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デニア
36.デニアに向かう②(5月24〜25日)
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この世界の空を悠々と舞う魔物がいたらしい。そしてその魔物を狩る有翼の狩人がいた。そんな話をドゥランとしている最中に突然カレイラが割り込んできた。
いや、噛み付いてきたと言っても過言ではないだろう。
「ふん、そんな事も知らんのか。無知は罪だぞ」
とまあこんな具合である。
「ああ、知らない。知っているなら教えてくれないか?」
明らかな挑発でも温和に返せばその挑発も不発に終わるものである。
案の定カレイラは目深に被ったフードから覗く目で俺を一瞥するとゆっくりと語り出した。
「いいか、太古の昔、何も無い空っぽの世界に突然魔素が満ちた。いや、正確には我々が魔素と呼ぶようになった“何か”がと言うべきか。その魔素から大地と天空、大地の奥深くにある冥界、それぞれを統べる神々が生まれた。大地の神ガイヤと天空の神ウラーノが次々と神々を生み出し、また人の子や数多の獣と鳥、魚や小さな命も生まれた」
カレイラが語っているのは、この世界の創造神話である。俺の隣で骨付きの肉を齧るカリナも黙って聞いているから、広く知られた話なのだろう。
「だが世界が生み出したのは獣だけではなかった。我々が魔物と呼ぶ強大な存在も生み出してしまったのだ。それに気付いた神々は、弱い人間に魔物と戦う術を与えた。それが加護であり魔法だ」
つまりは自分達の管理ミスによって生まれた不均衡を片方に肩入れする事でバランスを取ろうとしたという事か。
「しかしそれだけでは足りなかった。地を這う魔物と戦うことはできても、天空を舞う魔物に届くほどに長い手を人間は持っていなかったからだ。故に、虹と狩人の守護者であるイリスが、有翼の狩人を生んだ。それが有翼種だ」
「有翼種。それは翼を持つ生き物ということか?鳥みたいな」
「違う。翼を持つ人間だ。その純白の翼は空を舞う大鷲のような形だったと伝えられている」
「その有翼種が空の魔物を狩り尽くしたのか?」
「それは少し違う。どうやら魔素の濃度下がったらしいのだ。だから空を飛ぶ魔物も有翼種もその翼を折り、大地に住まうようになったらしい」
「それならばその有翼種は今でもこの地の何処かに?」
「そうだ。伝承では西方遥か遠くの島で有翼種だけの国を興したとある」
西の遠くの島でねえ。
そういえば日本の位置を簡単に説明する時には“極東の島国”という表現が多様される。
この世界は東に魔物の支配領域があるらしいから、極東などと表現すれば俺自身が魔物と思われるかも知れないと考え避けてきた。
今の話だと“西の島”も在らぬ誤解を招くのかもしれない。留意しておこう。
「それでは翼の生えた人間も空を飛ぶ魔物も、今日では存在しないと?」
「ああ。少なくとも記録にはない。もっとも大規模な大襲撃によって記録が途絶えたり失われたりもしているから、もしかして東の領域にはバシリスコぐらいはいるのかも知れないがな」
バシリスコ。
バジリスクならば古代ヨーロッパの伝承における蛇の王である。一方で中世になるとその存在はコカトリスと同一視され、雄鶏が産んだ卵をヒキガエルが孵化させて産まれた毒を吐く鶏のような姿になった。
一方でバシリスクと呼ばれるイグアナ科の爬虫類もいる。長い四肢と細長い指、成体となった雄の頭頂部や背中更には尾にまでトサカや帆のようなクレストと呼ばれる器官が発達する樹上性のトカゲである。この話の流れでは蛇の王バジリスクのほうだろう。
悠々と空を舞う有翼の蛇。そんな魔物と相対するには対空砲か地対空ミサイルが必要だろう。大穴狙いでは対ヘリコプター地雷という選択肢もあるか。
「どうした。怖いか」
ドゥランは黙っている俺の心境を推測ってくれたのか。いや、もしかしたら小馬鹿にしているのかもしれないが。
「心配するな!街にはバリスタがある。歩兵の武器だけで魔物を狩っていた時代とは違うんだ。空を飛んでようが撃ち落とせるさ!」
