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伝言
しおりを挟む最初は、伯爵家にやってきた。
「ここは、どんなことをしているの?」
アインが持っている資料には、大体のことが書かれているが、他の3人に関しては、何も知らないので、この貴族についてを聞いてきた。
「ここの貴族は、昔、1人の人が、男爵から伯爵まで上げて、その後は、それを何とかキープしている街だね。」
「それで、今回挨拶するということは、何か問題を起こしているの?」
「うん。実は、ここの貴族の息子が、まだリリスに婚約の申請をしていて、なかなか取り消さないらしいんだ。」
「う~ん。でも、今回伝えただけで、身を引いてくれるのかな?」
「分からない。でも、やるしかないのは確かだしね。」
そう、ここの貴族は、いまだにリリスとの婚約をあきらめていない貴族なのである。
その理由は簡単で、今の当主に関しては、さすがに危険なことは出来ないが、出来るだけ上に上がりたいと思っており、息子に関しては、どうやっても上に上がりたいと思っている。
そして、上に上がるだけで良いなら、最短ルートがある。
それが、リリスとの結婚だ。
これによって、王にはさすがになれないが、王子にはなり、そして、そのうちそれなりに大きな役職に着くことが決定しているようなものだった。
「さて、入るか。」
そのことも、アインはなんとなく察しているが、それでも、入っていくことにした。
そして、おそらく自分の顔を知らないだろうということで、アインは、リリスたち3人に前を歩いてもらって、何とか、門番をかいくぐろうとした。
「おや!リリス様、セシリア様、シルク様!今日はどのようなご用件でしょうか?」
「ここの当主と話をしたいの。お父様からの伝言でね。」
リリスのその発言が、王からの指令だということは、門番はすぐに気がついた。
「わ、分かりました。少々お待ちください。」
そして、門番の兵士は、緊張をしながらも、必死に当主を呼びに行った。
しばらくすると、当主が中から出て来た。
「外で待たせてしまって、申し訳ございません!いま、応接間まで案内させていただきます。」
そして、4人は中に入ろうとしたが、アインは一旦、とめられた。
「貴方。ここは関係者以外は立ち入り禁止です。
何の用があってきたのですか。」
しかし、事前にこういわれる可能性も考慮して、あらかじめ対策は練ってあった。
「彼は、私たち3人の護衛よ。
私たち3人を同時に守れるくらいには強いわ。」
すると当主は、アインをじっくり見てそして言った。
「この少年がですか?」
アインの見た目は、正直前を歩いている3人と一緒だった。
だからこそ、護衛にしては弱いと思われたのだった。
なので、アインは自分の持っている冒険者カードを見せた。
「こ、これは…は、はぁ、納得させられました。」
冒険者カードに関しては、偽装ということはめったに出来なく、そもそも、偽装されたという報告が上がっていない。
それに、偽装が出来るような技術を持っているものは、大抵強い者なので、調べることすら出来ないのだった。
「それでは、案内します。」
そして、4人は比較的玄関から近い場所にあった、応接間に案内された。
「それで…本日はどのような用事で…」
「だから、お父様からの伝言を届けに来たのよ。
まぁ、正確には手紙だけど。」
「手紙…ですか?」
「ええ、中には大事なことが書いてあるから、魔法を使わないと解けないらしいよ。
よろしく。」
そして、アインは、それ専用の人のように、黙ったまま、その手紙にかけられていた魔法を解除した。
「なるほど…手紙のためでもあったか…」
その様子を見て、何故アインが送られたのかわかったような口ぶりをした貴族は、リリスから手紙を受け取って、中を見るのだった。
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