異世界サバイバルゲーム 〜転移先はエアガンが最強魔道具でした〜

九尾の猫

文字の大きさ
79 / 252

78.グサーノ殲滅戦①(5月21日)

しおりを挟む
起動スイッチの代わりにそれぞれの杭に嵌め込んだ魔石に触れて回る。
最後に表示板の魔石に触れる。
表示板全体が淡く光り、それぞれの杭の印の上に青い光が灯った。

「ふえ……何これ!」

「イザベルも探知魔法を使うときは、頭の中にこんな感じで魔物やその他の位置が表示されるんじゃないか?俺はこんな感じで見えている。それを板の上に再現してみた」

「それはそうだけど……ってアンナ?もしかして見えてる?」

「え?この青い光ですか?見えてますけど…?」

「あんた魔法使えるの!?」

「いいえまさか!」

「って事は……」

「魔石を配した効果だろう。魔力を行使する訓練を受けていない者でも、これなら探知魔法を使える」

「魔物を探知する魔道具、しかも位置まで分かるなんて、これすごいよ!売れるよ!!」

売れるか。売れるかあ?
売り物にするなら、もっときちんと作りたいものだ。
使い物になればの話だがな。

「まあ使える物かどうかも分からないからな。索敵範囲を広げるために、焼け残った塀にも仕込んでこよう。併せて負傷者や生き残りの捜索も行う。その後に食糧庫の要塞化を行う。アリシアは食糧庫に硬化魔法をかけてから、アンナと一緒に周囲の監視。アイダとイザベルは付いてきてくれ」

◇◇◇

焼け残った板塀や家々の柱に魔石と魔法式を仕込みながら捜索した結果、各家の地下倉庫や納屋の藁の中で息を殺して潜んでいた生き残りの男女7名を発見して食糧庫へと連れて行った。全員が何かしらの怪我を負ってはいるが、治癒魔法が必要なほどでもなさそうだ。

食糧庫の要塞化だが、食糧庫の左右に土魔法で櫓を作り、狙撃が得意なイザベルとアリシアがそれぞれ陣取る事にした。当然、櫓そのものにも硬化魔法を掛けてもらう。櫓の高さは5メートルにしたから、昨日出会したグサーノが相手でも上方から攻撃できるだろう。

更に手薄になる側面と後方および正面の両角には土塁を作り、地面ごと念入りに硬化魔法を掛けた。
これで奴らの攻撃を正面からだけに集中させることができるはずだ。

探知用の杭の内側には、自宅から回収してきたクレイモア対人地雷をありったけ仕掛けた。地中を進む魔物には効果はないが、地上の魔物まで侵入してきては敵わない。クレイモアに投入したAT弾には、貫通魔法と火炎魔法に加えて、電撃魔法も付与した。グサーノと一括りにしているが、要は地を這い地中に潜む虫達が魔物化したものだ。どんな攻撃が効くのかさっぱりわからないし、そもそも地中から侵攻してくるとも限らない。本来ムカデは地を這う生き物だし、ダンゴムシだって立派に地を這う虫だ。

ダンゴムシの魔物……それってやっぱり金色の触手を延ばして青き衣を纏った少女と意志を通い合わせたりするのだろうか。
あの少女が駆る白い翼には乗ってみたかったのだ。どうせならそんな異世界がよかった……

「あの…カズヤさんどうかしましたか?」

「ああ、すまない。ちょっと別の世界にトリップしていた」

「とりっぷ?」

「そんなことよりお兄ちゃん!このままグサーノが襲ってくるのを待つの!?今夜襲ってくるかはわからないよ!?あいつが無事に街にたどり着けた保証もないし、たどり着けていたとしても援軍がいつ来るかはわからないよ!?」

