性のはず。
なのに気持ち悪さがない。
どういうこと?
『邪悪な聖と心地良い魔が共存してしまったのか?ふむ……ならば……』
「邪悪な聖?」
どういう表現だろうかと不思議に思ったが、このドラゴンは明らかに邪竜だ。
だから聖属性は相容れないのだろう。
心地良いと言うことは"魔"属性なんだろうか?
『君は植えつけられたのだ。聖属性をな』
「それで聖女になったのかしら?」
『聖女とはな……笑える話だが、そうなのだろう。無理やり聖属性にする術を使われたようだ。ある程度の魔力がないと受け入れられない術だが……ある日突然その力に目覚めただろう?』
「はい」
そう、7歳のとき。王城で開かれたパーティーで。
そもそも不自然だった。
普通そんな年の子供がパーティーに招待されたりしない。
にもかかわらず同年代の子がたくさんいた。
『君の身体には崇高な血が流れ、強力な魔の力がある。それが聖属性を押しとどめたのだ』
「えっ?」
それってどういうこと?
人間が"魔"属性を持っているってこと?
それって人間なの?
『戸惑っているか。無理もない。人間の中で生きていれば"魔"や"邪"は恐ろしいだろう』
それにしてもこのドラゴンはなんというか丁寧に教えてくれる。
どちらかというと敬意を持たれている感覚もある。どういうことだろう?
私の中にも惹かれている感覚があるし……もしかして……。
『しかしそれが魔王の子であればおかしなところはない』
「はい?????」
どういうこと?
魔王の子供?
「魔王なんてもう100年以上前に倒されたんじゃないの?」
『あぁ、倒された。愛した勇者にな』
「は?」
どういうこと?
魔王と愛し合っていたって?
勇者は聖女と愛し合ってたんじゃないの?
『人は都合よく歴史を変えるからな。君が知らない話もあるだろう。しかし大事なのは今だ。ようやく見つけた魔王の娘。我と共に来ないか?』
「はい」
私は頷いた。
目の前のドラゴンは悪い感じはしないし、心の中の声は行けと言っている。
もう人間の国に未練もない。
私をただのアイテム扱いしていたのだ。
復讐したい、なんていう気はない。
きっと多くの人々は私が自らの意志で命を削って働いていたと思っていたのだろう。だから感謝されていた。
王家、王子は許せない。
『では行こう。背に……のせるのは危ないな。少し待て』
そう言うとドラゴンは黒い光を放った。
光なのに眩しくないけど中が見えない。
とても不思議な感じだけど、私は待った。
そうするしかないから。
そして現れたのは……。
なに?このめちゃくちゃカッコいい男の人……。
あの凶悪そうなドラゴンがこうなったの?変身?
「この姿を見ても何も思い出さないか?」
「どういうこと?あったことがあるの?」
ドラゴンさんは……困惑しているようだった。
でも、初対面よね?
「会ったことはない」
「それでどうやって知れと?さすがに初対面の人を知ってる、なんておかしいわよね?」
それともドラゴンさんなりに何か私が思い出すような心当たりがあるんだろうか?
それにしても考え込んでいるドラゴンさんの表情が綺麗すぎて心が死にそう。
さっきまでは心と言うか、体もろとも死んでしまって問題ないと思ってたけど、今のは違う。
カッコよすぎるのよ。
もうやばいのよ。
えっ?なにこれ。また騙されているのかしら?
彼になら騙されてもいいけど、今度こそ捨てるときは意識がない時に一思いに食い殺してほしいわ。
「我はかつて魔王と共に戦った邪竜だ……。魔王が倒れ、君のことを封じたものを預かっていた。しかし生まれてきたのは人のようだったから、預けたのだ。その時に君は我の魔力を記憶した。それは間違いない」
えっと、なにを言ってるのか全く分からないんだけど……私、100年以上前に生まれた子なの?
預けたってどこに?
そこが私をあの両親に売ったの?
どういうことなの?????
「なにか?」
どういうことだろう。
食べに来たんじゃないのかな?