まさかコーヒー職人の話をしているわけでもあるまい。巨大な弩弓がこの世界にもあるらしい。
弩、元の世界では古代中国で開発されヨーロッパに伝わって洗練された兵器である。古代日本にも伝わりはしたようだが、何故か全く活用される事なく廃れていった。日本での遠距離攻撃武器といえば長弓だが、この世界ではカリナが持っているような短弓しか見たことがない。個人携行武器としての弩もあるのだろうか。
「バリスタねぇ。あの杭みたいな矢で空を舞う魔物を撃ち落とせるかしら」
食事の片付けを済ませてくれたカリナが話に加わる。
「できるさ!最新型は連射も可能だっていうしな!任せとけ!」
オーバーなジェスチャーで答えるデュランの動きは、バリスタを操作する動きなのだろう。
そもそも俺が知っているバリスタは据置型の攻城兵器だ。カリナが言うとおり遠距離の移動目標を狙い撃つには不向きなように思う。
「天空を舞う魔物は滅んだ。有翼種も地に降り立った。そんな心配は無意味だな」
カレイラが目深に被ったフードの下から発した言葉で、この件はお開きになった。
◇◇◇
翌早朝に出発した俺達は、太陽が中天に差し掛かる目にはデニアの街に辿り着いた。タルテトス王国の南、海に突き出た半島の東側に位置する港としては最南端の港町らしい。
港町らしく石畳の通りに沿って白い漆喰塗りの家々が立ち並んでいる。平屋根か傾斜の緩い屋根が多いのは降水量が少ないからだろうか。
ドゥランが案内してくれたのは、そんな街並みを通り抜けた先にある、一際大きな建物だった。
港に面した広場兼荷揚げ場の一角を占める敷地に立つ2階建ての俗に言うお屋敷である。
アロンソ イバルラ ドゥラン。彼はデニアの港の管理者であるドゥラン家の息子であり、洞窟で収容した遺体の1人、マリア イバルラ ドゥランの兄でもある。
ここはそのドゥラン家の屋敷なのだろう。大きな鉄製の門の前で立ち止まった彼は、申し訳なさそうな顔で振り返った。
「お前さん達は連絡所で待っててくれ。あっちの看板、見えるな?」
ドゥランが指差す向こうには一見すると普通の商店にしか見えない建物がある。看板に書かれた文字は俺には読めないが、カリナ達には通じたようだ。
「わかった。今夜の宿を確保しておく」
カレイラがそう答えるとスタスタと歩き出した。
いや、噛み付いてきたと言っても過言ではないだろう。
「ふん、そんな事も知らんのか。無知は罪だぞ」
とまあこんな具合である。
「ああ、知らない。知っているなら教えてくれないか?」
明らかな挑発でも温和に返せばその挑発も不発に終わるものである。
案の定カレイラは目深に被ったフードから覗く目で俺を一瞥するとゆっくりと語り出した。
「いいか、太古の昔、何も無い空っぽの世界に突然魔素が満ちた。いや、正確には我々が魔素と呼ぶようになった“何か”がと言うべきか。その魔素から大地と天空、大地の奥深くにある冥界、それぞれを統べる神々が生まれた。大地の神ガイヤと天空の神ウラーノが次々と神々を生み出し、また人の子や数多の獣と鳥、魚や小さな命も生まれた」
カレイラが語っているのは、この世界の創造神話である。俺の隣で骨付きの肉を齧るカリナも黙って聞いているから、広く知られた話なのだろう。
「だが世界が生み出したのは獣だけではなかった。我々が魔物と呼ぶ強大な存在も生み出してしまったのだ。それに気付いた神々は、弱い人間に魔物と戦う術を与えた。それが加護であり魔法だ」
つまりは自分達の管理ミスによって生まれた不均衡を片方に肩入れする事でバランスを取ろうとしたという事か。
「しかしそれだけでは足りなかった。地を這う魔物と戦うことはできても、天空を舞う魔物に届くほどに長い手を人間は持っていなかったからだ。故に、虹と狩人の守護者であるイリスが、有翼の狩人を生んだ。それが有翼種だ」
「有翼種。それは翼を持つ生き物ということか?鳥みたいな」
「違う。翼を持つ人間だ。その純白の翼は空を舞う大鷲のような形だったと伝えられている」
「その有翼種が空の魔物を狩り尽くしたのか?」
「それは少し違う。どうやら魔素の濃度下がったらしいのだ。だから空を飛ぶ魔物も有翼種もその翼を折り、大地に住まうようになったらしい」