「そう…ですね。約束の日もあるし、あまりのんびりとはできないです。カズヤ殿、何かいい方法はないでしょうか」

「いい方法と言われてもなあ。討って出るのは論外だし……」

そろそろ日没が近づいているし、そもそも攻勢に出られるのはこちらの方が戦力が多い場合だけだ。現戦力が4人しかいない今は、とにかく守るしかない。

「要するに私達が討って出ずに、奴らが襲ってくるように仕向ければいいのね」

イザベルが何かを思いついたらしい。

「みんなティボラーンを狩った時のこと思い出してよね。あの時お兄ちゃん何て言ったっけ?」

「えっと……迂闊に魔法を使って魔物を呼び寄せてしまってすまない的な……?あれ?ってまさか……」

「それ!ティボラーンが襲ってくるちょっと前に、お兄ちゃんが水中を探る魔法を使ったでしょ。あれって地中にも使えるんじゃない?そうすれば近くのグサーノを誘き寄せられると思うんだ!」

船上で発射したアクティブソナーのことか。
確かにアクティブソナー様の超音波を発射した直後にティボラーンが襲来した。あの超音波は魔物を引き寄せる或いは狂わせる周波数になっているのかもしれない。

やるか。イザベルが言うとおりただ待っているだけでは埒が明かない。襲撃に怯えながら朝を待つよりは、こちらから誘き出したほうがまだコントロールできる可能性もある。

「よし。全員戦闘準備。アリシアはPSGー1だ。マガジンには15発しか入らないから、弾倉を交換するタイミングに気をつけて。予備装備としてMP5A5を持って行け」

「はい!」

「イザベルはG36Vでいこう。予備装備はM93R。普段持ってる銀ダンはアイダに渡してくれ。G36Vの勝手はわかるな?」

「任せて!」

「アイダはMP5Kでいくか。剣とエアガンのどちらで戦うかは任せる」

「了解です」

アイダはイザベルからホルスターごとポリスピストルSSを受け取り、いつも持っているグロック26と合わせて両腰に装着する。

「あの!私にも何か!」

「アンナ。それじゃあ表示板を持って魔物の動向を監視してくれ。赤い点が現れたら、大きな声で皆に知らせるんだ。場所は……食糧庫の屋上でどうだ?」

「わかりました!」

「全員、予備のAT弾は存分にある。1匹でも奴らの侵入を許せば、せっかく生き残った村人が今度こそ全滅してしまう。絶対に通すな。だが生き残るぞ!」

「了解!」

「よし!持ち場につけ!」

◇◇◇

アリシアとイザベルがそれぞれの櫓に上り、アンナが屋上から顔を覗かせるのを待って、食糧庫の外壁に右手の平を当てる。アイダは食糧庫の扉の正面、土塁の切れ目に陣取った。
食糧庫の外壁は大きな石組みだ。底部は地面に埋め込まれている。その底部から発する200KHzほどの超音波をイメージする。

コンッ!

本来聞こえるはずもない高周波数の超音波を放った瞬間、手の平に手ごたえが返ってきた。
一瞬の間をあけて、反射波が次々と返ってくる。
きっかり10秒毎に高周波を放ち、移動する物体を探す。

来た!
移動する物体5。軽いジョギングほどの速さで移動している。深さは1メートルほどか。

「アンナ!そっちはどうだ!」

「はい!赤い点が5つ。村の中央からこっちに来ます。正面です!」

「わかった!ソナーの照射を中断する。イザベル!奴らの侵入経路が上方から視認できたら、貫通魔法を重ね掛けしたAT弾を侵入経路前方に叩き込め!地上に姿を現したらアリシアが狙撃!討ち漏らした奴はアイダと俺で叩く!」

「了解!セーフティ解除!……見えた!5匹真っ直ぐこっちに来る!」

地上の俺やアイダには見えないが、航跡或いは雷跡のように侵入経路の跡が櫓の上からは見えるのだろう。

「杭まで残り10メートル!攻撃開始!」

イザベルが射撃を始める。
着弾の一瞬後に、着弾地点から炎が噴き出す。どうやら貫通魔法に加えて火炎魔法も重ね掛けしたようだ。

炎に耐えきれなくなったか、土を割ってグサーノが次々と姿を現した。5匹全てがムカデ型だ。
一対の大顎をガチガチと打ち鳴らし、鎌首をもたげて俺とアイダを睨み付ける。ゆらゆらと揺れる一対の触角は、子供の腕ぐらいの太さはあるだろう。

タンッ!タンッ!タンッ!タンッ!タンッ!

