2 / 40
私を偽装するなと言われても、知りません!
王宮にて(スコット王子視点)
しおりを挟む
「お前は自分が何をやったのか、わかっているのか?」
成人の祝いが終わって王宮に帰ると、父である国王陛下から呼び出された。
なんだ?俺はミリアと今後のことを話し合わなければならないのに。
「俺が何をしたと?ただエリーの偽者を追い出しただけ。責められる謂れはありません。むしろアレを見抜けなかったマヌケどもをどうにかしてください。それでは」
「どこへ行くのだ!まだ話は終わっておらぬ!」
なんだよ煩いな。
「まだ何かあるのですか?私は婚約者としたミリアと今後のことを話し合わなければならないのです」
「ふざけるな!そのような婚約、許可しておらぬ!」
「許可?もう成人したのです。俺は俺の自由にさせてもらいます」
「はぁ?」
「そもそも考えが古いのです。隣国を見てください。商業国の自由さ、帝国の規律を。家長だから、国王だからと婚姻の自由を奪うことは許されません。そのような古いしきたり、俺の代で全てなくしてやります。その第一歩として俺は俺の自由に、俺の愛する者と結婚します。では」
まだ何か父が喚いているが、気にする必要はない。
どうせ何もできない。
貴族たちの顔色をうかがうばかりの父には何もな。
なにせ母である王妃と、祖父……つまりこの国で長く宰相を務めるグーリッジ大公には話を通してある。
「神殿にどう説明するのじゃ!聖女を婚約破棄し、国外追放したなどと」
「なぜ説明などせねばならぬのですか?むしろやつらには謝罪をさせる必要があります。なにせ偽者を聖女になど仕立て上げたのだ」
「何をバカなことを!悪魔への対処はどうするつもりだ!」
「そんなもの。神殿長に任せればよいのです。偽者のエリーを聖女などと掲げる前は、神殿長が行っていたのですから」
それで話は終わりのようだ。
まったく。困ったものだな。少し考えばわかるだろうに。
私心なき王などと呼ばれ、長年貴族の利害調整しかしてこなかった哀れな男にはわからんのだろう。
我々は王族なのだぞ?なぜ貴族や神殿に気を使う必要がある?
国を治めているのは王族だ。気に入らぬ者、歯向かう者は潰せばいい。我々の意に沿うように命ずればいいのだ。
それにこの300年の間、歴代の神殿長が魔を祓っていたのだ。聖女などいなくても、どうにでもなるということだろう?
そんなに聖女という神輿が必要なのであれば、ミリアにさせればいい。そうすれば問題ないだろうな。
まったく、ちょっとは考えろ。
案などすぐに出てくるだろうに。耄碌しているのか?
俺はミリアを聖女に認定するように指示を出しておいた。
成人の祝いが終わって王宮に帰ると、父である国王陛下から呼び出された。
なんだ?俺はミリアと今後のことを話し合わなければならないのに。
「俺が何をしたと?ただエリーの偽者を追い出しただけ。責められる謂れはありません。むしろアレを見抜けなかったマヌケどもをどうにかしてください。それでは」
「どこへ行くのだ!まだ話は終わっておらぬ!」
なんだよ煩いな。
「まだ何かあるのですか?私は婚約者としたミリアと今後のことを話し合わなければならないのです」
「ふざけるな!そのような婚約、許可しておらぬ!」
「許可?もう成人したのです。俺は俺の自由にさせてもらいます」
「はぁ?」
「そもそも考えが古いのです。隣国を見てください。商業国の自由さ、帝国の規律を。家長だから、国王だからと婚姻の自由を奪うことは許されません。そのような古いしきたり、俺の代で全てなくしてやります。その第一歩として俺は俺の自由に、俺の愛する者と結婚します。では」
まだ何か父が喚いているが、気にする必要はない。
どうせ何もできない。
貴族たちの顔色をうかがうばかりの父には何もな。
なにせ母である王妃と、祖父……つまりこの国で長く宰相を務めるグーリッジ大公には話を通してある。
「神殿にどう説明するのじゃ!聖女を婚約破棄し、国外追放したなどと」
「なぜ説明などせねばならぬのですか?むしろやつらには謝罪をさせる必要があります。なにせ偽者を聖女になど仕立て上げたのだ」
「何をバカなことを!悪魔への対処はどうするつもりだ!」
「そんなもの。神殿長に任せればよいのです。偽者のエリーを聖女などと掲げる前は、神殿長が行っていたのですから」
それで話は終わりのようだ。
まったく。困ったものだな。少し考えばわかるだろうに。
私心なき王などと呼ばれ、長年貴族の利害調整しかしてこなかった哀れな男にはわからんのだろう。
我々は王族なのだぞ?なぜ貴族や神殿に気を使う必要がある?
