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白銀の旋風
しおりを挟む「まて。」
しかし、彼はアインが帰ろうとしたのを止めた。
「なんなの?魔族ではないことは証明したと思うんだけど。」
「何を言っているんだ。
君の今の行動は、魔族であることを決定づけたではないか。」
アインは正直何を言っているんだと思ったが、彼は自信満々にこういった。
「高位の魔族は、魔力の制御がうまいことがある。
だからこそ、君はやはり魔族だったのか。」
正直、魔力の制御なんて、宮廷魔法士でも、簡単にできる。
それこそ、しっかりとした教育を受けてさえいれば、できるようなことだった。
高位の魔族が得意というのは本当だが、それでも、人間でも普通にできるような芸当だったのだ。
「そんなことはないだろう。
魔力の制御くらいは、しっかりとした教育を受けている人だったら、誰でもできるからな。」
「そんなことはない。」
そこで彼は衝撃的な理由を言ってきた。
「なぜなら僕の仲間であるナサリーができないからな。」
「は?
それは、彼女の実力が足りていないだけでは?」
「何言ってんのよ!
私は由緒正しき、伯爵家の令嬢で子供のころからしっかりと教育を受けてきたのよ!?」
「そうなんだ。それでどこの伯爵家?」
「聞いて驚きなさい。
私の家は、伯爵家の中では結構名が通っているのよ。」
そして、彼女が言った家の名前は、今回の貴族反乱において、つかまっている貴族の家だった。
「そうなのか。それじゃあ、聞くけど、最後に家に帰ったのはいつ?」
「なんでそんなことを聞くんだ。それは彼女に対するセクハラじゃないのか!」
そこで、さっきの青年が話に入り込んできたが、アインには決定的な自信があったので、そのまま話をつづけた。
「実は、最近この国の貴族が、王族に対して反乱を起こしたことは知っているな?」
「ああ、それは、有名な話だからな。」
「僕の記憶違いでなければ、彼女の家は、反乱軍として、国のほうに捕らえられているはずなんだが?」
しかし、この情報に関しては、彼らは本当に知らなかったのだろう。
その話を聞いた瞬間に、自分の家を侮辱されたと思った、ナサリーという女性は、アインに対して、怒鳴り散らした。
「何を言っているの!私の家がそんなことしているわけないでしょ!」
「そうだ!いきなり彼女の家を侮辱するなんて、いくら逃げたいからって、そんなことをして許されると思っているのか!」
こんな大声でしゃべっているので、すでに周りには、観客が増えてきた。
「まったく。本当のことを言っては、嘘だといい。
自分たちにとって都合のいい事だけは、信じ切っている。
君たちはもう少しだけ常識というものを身につけたほうがいいんじゃないのか?」
「なん…だって…
これでも僕たちはクラン白銀の旋風の名で通っているクランのリーダーだぞ?
そんな僕たちに常識を問うなんて…
そんなにしてまで魔族だということを隠したいのか!」
白銀の旋風は、強いもの採用しない力を重視しているクランで、すでにBランクのクランとなっている。
クランとしてのBランクは、ただ単純にパーティーでAランクになるよりも難しく、結構力をつけていることの証明だった。
「Bランククランだって。」
「それって結構すごい事なんじゃないの?」
「それじゃあ、本当に彼は魔族ってことなんじゃ…」
そんな疑いがかけられ始めたので、さすがにアインも、自身の潔白を証明することにしたのだった。
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