単発の乾いた発射音が5発連続で響き渡る。
アリシアが櫓の上から放った5発のAT弾が、グサーノの触角の間に吸い込まれ、頭部を四散させた。

「やったか?」

アイダの願望の篭った言葉は、どう考えてもフラグだ。残念ながらムカデは頭を失ったぐらいで活動を止めるほどヤワな生き物ではない。魔物化したグサーノなら尚の事だ。

「まだだ!油断するな!」

返す俺の言葉もありきたりになってしまう。

G36Cを構えて慎重に近寄る。剣を構えたアイダが続く。
毒液を吹くであろう口の部分は潰されているから、警戒すべきは太い胴体を叩きつけられるか下敷きにされることか。

「わわっ!こいつまだ動くぞ!」

アイダが剣を構えたまま器用に飛びすざる。

「焼くか。アイダ。なるべく高温の炎で、奴らの胴体を焼くぞ」

「了解!Lanza de fuego!!」

アイダの剣の切っ先から炎の槍が伸びてグサーノの胴体を貫く。

「ふぁいや!」

俺の指先から超強力ターボライター状の青白い炎が伸び、もう一匹のグサーノを包んだ。

5匹目のグサーノに点火した直後に、イザベルからの大声が届いた。

「お兄ちゃん!アンナがあと10匹向かってきてるって!戻って!!」

はいよ!団体さんのご到着だ。
しおりを挟む
感想 232

あなたにおすすめの小説

レベルアップに魅せられすぎた男の異世界探求記(旧題カンスト厨の異世界探検記)

荻野
ファンタジー
ハーデス 「ワシとこの遺跡ダンジョンをそなたの魔法で成仏させてくれぬかのぅ?」 俺 「確かに俺の神聖魔法はレベルが高い。神様であるアンタとこのダンジョンを成仏させるというのも出来るかもしれないな」 ハーデス 「では……」 俺 「だが断る!」 ハーデス 「むっ、今何と?」 俺 「断ると言ったんだ」 ハーデス 「なぜだ?」 俺 「……俺のレベルだ」 ハーデス 「……は?」 俺 「あともう数千回くらいアンタを倒せば俺のレベルをカンストさせられそうなんだ。だからそれまでは聞き入れることが出来ない」 ハーデス 「レベルをカンスト? お、お主……正気か? 神であるワシですらレベルは9000なんじゃぞ? それをカンスト? 神をも上回る力をそなたは既に得ておるのじゃぞ?」 俺 「そんなことは知ったことじゃない。俺の目標はレベルをカンストさせること。それだけだ」 ハーデス 「……正気……なのか?」 俺 「もちろん」 異世界に放り込まれた俺は、昔ハマったゲームのように異世界をコンプリートすることにした。 たとえ周りの者たちがなんと言おうとも、俺は異世界を極め尽くしてみせる!

異世界で家をつくります~異世界転移したサラリーマン、念動力で街をつくってスローライフ~

ヘッドホン侍
ファンタジー
◆異世界転移したサラリーマンがサンドボックスゲームのような魔法を使って、家をつくったり街をつくったりしながら、マイペースなスローライフを送っていたらいつの間にか世界を救います◆ ーーブラック企業戦士のマコトは気が付くと異世界の森にいた。しかし、使える魔法といえば念動力のような魔法だけ。戦うことにはめっぽう向いてない。なんとか森でサバイバルしているうちに第一異世界人と出会う。それもちょうどモンスターに襲われているときに、女の子に助けられて。普通逆じゃないのー!と凹むマコトであったが、彼は知らない。守るにはめっぽう強い能力であったことを。 ※「カクヨム」「小説家になろう」にも掲載しています。