国を治めているのは王族だ。気に入らぬ者、歯向かう者は潰せばいい。我々の意に沿うように命ずればいいのだ。
それにこの300年の間、歴代の神殿長が魔を祓っていたのだ。聖女などいなくても、どうにでもなるということだろう?
そんなに聖女という神輿が必要なのであれば、ミリアにさせればいい。そうすれば問題ないだろうな。
まったく、ちょっとは考えろ。
案などすぐに出てくるだろうに。耄碌しているのか?
俺はミリアを聖女に認定するように指示を出しておいた。
139
お気に入りに追加
301
あなたにおすすめの小説
開発者を大事にしない国は滅びるのです。常識でしょう?
ノ木瀬 優
恋愛
新しい魔道具を開発して、順調に商会を大きくしていったリリア=フィミール。しかし、ある時から、開発した魔道具を複製して販売されるようになってしまう。特許権の侵害を訴えても、相手の背後には王太子がh控えており、特許庁の対応はひどいものだった。
そんな中、リリアはとある秘策を実行する。
全3話。本日中に完結予定です。設定ゆるゆるなので、軽い気持ちで読んで頂けたら幸いです。
アルバートの屈辱
プラネットプラント
恋愛
妻の姉に恋をして妻を蔑ろにするアルバートとそんな夫を愛するのを諦めてしまった妻の話。
『詰んでる不憫系悪役令嬢はチャラ男騎士として生活しています』の10年ほど前の話ですが、ほぼ無関係なので単体で読めます。
だってお義姉様が
砂月ちゃん
恋愛
『だってお義姉様が…… 』『いつもお屋敷でお義姉様にいじめられているの!』と言って、高位貴族令息達に助けを求めて来た可憐な伯爵令嬢。
ところが正義感あふれる彼らが、その意地悪な義姉に会いに行ってみると……
他サイトでも掲載中。
王族に婚約破棄させたらそりゃそうなるよね? ……って話
ノ木瀬 優
恋愛
ぽっと出のヒロインが王族に婚約破棄させたらこうなるんじゃないかなって話を書いてみました。
完全に勢いで書いた話ですので、お気軽に読んで頂けたらなと思います。
白い結婚は無理でした(涙)
詩森さよ(さよ吉)
恋愛
わたくし、フィリシアは没落しかけの伯爵家の娘でございます。
明らかに邪な結婚話しかない中で、公爵令息の愛人から契約結婚の話を持ち掛けられました。
白い結婚が認められるまでの3年間、お世話になるのでよい妻であろうと頑張ります。
小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しております。
現在、筆者は時間的かつ体力的にコメントなどの返信ができないため受け付けない設定にしています。
どうぞよろしくお願いいたします。
父が再婚してから酷い目に遭いましたが、最終的に皆罪人にして差し上げました
四季
恋愛
母親が亡くなり、父親に新しい妻が来てからというもの、私はいじめられ続けた。
だが、ただいじめられただけで終わる私ではない……!
妹がいなくなった
アズやっこ
恋愛
妹が突然家から居なくなった。
メイドが慌ててバタバタと騒いでいる。
お父様とお母様の泣き声が聞こえる。
「うるさくて寝ていられないわ」
妹は我が家の宝。
お父様とお母様は妹しか見えない。ドレスも宝石も妹にだけ買い与える。
妹を探しに出掛けたけど…。見つかるかしら?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる