上 下
18 / 28
絶体絶命からの逆転劇

第二手……"おまいう"なんてことはわかってて出す指示

しおりを挟む
しかしまず第一手を打った。

やるなら一気にやらないといけない。
バカ王子、王妃、宰相、それに財務大臣とあとは王家を食い物にする悪役商会だな。

「誰か」
「「「はっ……」」」

3人の汚い顔をどう切り刻むか考えながら部下に声をかけたら、ちゃんと3人で来るとは、良い教育がなされているな。

「リジュとのやり取りを伺っておりました。ついに動くのですな」
「あぁ」
あっぶね。いつから見てたんだ?
こいつら3人はめちゃくちゃ真面目で、真面目過ぎて王城の闇とか暴いてきてしまうから適当に宰相とか大臣とかの権威あるやつらを探らせていたんだ。

最も黒いのは私自身だがな……。

「財務大臣は徴税権を悪用して私腹を肥やし、それを宰相に賄賂として送って便宜をはからせていました。宰相はその金を使って商国と内通し、王国を牛耳る機会を探っていました。バロア商会は商国の手先です」
調べるまでもなく全てそろっていた乙。


くっくっくっく。明日が楽しみだ。
バカには全員思い知らせてやるぞ!

「陛下。あとはエルシリア様を慕っている貴族たちを抑える必要があります」
「いつから私の後ろに立っていたんだリュート……」
そんな気配はなかったはずだろ?
なんだ?
私が何も動かなかったらもしかして刺されていたとかか?
怖すぎるだろう、息子よ。

「いつからもなにも、最初からここにいましたよ? それにしても陛下。ようやく動かれたのですね。てっきりエルシリア様を捨て駒にしたのかと思いましたが、そうではないようで安心しました」
「もちろんだ。あの娘は優秀だ」
「まさか陛下からそのような言葉があるなど。ゴミを見るような目をしていたので、彼女もいつも思い悩んでいたのですよ?」
……まずい。そうだった。

国王は自らの安寧……と言う名の散財、豪遊のために優秀なものを遠ざけていた。
なぜか賄賂だけは嫌いと言う意味不明な性格だったためにそれを行ったものは悉く解雇されたが、正当な豪遊が大好きだった。
つまり予算配分で国王と王妃のものがとても重大なものとして考慮されてしまっていた。

そういえばゲームでもリュートだけは高潔な王族として民衆に迎えられ、王国が滅んだあともリーダーとして活躍するらしかった。
らしかったというのは、ゲームではこれ以降の描写がないからわからない。


「ふん。だからといって婚約破棄に加えて投獄というのはやりすぎだ。そんなこと許していない」
「そうでしたか……」
「聞いていたなら話は早い。あのバカは廃嫡して、お前を王太子にする」
「ありがとうございます。では、私も"内密"に彼女の支援者たちを抑えに行きます」」
「あぁ……」
頼む、とは言えなかった。

その理由が自分の保身だからだ。
なんであいつはあんなに極まった目をしてるんだ?
もしかしてエルシリアに気でもあったのだろうか。
それをみすみす帝国に取られることが気に入らないとか?

まずいな……うまくいってもずっと次代の国王に恨まれるとか、私の安寧が脅かされてしまう……。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】それぞれの贖罪

夢見 歩
恋愛
タグにネタバレがありますが、 作品への先入観を無くすために あらすじは書きません。 頭を空っぽにしてから 読んで頂けると嬉しいです。

旦那様、離婚しましょう

榎夜
恋愛
私と旦那は、いわゆる『白い結婚』というやつだ。 手を繋いだどころか、夜を共にしたこともありません。 ですが、とある時に浮気相手が懐妊した、との報告がありました。 なので邪魔者は消えさせてもらいますね *『旦那様、離婚しましょう~私は冒険者になるのでお構いなく!~』と登場人物は同じ 本当はこんな感じにしたかったのに主が詰め込みすぎて......

もう終わってますわ

こもろう
恋愛
聖女ローラとばかり親しく付き合うの婚約者メルヴィン王子。 爪弾きにされた令嬢エメラインは覚悟を決めて立ち上がる。

王太子さま、側室さまがご懐妊です

家紋武範
恋愛
王太子の第二夫人が子どもを宿した。 愛する彼女を妃としたい王太子。 本妻である第一夫人は政略結婚の醜女。 そして国を奪い女王として君臨するとの噂もある。 あやしき第一夫人をどうにかして廃したいのであった。

妹の妊娠と未来への絆

アソビのココロ
恋愛
「私のお腹の中にはフレディ様の赤ちゃんがいるんです!」 オードリー・グリーンスパン侯爵令嬢は、美貌の貴公子として知られる侯爵令息フレディ・ヴァンデグリフトと婚約寸前だった。しかしオードリーの妹ビヴァリーがフレディと一夜をともにし、妊娠してしまう。よくできた令嬢と評価されているオードリーの下した裁定とは?

悪役断罪?そもそも何かしましたか?

SHIN
恋愛
明日から王城に最終王妃教育のために登城する、懇談会パーティーに参加中の私の目の前では多人数の男性に囲まれてちやほやされている少女がいた。 男性はたしか婚約者がいたり妻がいたりするのだけど、良いのかしら。 あら、あそこに居ますのは第二王子では、ないですか。 えっ、婚約破棄?別に構いませんが、怒られますよ。 勘違い王子と企み少女に巻き込まれたある少女の話し。

完結 そんなにその方が大切ならば身を引きます、さようなら。

音爽(ネソウ)
恋愛
相思相愛で結ばれたクリステルとジョルジュ。 だが、新婚初夜は泥酔してお預けに、その後も余所余所しい態度で一向に寝室に現れない。不審に思った彼女は眠れない日々を送る。 そして、ある晩に玄関ドアが開く音に気が付いた。使われていない離れに彼は通っていたのだ。 そこには匿われていた美少年が棲んでいて……

愛想を尽かした女と尽かされた男

火野村志紀
恋愛
※全16話となります。 「そうですか。今まであなたに尽くしていた私は側妃扱いで、急に湧いて出てきた彼女が正妃だと? どうぞ、お好きになさって。その代わり私も好きにしますので」

処理中です...