スキル喰らい(スキルイーター)がヤバすぎた 他人のスキルを食らって底辺から最強に駆け上がる

けんたん
ファンタジー
レイ・ユーグナイト 貴族の三男で産まれたおれは、12の成人の儀を受けたら家を出ないと行けなかった だが俺には誰にも言ってない秘密があった 前世の記憶があることだ  俺は10才になったら現代知識と貴族の子供が受ける継承の義で受け継ぐであろうスキルでスローライフの夢をみる  だが本来受け継ぐであろう親のスキルを何一つ受け継ぐことなく能無しとされひどい扱いを受けることになる だが実はスキルは受け継がなかったが俺にだけ見えるユニークスキル スキル喰らいで俺は密かに強くなり 俺に対してひどい扱いをしたやつを見返すことを心に誓った

異世界ビルメン~清掃スキルで召喚された俺、役立たずと蔑まれ投獄されたが、実は光の女神の使徒でした~

松永 恭
ファンタジー
三十三歳のビルメン、白石恭真(しらいし きょうま)。 異世界に召喚されたが、与えられたスキルは「清掃」。 「役立たず」と蔑まれ、牢獄に放り込まれる。 だがモップひと振りで汚れも瘴気も消す“浄化スキル”は規格外。 牢獄を光で満たした結果、強制釈放されることに。 やがて彼は知らされる。 その力は偶然ではなく、光の女神に選ばれし“使徒”の証だと――。 金髪エルフやクセ者たちと繰り広げる、 戦闘より掃除が多い異世界ライフ。 ──これは、汚れと戦いながら世界を救う、 笑えて、ときにシリアスなおじさん清掃員の奮闘記である。

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

異世界転生した俺は、産まれながらに最強だった。

桜花龍炎舞
ファンタジー
主人公ミツルはある日、不慮の事故にあい死んでしまった。 だが目がさめると見知らぬ美形の男と見知らぬ美女が目の前にいて、ミツル自身の身体も見知らぬ美形の子供に変わっていた。 そして更に、恐らく転生したであろうこの場所は剣や魔法が行き交うゲームの世界とも思える異世界だったのである。 異世界転生 × 最強 × ギャグ × 仲間。 チートすぎる俺が、神様より自由に世界をぶっ壊す!? “真面目な展開ゼロ”の爽快異世界バカ旅、始動!

勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!

よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です! 僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。 つねやま  じゅんぺいと読む。 何処にでもいる普通のサラリーマン。 仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・ 突然気分が悪くなり、倒れそうになる。 周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。 何が起こったか分からないまま、気を失う。 気が付けば電車ではなく、どこかの建物。 周りにも人が倒れている。 僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。 気が付けば誰かがしゃべってる。 どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。 そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。 想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。 どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。 一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・ ですが、ここで問題が。 スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・ より良いスキルは早い者勝ち。 我も我もと群がる人々。 そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。 僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。 気が付けば2人だけになっていて・・・・ スキルも2つしか残っていない。 一つは鑑定。 もう一つは家事全般。 両方とも微妙だ・・・・ 彼女の名は才村 友郁 さいむら ゆか。 23歳。 今年社会人になりたて。 取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。

称号チートで異世界ハッピーライフ!~お願いしたスキルよりも女神様からもらった称号がチートすぎて無双状態です~

しらかめこう
ファンタジー
「これ、スキルよりも称号の方がチートじゃね?」 病により急死した主人公、突然現れた女神によって異世界へと転生することに?! 女神から様々なスキルを授かったが、それよりも想像以上の効果があったチート称号によって超ハイスピードで強くなっていく。 そして気づいた時にはすでに世界最強になっていた!? そんな主人公の新しい人生が平穏であるはずもなく、行く先々で様々な面倒ごとに巻き込まれてしまう...?! しかし、この世界で出会った友や愛するヒロインたちとの幸せで平穏な生活を手に入れるためにどんな無理難題がやってこようと最強の力で無双する!主人公たちが平穏なハッピーエンドに辿り着くまでの壮大な物語。 異世界転生の王道を行く最強無双劇!!! ときにのんびり!そしてシリアス。楽しい異世界ライフのスタートだ!! 小説家になろう、カクヨム等、各種投稿サイトにて連載中。毎週金・土・日の18時ごろに最新話を投稿予定!!

処理中です...