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終止符への第一歩
しおりを挟む「な、何者だ!貴様ら!」
神官や、大神官から、何も聞かされていない教皇は慌てふためいていた。
「何で貴様らがここにいるんだ!近衛兵たちに、侵入者を排除しろと伝えてあったはずなのに…」
大神官も、まさか近衛兵が負けるとは思っておらず、いきなり現れた敵兵に対して、動揺を隠せなかった。
「皆の者!ついに我々はここまでやってきた。
アイン様が年月をかけて作ってきたこの計画も、今日を持って終わることになるだろう。
その、最終過程を我々で実行するのだ!
アイン様からは、教皇と大神官の殺戮許可はもらっている。
皆、全力でかかれ!」
そして、アインの兵たちは一斉に、教皇と、数人の大神官に向かって走っていった。
大神官は簡単にアインの兵によって殺されていったが、教皇だけはそうは行かなかった。
なぜなら、教皇には代々、受け継がれている魔法具があったからだった。
「何だ?何で教皇に対する攻撃だけは効かないんだ?」
アインの兵たちも、その魔法具の情報は知らなかったので、困惑をしていた。
しかし、教皇のほうは攻撃手段を持っていなかったので、アインの兵たちも、本気で不安にはしていなかった。
「とりあえず、交代制で攻撃を続けててくれ。」
隊長がそう言い、隊員たちは攻撃を続けていたが、一切、ダメージが入る事は無かった。
しかし、それが2時間続いたところで、とある変化が起きた。
パキッ!
「何だ今の音は?」
その音は小さく、隊長の耳に何とか届いた程度の音だった。
しかし、彼はこんな音も、今の状況では何かあるんじゃないかと思って、入念に周囲を見渡してみた。
そして、1つのことに気がつくことができた。
(あれ?この部屋って、こんなに傷ついていたか?)
教皇のいた部屋は、注意してみないと分からないくらいの、ヒビが壁に出来ていた。
そして、隊長はそのことがどうにも気になって、ずっと見ていると、1人の隊員が自分の魔力を使って、自分に出来る最大の攻撃をしたときに、大きく変化が起きた。
(壁の傷が大きくなった!?)
教皇以外はまったく攻撃をしていないはずなのに、教皇に攻撃をすると、教皇のいる部屋がダメージを追っていることがわかった。
そして、このとき、隊長は1つの魔法具を思い出した。
(身代わりの石…確か、効果は持ち主が攻撃を食らったときに、代わりにその石にダメージが行く…
しかし、その石が壊れてしまった場合、使用者にもちゃんとダメージが入るようになっている…
確か、こんな能力だったはずだ)
そう、教皇の無敵に正体はこの身代わりの石の利用だった。
彼の部屋は基本的に全て石で出来ていた。
上層部ではそういった家の造りも珍しくは無いので、隊長も特には気にしていなかったが、それでも、身代わりの石を思い出してしまった今となっては、とても気になることだった。
そして、身代わりの石には、効果が強い代わりに、大きな弱点がある。
それは…
「今休んでいるものたちよ!とあることを確認するために、壁を攻撃してくれ。」
隊員たちは、何で?と思ったが、それでも隊長からの命令だったので、おとなしく従った。
そして、壁に攻撃をすると、簡単にヒビが入った。
そう、この身代わりに石は、直接攻撃をされると、もろいという弱点があったのだった。
(何だ、こんな簡単なことだったのか…それじゃあ、そろそろ終止符を打つことにするか…)
そんな事を考えた隊長は、教皇に止めを刺すために、自らが行動に出ることを決めたのだった。
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