「それならばその有翼種は今でもこの地の何処かに?」
「そうだ。伝承では西方遥か遠くの島で有翼種だけの国を興したとある」
西の遠くの島でねえ。
そういえば日本の位置を簡単に説明する時には“極東の島国”という表現が多様される。
この世界は東に魔物の支配領域があるらしいから、極東などと表現すれば俺自身が魔物と思われるかも知れないと考え避けてきた。
今の話だと“西の島”も在らぬ誤解を招くのかもしれない。留意しておこう。
「それでは翼の生えた人間も空を飛ぶ魔物も、今日では存在しないと?」
「ああ。少なくとも記録にはない。もっとも大規模な大襲撃によって記録が途絶えたり失われたりもしているから、もしかして東の領域にはバシリスコぐらいはいるのかも知れないがな」
バシリスコ。
バジリスクならば古代ヨーロッパの伝承における蛇の王である。一方で中世になるとその存在はコカトリスと同一視され、雄鶏が産んだ卵をヒキガエルが孵化させて産まれた毒を吐く鶏のような姿になった。
一方でバシリスクと呼ばれるイグアナ科の爬虫類もいる。長い四肢と細長い指、成体となった雄の頭頂部や背中更には尾にまでトサカや帆のようなクレストと呼ばれる器官が発達する樹上性のトカゲである。この話の流れでは蛇の王バジリスクのほうだろう。
悠々と空を舞う有翼の蛇。そんな魔物と相対するには対空砲か地対空ミサイルが必要だろう。大穴狙いでは対ヘリコプター地雷という選択肢もあるか。
「どうした。怖いか」
ドゥランは黙っている俺の心境を推測ってくれたのか。いや、もしかしたら小馬鹿にしているのかもしれないが。
「心配するな!街にはバリスタがある。歩兵の武器だけで魔物を狩っていた時代とは違うんだ。空を飛んでようが撃ち落とせるさ!」
まさかコーヒー職人の話をしているわけでもあるまい。巨大な弩弓がこの世界にもあるらしい。
弩、元の世界では古代中国で開発されヨーロッパに伝わって洗練された兵器である。古代日本にも伝わりはしたようだが、何故か全く活用される事なく廃れていった。日本での遠距離攻撃武器といえば長弓だが、この世界ではカリナが持っているような短弓しか見たことがない。個人携行武器としての弩もあるのだろうか。
「バリスタねぇ。あの杭みたいな矢で空を舞う魔物を撃ち落とせるかしら」
食事の片付けを済ませてくれたカリナが話に加わる。
「できるさ!最新型は連射も可能だっていうしな!任せとけ!」
オーバーなジェスチャーで答えるデュランの動きは、バリスタを操作する動きなのだろう。
そもそも俺が知っているバリスタは据置型の攻城兵器だ。カリナが言うとおり遠距離の移動目標を狙い撃つには不向きなように思う。
「天空を舞う魔物は滅んだ。有翼種も地に降り立った。そんな心配は無意味だな」
カレイラが目深に被ったフードの下から発した言葉で、この件はお開きになった。
◇◇◇
翌早朝に出発した俺達は、太陽が中天に差し掛かる目にはデニアの街に辿り着いた。タルテトス王国の南、海に突き出た半島の東側に位置する港としては最南端の港町らしい。
港町らしく石畳の通りに沿って白い漆喰塗りの家々が立ち並んでいる。平屋根か傾斜の緩い屋根が多いのは降水量が少ないからだろうか。
ドゥランが案内してくれたのは、そんな街並みを通り抜けた先にある、一際大きな建物だった。
港に面した広場兼荷揚げ場の一角を占める敷地に立つ2階建ての俗に言うお屋敷である。
アロンソ イバルラ ドゥラン。彼はデニアの港の管理者であるドゥラン家の息子であり、洞窟で収容した遺体の1人、マリア イバルラ ドゥランの兄でもある。
ここはそのドゥラン家の屋敷なのだろう。大きな鉄製の門の前で立ち止まった彼は、申し訳なさそうな顔で振り返った。
「お前さん達は連絡所で待っててくれ。あっちの看板、見えるな?」
ドゥランが指差す向こうには一見すると普通の商店にしか見えない建物がある。看板に書かれた文字は俺には読めないが、カリナ達には通じたようだ。
「わかった。今夜の宿を確保しておく」
カレイラがそう答えるとスタスタと歩き出した。
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