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次回、○○死す
しおりを挟む彼が全身装備を着た瞬間、白の外にいた者たちも、何かしらの気配を感じた。
それは、アインも例外ではなく、入り口を見てまだ侵入者はいないと思っていたが、それでも確かにこの黒い魔力は敵側の者だろうと思った。
それどころか、今相手にしている貴族たちよりも圧倒的に厄介に感じた。
現状、貴族たちとの戦いは、王国兵と帝国兵が貴族の私兵をどんどん倒しているだけだ。
正直、今のところ危ないという個所もなく、このまま順当に終わると思っていた。
しかし、この黒い魔力の招待に関しては、帝国兵1人ではきついくらいだった。
この帝国兵1人という力は、他の国の兵200人分くらいの力は持っていた。
しかも、同盟国の王を守るということで、しっかりとトラップからの一撃を得意とするものを選んでおいたのだ。
それは、王の前での戦闘が激化すれば、巻き添えを食らうかもしれないので、できるだけ短期決戦が得意なものを配備しておいたのだ。
しかし、そんな彼が戦っているのに、一切の戦況の変化が感じられない。
つまり、今の状態では、相手のほうが強いのだ。
「俺が行くか?しかし、そろそろ軍事面に関しては、俺が行かなくてもいいようになっていてほしいのだが…」
それは、アインが兵に対してあきれていっていることではなく、普通にこれから今まで以上に他国との交渉が必要になってくるだろう。
だからこそ、そちらに専念できるように軍事面では軍部にすべてを任せたいと思っていたのだった。
しかし、今回の敵はなかなか簡単に倒せそうな敵ではなかった。
(やつを倒そうとすれば、おそらくだが、こちら側も被害は食らう。
しかし、それくらいのことをしてもらわないと。)
それに、国に帰れば蘇生魔法を使える回復魔法士がいるので、大丈夫には大丈夫なのだ。
(今回は任せるか…)
そう決断したアインは、そのまま、千里眼で、空の上から見渡すように戦場を見ていた。
すると、アインの決定を感じたのか、戦場からエースと呼ばれていた数人が消えていた。
しかし、それでも貴族の兵たちは、そのことにも気が付かず、逃げ惑うだけだった。
一方、舞台は変わって脱走犯の方では…
(これは…時間を長引かせることしかできないな。)
単純に、何もかもで負けていた。
脱走犯は呪いの装備の効果によって体を動かしている。
だからこそ、痛覚というものがないのだ。
だから、簡単に自身の関節などを一回外して攻撃して、元に戻すという、痛覚があれば絶対にできないような攻撃をしてきていたのである。
それに、彼には体力がない。
それは、脱走犯のもととなった人が体力が少ないということではなく、体力という概念がないのだ。
もしも、体が悲鳴を上げたとしても、装備の魔力で無理やり体を動かすので、からのパフォーマンスが低下することがないのだ。
(体力無限の奇妙な攻撃手段を持った話し合いの通じない戦士か。つらいな。)
すでに彼も、仲間がここに向かってきていることに関しては、気が付いている。
だからこそ、延命をできればいいということも分かっているのだが、それでもだんだんとかすり傷を負うようになった。
(これは、仲間が来ることにかけてやるしかないか。)
そして彼は、自身の持っている最強の技を使った。
「瞬間的暴走・改!」
これは、時間をかけた勝負である。
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