それもそうか。
こんな大きなモンスターが小さい私なんか食べたとしても満足するとは思えない。
でもここがこのドラゴンの住処だとも思えないのよね。
なにせただの広場だ。話に聞くドラゴン特有の寝床はないし、骨とか食い散らかしたモンスターの残骸とかもない。
暗い森だがなぜかここだけは空が見えるくらいには開けているのは確かだ。
それでもただの広場だ。
『それに我を見ても何も思わぬか?』
「怖い気がしましたが、今は……私は既に諦めたので何も感じません」
聖女として頑張っているころにもしこのドラゴンと出会ったら抗っていただろう。
まだ死ぬわけにはいかないと。
戦って勝てるとは思えないが、全力で防御と回復魔法を使いながら逃げる道を探しただろう。
『そういうことではない。……記憶がないのか?それとも……悪いが少し探るぞ?』
「えっ?」
ドラゴンはそう言うと黒魔力を私に向けて放った。
そして体内に入ってくる異物の感覚。
間違いなく黒の魔力でそれは魔とか邪の属性のはず。
なのに気持ち悪さがない。
どういうこと?
『邪悪な聖と心地良い魔が共存してしまったのか?ふむ……ならば……』
「邪悪な聖?」
どういう表現だろうかと不思議に思ったが、このドラゴンは明らかに邪竜だ。
だから聖属性は相容れないのだろう。
心地良いと言うことは"魔"属性なんだろうか?
『君は植えつけられたのだ。聖属性をな』
「それで聖女になったのかしら?」
『聖女とはな……笑える話だが、そうなのだろう。無理やり聖属性にする術を使われたようだ。ある程度の魔力がないと受け入れられない術だが……ある日突然その力に目覚めただろう?』
「はい」
そう、7歳のとき。王城で開かれたパーティーで。
そもそも不自然だった。
普通そんな年の子供がパーティーに招待されたりしない。
にもかかわらず同年代の子がたくさんいた。
『君の身体には崇高な血が流れ、強力な魔の力がある。それが聖属性を押しとどめたのだ』
「えっ?」
それってどういうこと?
人間が"魔"属性を持っているってこと?
それって人間なの?
『戸惑っているか。無理もない。人間の中で生きていれば"魔"や"邪"は恐ろしいだろう』
それにしてもこのドラゴンはなんというか丁寧に教えてくれる。
どちらかというと敬意を持たれている感覚もある。どういうことだろう?
私の中にも惹かれている感覚があるし……もしかして……。
『しかしそれが魔王の子であればおかしなところはない』
「はい?????」
どういうこと?
魔王の子供?
「魔王なんてもう100年以上前に倒されたんじゃないの?」
『あぁ、倒された。愛した勇者にな』
「は?」
どういうこと?
魔王と愛し合っていたって?
勇者は聖女と愛し合ってたんじゃないの?
『人は都合よく歴史を変えるからな。君が知らない話もあるだろう。しかし大事なのは今だ。ようやく見つけた魔王の娘。我と共に来ないか?』
「はい」
私は頷いた。
目の前のドラゴンは悪い感じはしないし、心の中の声は行けと言っている。
もう人間の国に未練もない。
私をただのアイテム扱いしていたのだ。
復讐したい、なんていう気はない。
きっと多くの人々は私が自らの意志で命を削って働いていたと思っていたのだろう。だから感謝されていた。
王家、王子は許せない。
『では行こう。背に……のせるのは危ないな。少し待て』
そう言うとドラゴンは黒い光を放った。
光なのに眩しくないけど中が見えない。
とても不思議な感じだけど、私は待った。
そうするしかないから。
そして現れたのは……。
なに?このめちゃくちゃカッコいい男の人……。
あの凶悪そうなドラゴンがこうなったの?変身?
「この姿を見ても何も思い出さないか?」
「どういうこと?あったことがあるの?」
ドラゴンさんは……困惑しているようだった。
でも、初対面よね?
「会ったことはない」
「それでどうやって知れと?さすがに初対面の人を知ってる、なんておかしいわよね?」
それともドラゴンさんなりに何か私が思い出すような心当たりがあるんだろうか?
それにしても考え込んでいるドラゴンさんの表情が綺麗すぎて心が死にそう。
さっきまでは心と言うか、体もろとも死んでしまって問題ないと思ってたけど、今のは違う。
カッコよすぎるのよ。
もうやばいのよ。
えっ?なにこれ。また騙されているのかしら?
彼になら騙されてもいいけど、今度こそ捨てるときは意識がない時に一思いに食い殺してほしいわ。
「我はかつて魔王と共に戦った邪竜だ……。魔王が倒れ、君のことを封じたものを預かっていた。しかし生まれてきたのは人のようだったから、預けたのだ。その時に君は我の魔力を記憶した。それは間違いない」
えっと、なにを言ってるのか全く分からないんだけど……私、100年以上前に生まれた子なの?
預けたってどこに?
そこが私をあの両親に売ったの?
どういうことなの?????
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